19日目 日常(月~

「なんだお前、まだ準備運動が終わっても居ないぞ?」

 呆れる担任

「ハァハァ、そんな事、いわ、れ、ても」

「ああ、もういい。お前は今日も一人でグランドの周りを走ってろ」

 前回に引き続きだった。


「岡崎、お前はまず腕立てとスクワット500回」

「浜崎、お前も付き合ってやれ」

「えっ、先生俺は何も」

「連帯責任だ。二人とも追加で100回」

「マジで」

「そんなに嬉しいのか、1000回に増やしてやる。さっさとしろっ!!」

「はい」✖2


「今日は連帯感を鍛える為にバスケットボールをする」

「はい」✖女生徒達


 まぁ、体育の授業自体は普通にバスケをしていた。


 時間中ずっと走れる訳も無い優は、大半の時間地面と激しい密着をいや圧着をして過ごした。担任に踏まれ「早く起きろ」「さっさと走れ」と言われ続けていた。




「飯や飯やぁ」

「くっそ、ドスケベのせいで俺まで」

「あー、俺飯は良いわ」

 弁当箱を開けた瞬間の食べ物の臭いで気分が悪くなってしまった優は弁当箱を二人に手渡し、教室を後にした。


「少しスッキリした」

 嗽をして、手を拭こうとハンカチを手にした時に、昨夜の事の思い出し。思わず赤面してしまった優

「あっ、そう言えば」

 優はある事を思い出し図書室へと向かった


「えーっと確か、この辺にあった。あっ、これこれ」

 優は1冊の古い宝石の本を棚から取り出し、席へと向かった


「おっ、これこれ」

 本を雑にめくり、挿絵のあるページで手を止めた

「昔は魔道具ってのが、色々あったんだよな」


 火薬が生み出されて以降、魔法を使える者の数は減少の一途をたどっていた。魔道具には魔力が必要だった為に、薪に火をつける時に使っていた火の魔道具は、マッチに、夜部屋を明るくする魔道具はランプに、そして今では電球へと変化してしまっていた。兵器に関しても魔力が不要で誰もが使える銃や大砲へと移行した。


「魔道具のこの絵にある魔石って、どうやって作るんだろ?」


 優が唯一魔道具を見たのは、この本の挿絵だけだったので、魔石と書かれた物が何なのかは不明だった。


「あら、また来てるの?もう指輪は渡しのでしょ?」

「うん。そうなんだけど」

 ゆきの言葉に少しの動揺も見せない優


「それで、次は何を知りたいの?」

「この魔道具、特にこの魔石が何か分からなくて」

「その答えが書かれてる本は、私の知る限り存在しないわ」

「だよね」

「仮に存在していたとして、それは最重要国家機密の世界」

「う゛」

「流石の九条様でも、難しいと思うわ」

「・・・」

「ただ、古い物語の中に、赤いルビーに魔力を混めて、それを相手に投げつけて倒した海外の昔話を昔読んだ事があるわ」

「そう言えば宝石の本に、宝石ごとに火とか水の力とか書いてあった気が」

「頑張りなさい」

「うん」




「魔法の力を強くするには、まずは自分の魔力の限界を使えるレベルにまでイメージ力を高め、その後に~」

 午後からは副担任の魔法の授業(座学)だった。今回はイメージの仕方についてあれこれと学んだようだ。


「先生の言ってた事は分かりはするのだけど、私どうして良いのか分からなくなって来たよ。今でも結構頑張ってるつもりなんだけどなぁ」

 山水は授業の後に苦悩していた

「ワイはバッチリ理解出来たで!金曜日が楽しみやー」

 大輔は自信満々である。

「私もイメージは出来そうなので、金曜日が楽しみですわ」 

 池田も大輔に続いていた

「俺もどうすればいいのやら」

 豊夫は頭を抱えていた。


 そんな中で、優は魔道具の事を考えていた




「こんにちは」

「あら、もうそんな時間なの?」

「今日は何をしましょう?」

「そうねぇ、とりあえず掃除を、あっそこの部屋だけでいいからね」

「はい」


「終わりました」

「ですよねぇ。どうしよ」

「そう言えば先輩は何をされてるんですか?」

「えっ、私?私はねぇ。こう見えてもデザイナーなの、だからこうして毎日イラストを描いてるの」

「毎日ですかぁ。凄いですね」

「凄くは無いんだけどね。私のデザイン未だに商品化された物は無いし」

「そうなんですか?」

「そうなのよっ」

「僕は好きですけど」

「えっ、そう?」

 と、数分で掃除を終えた後に指導係の所に戻り話をしていると


「(翠波(すいは)) 愛(あい)ちゃん、これよろしくね」

「はいっ」

「それから、君のイラスト。どれも綺麗なんだけど、君らしさが感じられないねぇ。もっとオリジナリティを出さないとダメねぇ」

 ラックがやって来て、優の指導係に自分が描いたデザインの紙を手渡し駄目出し帰って行った。


「あうーーー。そんな私らしさって、ああもう」

「先輩、大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。よしっ、切り替えてお仕事お仕事」

「えっ?」

「流石に落書きしてるだけはお給料貰えないからね。今の私の仕事は、ラックさんが描いた絵を実際の商品にする為の設計図に描き直す事なんだよ。とは言っても、これも上司の手直しが入るんだけどね」

「へぇ、やっぱり先輩は凄い人なんですね」

「そんな事はないわよ。あっ、君の今日の仕事はもう無いから、どうしよ」

「えっ」

「次来るまでには、君が出来る仕事探しておくから」

「よろしくお願いします」

 最初の部署が不味かったと言うか、試作品や特注品のデザインだの研磨だのをしてる場所にド素人、しかも学生バイトを置いても仕事は無かったようで、九条からの命令なのでとりあえず掃除をという状況が続いていたのだ


