なんのために

 セリナは倒れる敵兵を目の当たりにし、初めて戦いの現実を理解する。血と叫び声に囲まれながらも、兄姉との連携で一歩ずつ前進する。互いの存在が、恐怖を支えに変えてくれる。


「もう少し……あと少しで押し返せる!」

レオンハルトが叫ぶ。セリナも息を整え、再び剣を握る。敵兵の数は多く、圧倒的だ。しかし、兄姉との絆が彼女に勇気を与え、戦場での混乱の中で冷静さを保たせる。


やがて、城内の火はさらに広がり、戦況は緊迫の極みに達する。セリナは全身を力いっぱい使い、敵を押し返す。剣の感触、盾に伝わる衝撃、息を切らす心臓の鼓動――すべてが戦場のリアルだ。


だが、勝利はまだ遠い。敵の大将は冷静に部下を指揮し、徐々にセリナたちを包囲しようと動く。セリナは恐怖と疲労に押されながらも、兄姉を守ろうと必死で踏みとどまる。


「セリナ、俺たちを信じろ!」

レオンハルトの声が響き、ルシアが横から援護する。二人の存在が、セリナの力の源だ。恐怖は完全には消えない。しかし、戦う理由は確かにある――家族を守ること、城を守ること、そのために剣を握るのだ。


夜はまだ長く、戦いは続く。セリナは初めて経験する戦場で、恐怖と希望、痛みと決意を胸に刻みながら、兄姉とともに応戦する。

平穏な日常はすでに遠く、今、彼女の前には血と炎の世界が広がっている。

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