14日目 世界旅行?

 放課後となり、優は地図に書かれてる店へと向かった


「ここかぁ、とは言えここに入るのか」

 店の間でタジタジの優


「いらっしゃいませ」

 美人の店員さんが姿勢良くお辞儀をして向かい入れてくれた。


「本日はどのような物をお探しですか?」

「婚約指輪ってのを」

「えっ、お客様がでございますか?」

 15歳、しかもチビで女にも間違われる事がある顔の優である。店員は流石にこの餓鬼何を言ってるんだ?と、一瞬思ってしまったようだ

「はい」

「そっ、そうですか」


「今はこの様な物が流行りでございますが」

「綺麗ですね」

「お相手はどのようなお方でございますか?」

「真っ白い雪の妖精のような人かな?」

「それでしたら、こちらのプラチナのリングにダイヤを合わせた物などが、シンプルですがお似合いになられるかと」

「へぇ~、そうなんですね。全然分からなくて」

 指輪がずらりと並んだケースを、次々と出して来る店員。そして、どれを見ても綺麗に光ってる石だなくらいの優


「あの参考までにお聞きしたいのですが、お姫様?とかに贈る場合はどんな物になりますか?」

「えっ、お姫様でございますか?少々お待ちくださいませ」

 若い店員だったからか、先輩などに聞きに行ったのか奥へと引っ込んで行った。


「お待たせいたしました」

「はい」

「失礼ですが、お客様は九条様のお知り合いの御方でしょうか?」

「はい。そうですけど?」

「ああ、それで。大変失礼いたしました。奥にお部屋をご用意いたしておりますので、そちらの方でお話をお伺いさせていただきます」

「はあ」

 正直話を聞く程度のノリで来ていた優は、店長クラスいやもっと上だろうか?それなりに歳をとった中年のおじさんに連れられ、別室へと連行された(


「九条様からお聞きしておりますので、今すぐにご用意出来る物でしたら、この様な物になりますが、いかがいたしましょう?」

「すいません、これっておいくらなのでしょうか?」

「そうですねぇ、こちらで12万、こちらは25万、こちらがこの中では一番高くて52万ですね」

「あのそれって豪邸か何かの価格では」

「あはは、御冗談がお上手で」

「えっ」

「あはは、冗談です。予算の事もうかがっておりますのでご心配無く」

「ビックリしたぁ」

 一番安のでも、一生指輪の為に働く事に!と優は思ったようである。

 ※物語内の1円=現在の約1000円です。


「指輪って何でこんなに高いのですか?」

「そうですねぇ。こちらの物ですと、天然のダイヤモンドで、傷や濁りが無く、このサイズとなりますと非常に希少性が高く、この様な価格になってしまいます。こちらリングの部分もプラチナと言う希少金属でして、金のような価格の物となります」

「では、例えば材料を全部用意して持って来たら、おいくらに?」

「そうですねぇ。九条様の・・・うーん」


「失礼、社長デザイナーのラック様がいらっしゃいました」

「こちらに来てもらってくれ」

「畏まりました」


「やあ、君が指輪を?」(フランス語)

 髭を生やした外国人の中年男性が入って来た

「ん?」

「お姫様にプロポーズするんだろ?それは是非、僕の指輪を使って成功して貰いたいね。君もお姫様に世界一の指輪をプレゼントしたいだろ?」(フランス語)

「すいません、なんと言われてるのか」

 やはり津軽弁とフランス語は別の言語だったようだ

「いやね。彼は世界的な宝飾デザイナーなのだが、君がプロポーズに使う指輪のデザインをしたいと言っているんだよ」

 社長が通訳をしてくれた

「世界的なって、あの僕そんなお金持って無いです」

「そうだな。彼がやりたいと先に言ったのだから、デザイン料はお店が負担させていただくよ。九条様には何時もお世話になっているからね。それで、材料を持ち込むと言っていたが何かあてでもあるのかい?」