「あっそうだ。先輩、クラスの女の子にこの前お世話になって、そのお礼に何かプレゼントをしたいんですけど」

「あなた婚約指輪渡したばかりでしょ?」

「そうなんですけど、浮気とかじゃないですよ。前にアルバイトを紹介して貰っただけで」

「ふーん。で、どんな子なの?」

「モデルのアルバイトをしてる綺麗な人です」

「おい」

「えっ?」

「それで、予算は?」

「5円くらいまで何とか」

「そうねぇ」

 相手がモデルをしてる子となればと、あれこれと考え出す指導係


「何だい、君また女の子にプレゼントかい?今度はどんな子なの?」

 同じ部屋だから会話は筒抜けだったからか、ラックがやって来た

「えっと、雑誌で服のモデルのアルバイトをしてる綺麗なクラスメイトの人です」

「ふーん、クラスメイトでモデルさんねぇ」

「お菓子とかは?」

「学校で渡すので、彼女へのお礼と言うか、その場の人達へのお土産な感じになりそうで」

「そうなると・・・」

 食べ物がダメかと他の候補を考え始める愛(あい)(指導係)

「愛ちゃん、丁度良いじゃない」

「えっ?」

「その試作品」

「これですか?でも、これ売るなら50円くらいにしないと」

「試作品なんだから5円で大丈夫大丈夫」

「ほんとですか?ラックさんが決めたって言いますよ」

「あはは、いいですよ。あっ、でも優、渡す時にうちの店の新ブランドの試作品って事をしっかりと伝えて下さいね。出来たら、お仕事の時に着けて行って貰えると最高ですねー」

「ちょーっと待っててね。責任者に確認して来るから」

「はい」

「頑張ってくださーい」

 ラックは楽しそうにしていた。


「ただいま」

「大丈夫だったでしょ?」

「はい、大丈夫でしたけど、物凄く渋い顔してましたよ」

「あはは、見たかったねぇ~」

 ラックは仕返しが成功した子供のような顔をしていた


「優、オマケね」

「ありがとうございます」

「はい、5円ちゃんと頂きました。毎度あり。あっそうそう」

「えっなんですか?」

「チェーンにセットして渡したら駄目だよ。あと、首に付けてあげるのも駄目だからね。そんな事したら婚約者さんが悲しむよ」

「はい。気を付けます」

 こうして優はご都合で(、若い女性に向けた未発表の新ブランドのクロスのペンダントトップだった。高級店に来る若い人向け?なので、プラチナ製で価格はそれなりに高かった。




「ユリアさん、今夜は一緒にお風呂に入ってお喋りしようね」

「楓花、私ね温泉楽しみにしてたのよ」

「優、覗いたら駄目だからね」

 楓花は何故か優を見て言った

「僕?大輔じゃ無いし覗いたりしないよ」

「えぇー、さっきユリアさんがお風呂入ってる姿想像してたでしょう?ジー」

「し、してないよ」

「あっ、してたんだ。優って、エッチなのね」

 実際に一緒にお風呂に入った時の事を思い出してしまってた優は図星だったので焦った。そして、その焦りを椿にお色気たっぷりで突っ込まれていた

「優って可愛い顔してても、やっぱり男のなんだ」

「おねえちゃん」

 由香の悪気が無い言葉、呆れる遥


「なんや優、おまっ。でも、覗きはあかんで」

「いや、妄想も失礼だぞ」

 自分の方に注意が来なかったので調子に乗る大輔。そして、大輔以外の人に対しては身分差をしっかりと意識をして動いてる豊夫

「今度良い所連れて行ってやるから、覗きは止めとけ、なっ」

 優の肩を叩きながら、龍二もまた優を揶揄っていた

「だから覗かないって」


「覗いたら駄目ですからねっ」

 夕食を終えて、食堂から出る時に頬を紅く染めてユリアは優に言っていたが、それはむしろ覗きに来て下さいとでも言ってるかのような優しい物だった。




「さてと、ワイは少し走って来ようかな」

「俺も少し腹が気になるから、付き合うぜ」

「お前ら、俺は部屋で宿題する」

「豊夫、お前は見とー無いんか!!あのナターシャさんのオッパイを!!」

「そうだぞ豊夫、外国人の肌かなんて早々見れるもんじゃ無いぞ、行くぞ」

「いや、俺は覗きとかは、ちょっと、おいって」

 龍二は豊夫を強引に引っ張って外へと出て行った

「優、お前はええねん。いい子ちゃんは、お部屋でワイらの武勇伝を楽しみに待っとけやぁ」

 スキップをしなから二人の後を追う大輔


「あの馬鹿達・・・死んだな」


「なんやねん」

「グハッ」

「だから、嫌だったんだよー」

 見事に楓花の設置した罠に嵌った3人は、ボロ雑巾のような姿になって帰って来たうえに、呆れた顔をした寮母により朝まで玄関の外での正座と1週間のトイレ掃除が言い渡されたのだった。



