第2話 翌日

チュンチュンと鳥の声が聞こえる。起き上がると、少し外が明るくなっていた。


(変な夢を見た気がする。ガトーショコラを作ったら妖精が出てきて……)


そんなことを考えながら起き上がり、身支度をしようと鏡を見ると、見た事がある人が写っている。いや、人ではない妖精だ。


「やぁ、おはよう。いい夢は見られたかな?」


びっくりした。とはならず、夢だと思っていたものが昨日実際に会ったことだと確信に変わった。


「おはようございます。ずっとこの部屋にいたんですか?」

「そうだよ。少しばかりお邪魔させてもらった。」


僕の部屋は屋根裏部屋だ。面白いものもないのによくいられるものだ。妖精は寝るのだろうかと考えながら身支度を済ませた。


「じゃあ、僕は朝の仕込みをするので行きますね。」

「ならばボクも共に行こう。キミを見守ることがボクの役目だからね。」

「そうですか。なら、お願いします!」


そのまま二人で階段を下り、厨房に入った。


「見習いのくせに寝坊か〜?今日は遅れてきた分もビシバシ働いてもらうからね!!」


「すみません!!!すぐに手伝います!あれ、師匠にはコーコルは見えてないのか……」

「そうだ。ボクはキミ以外には見えていないよ。」


師匠に、妖精が来たことを報告しようと思ったが証明しようがない。妖精が宿ったものは、周りの人から見ると輝いて見える。僕が弟子入りしようと思ったのも、師匠のケーキが輝いていたからだ。

しかし、僕のケーキは輝いていない。コーコルは僕のケーキに宿ったのではなく、ただ来ただけ。普通のケーキを見せて妖精が来たなんて言えるわけが無い。


「余計な事を考えている暇は無いよ。今度はこのボクが宿れるケーキを作ることだね。」


 そうコーコルに言われたので、気持ちを切り替えてケーキ作りに専念した。


閉店後


「今日も終わったー!よし、今日も練習だ」

「今日からは私が教えてあげよう。」


2人で準備をしていると、コンコンとノックが聞こえた。


「見習い〜?すまんがチョコレートがきれてしまったから買ってきてくれ〜。」


ここまで準備したのに作れないのは残念だが、師匠のお使いを断れる訳もなく、


「はい!すぐ行ってきます!!ごめんコーコル。また明日になっちゃうや。」

「それは仕方ない。すぐに行っておいで。それに、チョコレートがないとガトーショコラは作れないからね。」


 バタバタとしながら買い物に行く準備を済ませ、ドアノブに手をかけた。


「ありがとうコーコル!行ってきます!」

 「あぁ行ってらっしゃい。ここからチョコレートが売ってる場所は遠いだろう?気をつけるんだね。」


 

 無事に買い終わって帰路に着く。するとふと疑問が出てきた。


 (そういえば、コーコルはこの街に来たのは初めてだと思ったのに、どうしてチョコレートが売ってるお店知ってたんだろう)


 そのまましばらく歩きながら考えていたが、分からなそうなのでやめた。


 「まぁいっか!明日も頑張ろう!!」

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