「特には無いのですが、たぶんどうにかなるかと」

「ははは、面白い子だ。それでは、材料がそろい次第、店に連絡を頂けますかな?」

「はい。少し調べて・・・うーん。週明けにはどうにかなりそうです」

「そうか、楽しみにしてるよ」

「はい。宜しくお願いします」


「で、社長。彼は何だって?」(フランス語)

「あなたのデザインで良いと言っていましたよ。ただ」(フランス語)

「ただ?」(フランス語)

「彼が自分で材料を集めて来ると言っていたがね」(フランス語)

「えっ、自分でかい?あんな小さな子供が?」(フランス語)

「そうだよ。あんな小さな子が本当にお姫様にポロポーズをするらしい。九条様に言われて今日は店に居てみたが、私もまさかあんな子が来るとは思っては居なかったよ」(フランス語)

「まぁ僕からお願いしたのだから、材料持って来れたらデザインはしてあげるけど、ハリガネやビー玉なんて持って来られたらどうしよう」(フランス語)

「ははは、その時は九条様がどうにかなさるさ」(フランス語)

「それもそうだね。彼女は凄い子だし」(フランス語)




「とりあえず、本屋にでも寄ってみるか」

 あまりに無知だったので、勉強をしないといけないと思ったようだ。




「うーん、分からん」

 教室で本を見て、頭から煙を出す優

「優どうした?」

 隣の席の山水が話かけて来た。仲良くなり名前呼びに変化したらしい

「あっ、うん。宝石って沢山種類がありすぎて、全部綺麗だしどれが良いのかわからなくて」

「えっ、優、宝石って誰かにプレゼントでもするの?」

 袴田も名前呼びになっていた

「やっぱり、ゆきさんですか!?」

 池田が一番食いついて来ていた

「そうじゃ無いんだけど、本読んでてプロポーズの時にダイヤの指輪とかってシーンがあって、何でダイヤなんだろ?って、それで他の宝石って名前も知らないから、こうして見てたんだけど、沢山ありすぎ。宝石言葉とかってのもあるぽいし、もう頭がパンクしてしまって」