 優は再度借りた図書室の宝石の本を手に、石の事を調べてノートに書き写す作業を開始していた



「よしっ、終わったぁ」

 優は作業を終えて、軽くストレッチをした。

「もうこんな時間になってたの?思ったより時間かかってたんだな」

 優は時計を確認して、風呂へと向かった


「やっぱり見つかっただな。って事は、もしかして今夜の風呂掃除は俺だけで?」

 優は覗きに行って無いのに、罰掃除の状態になってる事に気がつき、面倒だなぁと思いながら、お風呂へと向かった。


 ガラガラガラ


「さっさと入って掃除して寝ないと・・・な・・・あれ・・・」

「キャー」✖いっぱい

「えっ、なんで?えっ」

 目の前には風呂から上がったばかりで、濡れた体を拭き始めた全裸の女生徒達+ナターシャの姿があった。


「優のエッチ」


 パチーン

 ガラガラ ピシャーン


「ハヘェ?」

 楓花の見事な頬へのビンタを喰らい、脱衣室の入り口前で倒れて、何で?と思ったのだった。


 お風呂の建物外で、小さくなって何で俺が?何でこんな事にと思っていると

「優の馬鹿エッチ」

 楓花はアッカンベーまでしてたので、かなり怒ってるようだった。

「そんなに見たいなら今度一緒に入ってあげようか?」

「百合、あんたっ」

「お姉様冗談ですわ」

「ばかっ」

 ユリアもまた、見たければ私のをとでも言いたかったのかも知れない。

「・・・」

 九条、由香、遥は裸を男性に見られたのは初めての経験だったのだろう、耳まで赤くして無言で通り過ぎて行った

「優さん、どうしても我慢出来ない時は私に言ってください」

 ナターシャは最後にそう言って、女の子達はお風呂場から去って行った。


「入浴中の札も出て無かったし、そもそも男の時間のはずだし、なんで俺が」

 ブツブツと文句を言いながら、とりあえず風呂に入り掃除をして寮へと戻った優は玄関ホールにある時計を見て違和感を感じた。


「あっ」

 部屋に帰った優はその違和感に気がついた。



 火曜日



「さ、さ、昨夜は、すいませんでしたーー」

 優は朝食の場で土下座をした。

「プイッ、知らない」

 楓花はまだ怒ってるようだった


「優には驚かされたわ。あんな正々堂々とお風呂に入って来るだなんて」

 香は一晩たち怒りは収まっていたのか、優の覗きの手法の凄さを指摘し呆れていた

「実は部屋の時計が壊れてて、もう男子の時間になってる物かと、それに入浴中の札もありませんでしたし、入口に施錠もされてませんでしたし・・・」


「本当に壊れていますね」

 香は時計のネジを回し忘れてるのだろうと、ネジを回すも針は動かなかった

「えっ、札と施錠は楓花がしたはずですが?」

 九条は不思議がった

「あっ、彩華様ごめんなさい。お話が楽しくて忘れてました」

 一応入ってる時は札を出すルールがあり、事故防止の為にも鍵はつけられてはいた


「今回は事故と言う事で多めに見ますが、三木さん」

「はいっ」

「次はありませんからね」

「はいっ!!気を付けますです」

 桜が一応両者に落ち度があったとして、事故としてくれたが

「それはそうと、乙女の恥ずかしい姿を見たのですから、今夜から1週間罰としてお風呂掃除をしていただきますからね」

「えっ、あっ、はい。お風呂掃除をしますです」


「さて、朝食を食べないと遅くなってしまいますよ。三木さんは、表の連中を呼んできなさい」

「はい」




「あの白浜さん」

「三木くん、どうしたの?」

「これ、この前アルバイトの事でお世話になったので、お礼です」

「ありがと、でも大した事してないわよ?いいのかな?」

「あの服、僕の手持ちじゃ多分、いや絶対買えて無かったと思うし、それに撮影の時とか助かりました」

「それじゃ、遠慮無く」

「あっ、そだ。えっと、なんだっけ・・・チェーンはオマケで、僕がつけるのは禁止で、いやそっちじゃなくて」

「ん?中見てもいい?」

「どぞっ」

「わぁ、かわいい。ペンダントトップだ。いいの?」

「はい、あっ思い出した」

「ん?」

「それ僕が行ってるバイト先のHanaが今度若い人向けに新ブランドを立ち上げる予定で、そこの試作品なんです。だから、使って貰えると色々と助かるんですが」

「あはは、三木くんって正直で面白いね」

「えっ?」

「ううん、いいわ。可愛いしお仕事の時も付けて行ってあげるね。あと、涼音(すずね)でいいよ」

「はい、じゃあ僕も優でお願いします」

「うん、優ね」

「それじゃ」


「わー、見せて見せてぇ」

 優が去った後には、涼音と一緒に昼食を取っていた女生徒たちが興味深々となっていた。



「優、何かあげたの?」

 山水は渡した物が何かが気になったようだ

「ゆきじゃなくて、涼音だったかぁ。モデルさんだしねぇ、うんうん」

 滝沢は恋バナにしたかったようだ

「なんや、優。お前また、そうやって抜け駆けを」

「抜け駆けって何だよ。それにバイトでお世話になったからお礼を渡してただけだよ」

「えぇー、つまらん」

「えぇー、つまんなーい」

「だから、何をあげたのって」




「はあ、まぁこうなるわな。今日はお前は、そこで良いと言うまで腕立てをしとけ」

「はい」

 準備運動でへたばる男優、今日もまたまともに授業を受けれず


「優、頑張れやぁー」

「岡崎は随分と余裕がありそうだな」

「センセ、ワイはこう見えても柔道も剣道も空手も、あれこれと強いでぇ」

「そうか、では、今日は護身術を教える。最初はこれだ。岡崎ちょっと相手しろ」

「はいはい」

「私に抱き着いてみろ」

「ほんまええんでっか」

 ドスケベ顔になる大輔の目にはオッパイしか映って無かった


「ほな、行きまっせぇー」

「えっ」

「まぁ、この様にすれば、力を使わなくても対応が可能だ」

「痛い、痛いですって」

「それの他としては、思いっきり股間を」


 ズドーーーン


「アワ、アワ、アブ」

「と、思いっきり蹴り上げたり、踏みつけるのもありだ。分かったか」

「はいっ」✖女生徒


「センセ、あないなん喰らったら、ワイのたまたまが潰れてまうじゃないですか!!」

「安心しろ。私もそこまで鬼では無い」

「ほんまでっしゃろな。まだ、つこーてへんのに潰されてもーたらたまらんで」

 と、皆の前でDT宣言をする大輔


「それでは、男子二人は、これをつけろ」

「女子はこっちへ来い、先ほどの技を教える」

「えっ」✖2

「先生俺もですか?」

「何か問題でもあるか?」

「えっ」


「おーい、そこ寝て無いで次は腹筋しろ」

「はひぃ」


 優は安定のボロ雑巾状態に、大輔と豊夫はこの日は一日中女子に投げられる役をする事なった。一応防具はつけてはいたが、防具がカバーしてない方向からも時々くらい、悶絶する事数知れず・・・授業が終わった頃には男子は優と同じ様にボロボロになっていた




「はあ、ほんと温泉あって助かるぅ~」

 平日の夕方は基本的には誰も居ない為か、男が使える時は優は食後では無く夕方に良く風呂に入っていた。


 大輔は合気道部へ、豊夫は龍二とヨット部に入っていたが、週末の夜はパーティでHもありな部活との噂で入ったのに、実際はただのパシリをさせられるだけで美味しい目にはあう事は無くて、早々に退部し豊夫は柔道部に入り直し、龍二はスケベ心を捨てれずテニス部にそして、帰宅部として有名だったジャズ研究会へと流れ、平日の放課後は街でナンパや出勤前の飲み屋の女と会っていた。


「よしっ、復活っと」

 そして、優は部屋に戻り魔道具の勉強を始めた。この頃の優は自分で自由に使える時間の大半は魔道具の事を考えていた


 水曜日



「今日は色々と考えて来たからね」

 山水は副担任の授業で学んだイメージの仕方を色々と考えて、強い魔法を放って試せるこの日を楽しみにしていたようだ

「ワイもや!!来年は1組に上がったるでぇ~、そして、龍二の奴を2組に落としてやるんや」

「私が上がるから岡崎くんは無理よ」

 山水は成績に大きな差があるのに対抗心を燃やしていた

「ほな勝負や」

「その勝負買った」

「どっちが大きい数字を出せるかでええな」

「そんなの私の方が不利じゃない!前回よりいくつ上がったで勝負よ」

「まぁそれでもええけど、ほんで何を賭けるねん」

「うーん、何がいいかな?」

「なんでもええで」

「良く考えたら、岡崎くんって何が嫌なのか分らないや」

「なんや、せやったらワイが勝ったら、おっぱいの大きい女の子紹介してくれや、でお前が勝ったらイイ男紹介したるわ」

「私が勝ったら、優とかを紹介して誤魔化す気でしょ?」

「ばれて・・・いやいや、残念豊夫でしたー」

「どっちも知ってるしいらない」

(グサッ)✖2


「岡崎くんとしても、面白くないから一花勝負しよっ!」

「えっ、わたし?別にいいけど」

「じゃあ、夜のデザートを賭けよ」

「OK」

 

 賭けは同じ土俵に立てる状況で無いと成立はしないのであった。


「ついたぁーーー」

 バスで1時間、高山は思わず声が出ていた。

「春キャンプで行った場所よりは少し狭いね」

 片品はバスを降りて周囲を見回し感想を言った


「おい、こっちだ」

「はい」

「計測器の設置までの間に準備運動をしとけよ」

「はい」

「三木、お前はする必要は無い。そこの便所の掃除をしとけ」

「えっ」

 準備運動で疲れ果ててしまう為だろう。



「こ、これは・・・」

 そこは山奥の演習場だけあって、下水等は無くボットンだ。夏よりはましとは言え十分強烈な臭いを放っていた。が、一応罰では無いから魔法を使う名とは言われていないので、掃除中だけ臭いを無くし特に苦労はせずに掃除を終えた


「おい、設置が終わったぞ、早くしろ」

「はい」

「ん?ここは、こんなに綺麗だったか?」

「掃除しましたから」

「やっぱり、来なくてもいい」

「えっ?」

「女子トイレの掃除をやり終えたら、皆の所に来い」

「えっ?」

「女子トイレもピカピカにしとけよ。あとでチェックするからな!」

「えっ・・・」


 準備運動がトイレ掃除となった。


「わぁ、上がってる!前より50も上がってたよ」

 山水は喜びの声をあげた

「なんでや、なんでワイの数値は下がってるんや」

 大輔は逆に下がっていた。

「実力以上の物を想像したらダメですよ。大きく強い火の玉を想像する時に、太陽を想像されてもそんな大きな物を出せる出せる者が居ないと同じ、自分の実力にあった物をイメージしましょうね」

 副担任は大輔にアドバイスをした

「くっそー、なんでやぁ。これで、ドヤッ」

 別のイメージをして放ったらしい


「もっと下がってもーた」

「焦らずに行きましょう。そうしないと、スランプに陥りどんどん弱くなってしまいますよ。一度前のイメージに戻し自分にあった物を探して行きなさい」

「分かりました」

 大輔は何をイメージしていたのだろうか?物語の中のヒーローを知ってる最強の者から2番手や3番手に落としただけかも知れない。たぶん、現状は五輪選手の動きの延長線上のような物がベストなのかも知れない。


「三木さんはぶれませんねぇ」

「あっ、そっか」

 力加減をキッチリしすぎ、春キャンプの数値を綺麗に並べ続けていたのだった。


「今度は少し上がったようですね。その調子で頑張って下さいね」

「はい」

 忘れてた。考え事をしてたのか実は居眠りでもしてたのか、とりあえず前よりも5だけ高い数値を出していた。


 みんな全力の時の数値を知りたくて頑張ったせいか、数発も撃てば魔力が尽きてしまい、木陰で座ったり寝たりして回復する時間へと突入していた。


「ああ、疲れたー」

 と、わざとらしい声を出しながら、周囲を真似てサボる優。

「三木さんは、最大出力が出ないけど、回数は多く放てる人の様ですねぇ」

「はあ、そうなんですか」

「普通は、この短時間で5回も全力の魔法は使えませんから」

「へー」

 周囲が皆何発撃ってるかまでは、気にして無かったようだ


 午前中は最初こそ皆が魔法を放ち頑張っていたが、すぐに疲れその後はチラホラと放つ者は居たが大半の者は昼ご飯の時間まで寝たりして過ごしていた。午後からは、今度は大砲を放つような練習から、狙撃をするような練習へと変化していた。今度は1発1発の威力が無いので、魔力を回復させる時間は減っていた。身体強化の方では、指1本だけを強化し、それで懸垂をしたり腕立てをしたりをして1点に魔力を集中するような事をしてたようだ