 告白だのプレゼントだのと言うと、女の子の追求が激しくなると思い、必死に誤魔化す優


「ふーん。なんだぁ、ゆきさんに告白でもするのかと思ったのに、ざんねーん」

 山水はガッカリしていた

「はーい、解散解散。図書室で図鑑でも見とけば?」

 袴田も期待外れと言った感じだった

「優さん、頑張って下さいね!!」

 池田はまだ、ゆき告白すると思っているようだ。そして池田もまた名前呼びになっていた。


「昼休憩に来てみたけど、何処にあるんだろ?」

 宝石とかプロポーズなんて項目がある訳も無く、彷徨う優

「優、何してるの?」

 そこへ、ゆきが通りかかった

「うーん、宝石の勉強をしようかなって」

「そっ、じゃあ、こっちよ」

「ありがと」

 そして、それぽい本を数冊借りて帰りて帰り、夜寝る前に読んでいた



「あら、もう良いの?」

「うん、これだと写真が白黒だから、実物とか何処行けば掘れるのかな?」

「ここには無いわね。鉱物学科のある大学にならサンプルや採掘された場所のデータはあるかも知れないけれど」

「大学とか研究室みたいな所かな?そんな場所に知り合いなんて居ないよ、終わった」

「あなたの寮には、あの人がいらっしゃるでしょ?どうにかして下さるのでは?」

「・・・。確かにあのお方に頼めば・・・でも、こんな事で」

「大丈夫でしょ?」

「大丈夫なはずなんだけど、やっぱり畏れ多くて」

「私は応援は出来ないけど、頑張りなさい」

「うん。ごめんね」

 優は本を返却し、ユリアの呼び出しに応じ、また女装させられて女子寮へと行き。ユリアと合体をしてから寮に帰った。




「おい、優どないしたんや?悩みでもあるんか?」

「いや、うん。大丈夫、大丈夫」

「なんや、優の奴最近おかしいで」

「ああ、そうだな」

 ここ数日は何時もとは違う行動ばかりだったので、心配をされる優


「ヨシッ」

 意を決して席を立つ優


「九条様、少しお時間宜しいでしょうか?」

「えぇ、それでは私の部屋に来なさい」

「ハイッ」

 優は九条の部屋へと再び行く事になった。


「そいや、女子達がいうとったわ。優が誰かに告白するらしいって」

「いやでも、それは優が違うって否定してただろ?」

「豊夫、よー考えてみい。告白して振られてもーたら、かっこ悪いやろ?黙ってこっそりやったら、振られてもーてもバレへんやろが」

「って事は、まさか優の奴、九条様に!!」

「せや、優の奴が帰って来たら、結果聞いてやらんとな」

 盛り上がる二人

「馬鹿か、いくらあの優でも、九条様に告白とか無い無い」

 冷静な龍二



「あなた、宝石はご自分で用意すると言ったそうね」

「はい」

「それで、もう用意は出来たの?」

「えっと、その事でお願いがございまして」

「私に用意しろとでも?」

「いえ」

(念の為に用意はしていたのだけど、この子どうする気なのかしら?)

 相手はロシア皇帝の娘な事もあって、九条は相手にふさわしい指輪を最初から用意する事は不可能だと思い準備はしていた。お金が無いのだから無理して指輪を買うのはダメだとの考えもあるだろうが、社交の場などで縁日の指輪を付けさえる訳にもいかないのだった。


「宝石の原石の実物が見れる場を紹介して頂けたらと思いまして」

「原石?」

「はい。ここ数日宝石の本を何冊か読み勉強をいたしました。ただ、どの本にも無色透明とか血のような赤とかと言葉では書かれているのですが、肝心の写真は白黒な物か絵具で描かれたような物ばかりでして、今の私にはガラス玉もダイヤモンドも同じ透明色の石に思えて、原石を直に見れれば、違う気がしまして」

「原石ねぇ。分かりました、探しておきます。他には何かありますか?」

「いえ、宜しくお願い致します」




「おい、優どないやったんや?」

 龍二の部屋でドアを飲んでいた大輔は、優が帰って来るのを見逃さず。すぐさま確保に動いた

「なにが?」

「なんやなにがって、おま九条様に、告白しに行ってたんやろが?」

「えっ、なんで俺が?それに、九条様に告白とかそんな事が出来る訳無いだろ」

 呆れてる優

「ほら見て見ろ」

 龍二はそう言って持っていたコップ酒(ウヰスキー)を飲みほした

「なんだ、俺もおかしいとは思ってたんだよ」

 豊夫もそう言うと、湯呑に入っていた酒(麦焼酎)を飲んだ

「なんやなんや、まぁお前に先越されてのーて良かったわ。ワイもはよー彼女作らんとな。負けへんで!!」

「彼女って、お前そんなんでも男爵家の1人息子だろ?許嫁の1人や2人いんだろ?」

「そ、そ、そないな怖い奴。あっいや、許嫁なんかおれへん。ワイは胸のデッカイ女の子を嫁にするんや!」

 決め顔で言っているが、言ってる事は最低だった

「大輔も男爵様だもんなぁ。龍二も家が金持ちで・・・。俺なんて貧乏百姓の出・・・早く相手見つけ無いと、田舎に帰ったら見合い!見合い!見合い!!の日々が来るんだぞ」

「なんやお前、選びたい放題で最高や無いかい」

「馬鹿いえ、断れる見合いばかりじゃないんだぞ?特にあの村長の出戻りの娘なんて押し付けられた日にゃ。早く彼女見つけるか、早く大学決めるかしないと18が近づくとヤバイんだよ」