「ここ使えないかなぁ、いやでも遠いか。うーん、二人だけなら、とは言え・・・」

「何1人でゴチャゴチャ言ってんねん。帰るで優」

「あっうん」

 優は魔道具の事を考えたようだ



「ん?なんだろ?」

 優の下駄箱に手紙が入っていた

「なんや、ラブレターか?」

「いや、帰宅部なんだから仕事を手伝えって、香先輩から」

「なんや、そないな事かいな」

「今日のお手伝いはトイレ掃除だけで十分だと思うんだけどなぁ」

「まっ、頑張ってらっさい。ほなな~」

 帰宅部の優は何かと便利な・・・


「ねぇ、この教室に寮の部屋にしてるような魔法を使えますか?」

「はあ、でも人が来て鍵が開かないと不自然な気がしますが」

「大丈夫よ、ここは空き教室ですから、誰も来ないわ」

「そうなんですか、では」


「もう大丈夫?」

「はい、大丈夫というか魔法は使いました」

「そう。それじゃ最初に質問をするのだけど」

「はい、なんでしょうか?」

「ズバリ、あなた百合と、そのあの・・・だから・・・」

 顔を紅くして何かを言い出せない香

「ん?」

「ああもう!あなた、百合とHしたと言うのは本当なの!?」

 恥ずかしさを我慢して言ったからか、大きな声になってしまう香


「えっ、そんな事は・・・」

「ほんと、あなた嘘がつけ無いのね」

「えっ」

「椿が言ってたのよ。百合とあなたがHしてたはずだって」


「それでね。年下で私の事をお姉様とか言ってるあの子の方が先に、大人になってて姉の私がまだなんてカッコがつかないじゃない」

「はあ、そうなのですか」

「だからね。私ともしなさい!!あの子がまだして無いような事をしなさい」

「本当にするのですか?」

「なによ、あの子みたいに胸が大きな子じゃないとダメなの?」

「いえそうでは無くて、僕が初めてでとか結婚前にとか・・・」

「良いわよ。もう裸も見られて、あんな場所に指まで入れられたんだし」

「それじゃあ、上手じゃ無いと思いますが、精一杯頑張ってみます」

「そんな、頑張るとか・・・でも、よろしく」


 百合と同じ様に処女を卒業させ、さらにそれ以上と言われていたので口と後ろの穴をも犯していた。とは言え、椿とはしていたそれ以上のプレイは流石にせずに、何故かプレイ前より元気になっていた香が優の上に乗りさらに求められていた。他の女生徒の時もそうだが、何故かHをする度に優は疲れ相手は元気になっていた。


 そしてプレイ後の香はエステに行った直後でも無いのに、他の女性達と同じ様に肌や髪の艶が良くなっていた。



「香、なんだか急に大人になった気がするのだけど」

「そお?特に何もしてないけど」

「お姉様、なんだかお昼にお会いした時より、お肌の調子が良くなって居る気が、それに髪の艶も、何かなされましたか?」

 寮に帰り夕食前に、香の部屋に集まって3人での雑談タイムとなっていた。椿は香を揶揄いながら確認したかった事が、思っていた通りだった事に満足をし、九条に怒られない様に優とHする策を考え始めていた。この時に、優の精子の効果に気がついていたのは椿だけだった。まだ椿が知らない効果も・・・


「何もしてないわよ。それはそうと、百合の胸は大きくて良いわねぇ。羨ましいわ」

「私はあそこまで大きいと肩こりそうだし、垂れそうだから今くらいでいいけどなぁ」

「私はお姉様の手に丁度収まるサイズが良いです。大きいのは邪魔なだけです」

「そうなの?なんだか慰められてる気が」

「そんな事無いです。本心ですわ」

「ちょっと何で揉んでるのよ」

「そうね。香のこの手に収まる感じも良いわね」

「ちょっと、百合だけじゃなくて椿も何してるのよ」

「良いじゃない。減る物無いし、女の子同士だし」

「そうですわお姉様」

「あっ馬鹿、そんな所いじるな」


 遊びで揉む程度は時々ありはしたようだが、初体験の直後さらに何時もは無かった事までされて何故か気持ち良くなり色々と困る香だった。


 この夜のお風呂では胸の話となり、皆でオッパイを触り合うなんだか凄くヤバイ状態となっていた。


 この夜、優は九条に魔道具の実験の為に宝石を使いたいとの手紙を出していた



 木曜日



「来週くらいから」

「いいわよ」

「ありがとう」

 昼休憩の図書室での会話は、一番肝心な事が抜けているのに会話が成立していた。


 放課後

「九条様から、色々送られて来たのだけど、優あなた何をする気なの?」

「えっと、実験?」

「宝石を使って」

「はい」

「あとさ聞いてはいるけど、本当に私で良いの?」

「はいっ、宜しくお願いします」

「えっと、0.5,1,3カラットくらいのを1粒使った指輪、それと0.5を2個3個5個10個使った物でお願いします。こっちは指輪でもネックレスでもイアリングでも、身に着けるアクセサリーなら何でも良いです」

「指輪はシルバー、ゴールド、プラチナ何にするの?」

「同じ素材ならどれでも良いのですよ。今回は宝石を使った実験なんで」

「分かったわ」



 金曜日


「部活かぁ・・・」

「どないしたんや」

「いや、弁当食ってすぐ、食べ物を作るってのがどうも」

「んな女々しい事止めて柔道しようぜ柔道」

「そんな汗臭いのはちょっとな、運動面倒だし」

「って言うか、優お前は運動せなあかんわ。魔力無くなったらすぐ寝たきりになってまうで」

「そんな先の事なんて、俺には関係無いよ」


「あっ、優。今日は何作るの?」

 山水はお菓子を狙っていた

「さあ、多分クッキーとかでは?」

「いいなぁクッキー」

「焼けたら持って来てよ」

「ねっ、陸上部が優を待ってるから」

「ってか何を作るか知らないし」

「じゃ、クッキーいっぱい作ったら、持って来てね」

「えっ」

「よろしくー」

「頼んだからねっ」

「ちょっと」

 陸上部の二人は好き勝手言って自慢の俊足で逃げて行った



「じゃあ、今日はクッキーを作ります」

「恵美、今日もクッキーの間違いでは?」

「登美枝先輩はクッキーいらないんですね」

「えっ、いるいる。週末のワシのオヤツだぞ」

「じゃ、文句を言わずに手伝う」

「仕方ない。やるぞ、春子」

「おうよ登美枝。で、今回はどれだけ作るんだ?」

「えっと、寮の子達と、クラスの子と剣道部とテニス部と・・・100人くらいで1人10枚くらいは、1000枚くらい?もっとかな?」

「おい、恵美いくら皆が美味しいって言うからって、安請け合いしすぎなのでは?」

「だってぇ」

「登美枝、そこは恵美だ。あきらめろ」


「1000枚・・・1枚20枚で1度に2枚だから40枚で・・・1回15分で1時間で4回だから1時間で160枚、先輩7時間は必要なのでは?」

「大丈夫です!今までは先輩達が使い物にならないからオーブン1台で焼いてましたが、1年生が2人入って来たのでオーブン3台で焼けるから、うん大丈夫」

「先輩、私、料理素人なんだけど」

「僕もですよ」

「幸さん、優さん、大丈夫。お菓子はキッチリ分量を量ってレシピに書いてある温度で、書いてある時間焼けば出来るから。お料理の本みたいに、少々とかって曖昧なのも無いからね」

「はぁ」✖2


「さあ、焼きまくるよー」

「オウ」✖2

「応援してるぞぉ」

「がんばってぇ」

「先輩達も洗い物くらいは頑張って下さいね」

「あっはい」✖2

「苗場先輩と松川先輩は作らないんですか?」

 3年の2人が料理をしない事を不思議に思う玉野

「あのね幸さん、あの二人がクッキーを焼くと炭になっちゃうんだよ」

「えっ」

「ワシは調理実習は味見係だ」

「ウチは後片付け担当だ。ドヤッ」

「あっ、はい。何となく分かりました」


「チョコチップの代わりに、正露丸入れて見ないか?」

「誰が食べるんですか?」

「いや、それならワシが作っても腹を壊さないだろ?」

「そこまでして作らなくていいですよ」

「名案だと思ったんだけどな」

「ウチ今気がついたんだけどさ、ドーナツみたいに穴を空けたら、もっと早く焼けるはず!ちょっと試して」

「春子先輩、オーブンの温度いじらないで下さいね。そこ触ったら私もう放課後お菓子作りませんからね」

「登美枝が早く食べたいって言うから、私は頑張って早く出来るようにと思って知恵を」

「おいワシを巻き込むな」

「あっ先輩、なに材料の板チョコ食べようとしてるんですか!!」

「えっ、これはワシのオヤツじゃ無かったのか?いやぁすまんすまん」

「二人とも、そこに座って下さい」

「恵美さん、ここの床はコンクリートなんですけど」

「ウチは婆さんの遺言で正座だけはするなと」

「お婆さんまだご存命ですよね?」

「うっ」

「1年も入って来たんですから、少しは大人しくしておいて下さい」

「はい」✖2

 

 そんなこんなで、3時間耐久の焼きが開始されたのだった。


 が、終わったのは4時間後だったようだ。生地を作る時間や焼き加減や天板を入れ替える時間等々、雑な計算では見えて来なかった物が積み重なっていったらしい。いや最後の1,2回分程度は、味見と言う名の摘まみ食いで消費された分だったかも知れない。


「お疲れさまでした」

 沢山作ることが出来て満足したのか、恵美は満足顔だった

「お疲れ様です。先輩、次はもう少し量を減らして、ゆっくり作りませんか?」

 味は確かに美味しいのが出来てはいたが、兎に角忙しかったので優は疲れたらしい

「先輩、私クッキー以外も作りたいです」

 幸は色々と作りたい人なようだ

「クッキー以外?プリンとか、パンケーキとか、チーズケーキとか」

「ワシはチーズケーキがいいな」

「ウチはプリンのが」

「ワタシは、その中だとプリンがいいかな?」

「僕はチーズケーキのが」

「うーん、チーズケーキも良いんだけど予算を思うと、プリンかなぁ」

「よし3:2でプリンに決定だな」

「そうなるとプリンを100個ですか?」

 玉野は数がきになっていた

「うーん、そう言えば何人居るんだっけ?」

「プリンなら冷やしておかないとダメだから」

「あっ、そっか」

「冷やすだけなら、こんなのなら作れますけど?」

 優は氷の箱を作って見せた。


「えっ、魔法使いの人ってそんなの作れるの?」

 河内はあまり魔法を見慣れて無いのか驚いていた

「おお、一家に一人魔法使いが居れば、夏は氷柱、冬は火柱で快適な暮らしが、ワシの家にも是非とも欲しいものだ」

「ウチの所にも是非」

「先輩達、そんなに凄い魔法使いの人なら、ここの寮みたいにエアコン付きの家に住めますよ。ねっ?」

「それは貴族の人か大企業の社長さんを探した方が、普通の魔法使いは軍や警察に入ってもちょっと手当てが付くくらいで、エアコン付きの家に住めるほど稼げないと思いますよ」

「なんだぁ」

 玉野の夢は砕け散ったようだ。


「で、先輩話は戻るんですけど、何個作るんですか?」

「えーっと・・・いっぱい?」

「そう言えば、プリンの器はどうするんだ?」

「あっ、配れるほどは無いね」

「茶碗蒸しの器借りるとかは?寮のご飯で使うなら無理だけど、そうで無いなら借りれるのでは?」

「いいかも!でも、そうなると寮生皆とスタッフさんで300個とか作る事に?」

「自宅からの人もいるだろ?」

「少し考えて見るね」

 河内は考え込んでしまった


「おい、恵美。急がないと自宅組が帰宅する時間だぞ」

「あっ、ちょっと配って来る」

「という訳で、今日は終わりだな」

「だな」

「ここはワシらで片づけておくから、それ1袋ずつ持って帰んな」

「えっ、片づけいいんですか?」

 玉野は上級生に後始末をさせるのはダメだと思ったようだ

「いいのいいの、ワシら2人はクッキー焼いて無いんだから」

「それにウチらは、恵美待たないとだしな」




「1袋だから10枚入りだったはず。寮の皆でってそれだと1人1枚だし、うーん。自分で食べる?うーん・・・あっ、そっか」



 土曜日



「今日は宜しくお願いします」

「それじゃ、庭の草むしりを頼んでいいかしら?」

「はい」


「広いなぁ、魔法ですればすぐだけど・・・庭師さん達の仕事が無くなるのも駄目だろうし、お昼まではこれで時間潰さないとな。早く終わったなら帰って良いぞなんて言われたらユリアさんに怒られてしまう」

 と言う訳で庭師に混じり草むしりを始める優


「おう、坊主。随分綺麗にやってるな」

「そうですか?」

「根が残ってるだけでも、また生えて来るのもいるからな」

「へぇ」

「先はなげぇからな」

「はい」


 普通に草むしりを優がする訳は無く。普通に見えていて実は草を掴むと草根の根まで綺麗に抜き、土はしっかりと魔法で振り落とすと言う事をしていた。


「そろそろ昼だな。おう、飯にしようや」

「親方やっとですか」

「ああ、腹減ったぁ」

 と、庭師の人達がなる中


「三木さん、こちらへ」

 屋敷の者に呼ばれる優


「次は屋敷の中の事を手伝って頂きますので、体を洗ってお着替えをなさって下さい」

「はい」

 使用人達が使ってるシャワー室で体を洗い、置かれていた屋敷の制服に着替え


「ロマノフスキー様、お連れ致しました」

 優はユリアの部屋へと連れて行かれた


「こんにちは」

「やっと時間が出来たの、これで優とのんびり出来るわ」

「今日は何をされていたのですか?」

「おじさん達と面白くも無いお話を朝からずっとよ」

「お疲れ様です」

「ほんと、疲れました。優、私を癒して下さい」

「えっと、いいこいいこ」

 優は何をすれば良いのかが出て来ず、とっさに小さい頃に姉にされたのを思い出したのか、体が自然と動いてユリアの頭を優しく撫でていた


「あっそうだ。これ、昨日の部活の時間に皆で作ったんですけど、良かったら」

 優はクッキーの事を思い出し、ユリアへと手渡した。

「えっ、これ優が作ったのですか?」

「はい、河内先輩に教わりながらで初めて作ったやつです」

「食べていい?」

「はい」

「美味しい。ナターシャも食べて食べて」

「では、頂きます。おいしいですね」

「でしょう。優、また作って下さいね」

「はい。部活で作るので、またお土産に出るのがあれば御持ちしますね」

「楽しみにしてる」


 その後は、窓から見える瀬戸内海の景色を見ながら少し語り、そして日頃イチャイチャ出来なかった分を取り戻すようにユリアは優を求めた、そして短い昼のひと時を過ごし、ユリアは午後からの公務へ。優は寮へと戻った。



「優、買い物に行くから付き合いなさい」

「僕ですか?」

「そう、荷物沢山持てそうですし」

「分かりました」

 昼過ぎに寮についた優を待っていたのは、適当な理由をつけて今週の社交界の予定をキャンセルしていた椿の姿だった。


「わぁー」

「どうしたの?そんなに車が珍しい?」

「はい、バスは時々乗ってましたが、こんな高級車に乗ったのは初めてです」

「ふーん、そうなのね」


「椿、遅いっ」

「ほんとですわ」

 車が止まった場所の目の前にあったオープンカフェには、イチャイチャしてる香と百合の姿があった。いや、イチャイチャとは少し違うか、百合が一方的に香に抱き着いてるだけか

「仕方ないでしょ。優の帰りが思ったより遅かったのですから」

「えっ、僕の帰り?」

「お昼に帰ると言ってたから、私お昼我慢して待っていたのに、優ったらオヨヨ」

「椿さん。泣き真似は止めて下さい。それに僕は特にお約束とかは何も」

「さっ、細かい事はいいわ。行きましょう」


「優、覚悟しといた方が良いわよ」

「椿さん、凄いですものね」

「百合、あなたも相当凄いわよ」


「うーん、これ良いわね。あと、これと、それも頂くわ」

 椿は高級ブランドのお店に入るなり、目に付いた商品を片っ端から買っていた

「これと、これ、これの色違いで薄い青物はありますか?」

 片っ端からでは無かったが、百合もまた値札も見ずに服やバッグを買っていた

「うーん、うーーーん、これとこれ、どっちにすべきか」

 香は普通の子達と同じように、慎重に選んでいた。価格は庶民のお店よりも1,2桁多い品ではあった


「じゃ、優頼むわ」

 椿は、大きな紙袋などが10個ほどになった戦利品を指差していた

「これもお願い」

 百合は5個くらいだろうか

「私は自分で持てるから」

 香は1つだけだった

「香、まだまだ行くのですから、持って貰わないと」

 椿はそう言って香が持っていた。服の入った紙バッグを優に手渡した。

「優、大丈夫なの?」

「はい。まだ全然入りますから」

「じゃあ、よろしく」

「はい」


 この後、5軒ほど高級店を巡り、さらに3軒ほど生徒の間で流行ってる店を見て歩いた。こちらは商品が今一つなのか、特に買う事は無かったが流行は知っておきたいのかも知れない。


「まだ大丈夫ね」

 椿は腕時計を確認し、何故かホテルへと向かった。

「少し喉も乾きましたわね」

 百合はお茶を飲むのだと思ったようだ

「また、高いホテルを選んで」

 香もまたお茶を飲む気だったのか、ホテルに入っているカフェの方を見ていた


「そっちじゃ無いわ。こっち」

 椿はエレベーターの方へと皆を誘導した

「お茶じゃありませんの?」

「部屋の方が落ち着くけど、そこまでしなくても」

 百合と香は、エレベーターの中でもお茶を飲む休憩だと思っていた


「それじゃ、時間もありませんし、早速始めましょ」

「?」✖3


「ちょっと、椿!なんで脱いでるの」

 香は目をパチクリして驚いた

「椿さん、早く着たいお洋服でもありましたの?」

 百合も状況が把握出来て無かった

「・・・」

 無言で目を背ける優


「何を言ってるの?ここはホテルよ?」

「えっ」

「二人とも、優とHをしたんでしょ?」

「えっ、何よ突然」

「し、して、ませんわ」

「ねぇ、優。誰が一番気持ち良かったんですか?」

「何の事でしょうか?」

 とぼける3人

「誤魔化しても駄目よ。こんなに大きくして」

 優の股間を触り、さらに服のボタンを外す椿


「良く分からないけど、私は帰るわ」

「わっ、私も」

 香と百合は取り合えず逃げようとした

「それじゃ、私とだけ楽しみましょう」

 後ろから優を脱がしていた椿だったが、優をベッドに寝かせて早くも優の物を二人に見せつけるようにして入れて、気持ち良くなる姿を見せた。


「椿あなた・・・」

「香、あなたも本当は入れたいんでしょ?」

「そんな事・・・」

「百合あなたはどうなの?」

「私は・・・」

 考える二人


「優、今日も凄いわ。子宮があなたを求めちゃう」

 モジモジし始める香

「ああーん、もう優ったら、もっと頑張りなさい。もう2回も出して」

 ロシア皇帝の娘の婚約者とのHなんて1人だけだと、ただの弱点になってしまう為に秘密の共有者が欲しかった椿は少し焦っていたのかも知れない

「そ、そうよね。椿さん、次は私が」

 雑談で椿が言っていたのはこの事かと理解をし、香が動くのを待ってから「お姉様がなさるのでしたら」とついて行きたかった百合だが、体がその前に屈したようだ

「えっ、私も」

 香は基本的には仲間外れが嫌と言うのが一番大きな理由かも知れない。


「香の負けね。香のはこっちで我慢しなさい」

 昼にユリアともしていたからか、優のが少し硬さを失っていたので、百合は口で優のを復活させて、自ら咥えこませた。百合はまだ2度目ではあったが知識はあったのだろう、さらに椿の様子を見ていたので腰を動かし自分の気持ち良い場所を探りながら優を刺激した

「優、いや、そこ」

 優の顔の上へと腰を降ろす事となった香は、優の舌技に感じ腰をビクッ、ビクッと動かしてしまっていた。

「優、私も忘れてはダメよ」

 と、椿は優の手を自身へと導いていた


 その後は優が果てるまで、彼女達は優を求め続け急いでお風呂に入り。優は今後3人の玩具にされる事が決まったのだった。


 

 日曜日



「それで私は何をすればいいの?」


 学校の近くにある軍や警察が拳銃やライフルの練習をする射撃場へと、ゆきは優に誘われ朝から来ていた。


「本当はアクセサリーにしてから始めたかったんだけど、まだアクセサリーが完成して無いから、雷水晶を1粒手に持って雷の魔法が出るかを試して貰いたいんだ」

「私、雷適正は無いわよ?」

「うん、だからこそなんだよ」

「そう。魔力はどうすればいいの?」

「取り合えず。無しから、徐々に強くして行ってみて」

「ええ」


 ゆきは、雷水晶を手に指を的に向けて、雷が飛んで的に当たるイメージをした。


 パンッ


 小さな音がして、10mほど先にある紙の的に小さな穴が空いた


「そのまま、何発撃てるかを試して貰える?」

「ええ」


 パンッ×100


「弾切れは無いのかな?」

「そうね。どうする?」

「100も撃てたら十分かな」

「そう」


「じゃ、次は少しだけ魔力を込めて撃ってみてよ」

「ええ」


 バーン


 今度は少し大きな音がし、紙の穴が大きくなり後ろの崖の土から土埃が上がった


「大丈夫そうだな、それじゃあ多分割れると思うけど100くらいの魔力を込めて使ってみて」

「ええ」


 ドオーーン ガザァーーー


「どう?」

「そうね。ヒビが入ったわ」

「やっぱり」

 優は事前に自分でも試していたのだろう。ただ、自分以外の人がしても結果が同じなのかどうかを試す為にしてる事なので、これはこれでする必要はあるのだったのだろう


「それじゃ、大きさで変化があるかを」

「ええ」


「最後に色の濃さで」

「わかったわ」


 こうして色々と夕方まで試し、今日の魔道具の実験は終わりを迎えた。


「優お前は今日は何をしてたんだ?」

「今日は、九条様に紹介されたバイトだと詳細は言えないけど」

「ふーん、お前最近九条様にべったりだな」

「そうかな?ユリアさんの家の雑用のバイトもしてるぞ?」

「ここの寮がおかしいだけど、お前のバイト先も冷静に考えるとおかしいな。給料いいのか?」

「普通のバイトと同じだよ。別に良くは無いけど?」

「そっか、俺も龍二が遊ぶ時は金出してくれてるし、学生なのに軍人と同じような好待遇だからな。俺も仕送りしなければ日雇いしなくても十分遊べるんだよなぁ」

「ほんと、魔法が使えるってありがたい事だよ。神様ありがとうだよ」

「だな。このおかげで貧乏百姓の俺でも高校に通えてるんだもんな」


 夕方、日雇いのバイト帰りの豊夫と風呂で一緒になっていた。雑に言えばお金の話を二人でしてたようだ。

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