「なんや、そないヤバイ奴なんかいな」

「お前こそ許嫁いんだろ?」

「馬鹿いえあないな女・・・認めん、ワイは認めんで!あないな胸の無いおなごなんぞ。誰が結婚するかちゅーねん!!」

「胸何てどうでも良いじゃねーかよ。こっちは三十路の出戻りな上に性格最悪な女だぞ!!あっ、胸は大きかったな」

「なんやと!!」

「腹も出かかったが」

「・・・。ヨッシャー、飲もう。ほれ、飲めや、飲んで忘れよーや!」

「おう、今日は吐くまで飲むぞー。大輔の部屋に旨そうな洋酒があったな、大輔の部屋で呑み直そうぜ」

「あっ、ちょっと待てぇーやー、あれは、あかん、あれは高いやつやねん。ワイが彼女が出来た時に呑む祝杯用やねん」

「優、お前はどうすんだ?」

 珍しく二人に付き合う側になってる龍二は今日はまだ二人ほどは酔っては無かった

「俺は寝るよ。じゃあな」

「そか」



「こちらを」

「はい、ありがとうございます」

 翌日の朝食時に九条から優はメモを渡された


「ここか」

 優は系列の大学へとやって来ていた。そして、そこは女子大!

「すいません、ここに行きたいのですが」

「少々お待ちください」

 そう、女子大なので男は入りずらいのだった。運良く今日は土曜日で講義は無かったので女子大生の数はほぼ無く、閑散としていた。


「案内の者がすぐにまいりますので、お待ちください」

「はい」

 正門にある守衛所前で待つ姿は、少しだけ出入りしてる女子大生の目をひいていた


「お待たせいたせました。三木様でしょうか?」

「はい」

「では、こちらへどうぞ」

 案内係の男性は自転車に乗って来ていたが、荷台が無く二人乗りが出来なかったので、それなりの距離を歩き資料庫へと向かった


「こちらが各種宝石の原石標本となっております」

「はい、ありがとうございます」

 優は別に小難しい説明は必要では無かった。見たかったのは自然界でどのような見た目で存在してるかだけだったのだ。


「大変参考になりました。ありがとうございます」

「いえいえ、また分からない事があれば、聞きに来てください」

「はい。その時は宜しくお願いします」


 こうして情報を得た優は、そのまま大学の図書館へと向かい、世界地図を手に記憶をさかのぼり、地名を思い出して調べ、位置をメモして行った。


 女子大を後にし、近くの定食屋で素うどんを食べると彼の世界旅行が始まった。


「最初はダイヤからかな、えーっと南アフリカの・・・」

 優はメモの鉱山の場所へと飛び、上空1万メートルよりダイヤの鉱山と似た反応を示す場所を探し、そこからゴッソリとダイヤの原石を取り出し、自身の魔法倉庫へと送り大小様々なダイヤの原石を一斗缶3個分ほど集め

「次はサファイアでビルマか」

 以下、ルビー、アクアマリン、エメラルド、ペリドット、トルマリン・・・世界各地の宝石を一斗缶に数個分程度ずつ集めて回った。

「後は、金とプラチナか」

 と、言って金は純金と言う言葉を知っていたので、不純物を取り除いた物を10tほどプラチナも1tほど確保し、夕方には寮へと帰っていた。


「ふー、疲れたぁ」

 まぁ魔法で飛び回っただけなので、特に疲れなどと言うものは無かったのだが、世界中を飛び回ったのだから旅の締めくくりは温泉だろうと、寮の風呂に入りに来ただけだった。

「ふぁぁ生き返るぅ~」

 この手のセリフを言うだけでも気分は盛り上がると言うもの


 露天風呂の縁に頭を乗せ目を閉じ、温泉の気持ち良さに身を任せていたら少し眠ってしまっていた

「お風呂で寝ていたら死んでしまいますよ?」

 何処かで聞き覚えがある声で目を覚ます優

「黒?」

「また見てるのですか?ほんと、優は私のパンツが好きなんですね」

「えっ」

 入口に男子入浴中の札をかけて入ったはずと焦る優


「そんなに怖がらなくても、今、は、何もしませんわ」

「えっと、何でここに」

「私と二人きりになるのはお嫌で?」

「そんな事は無いですけど」

「じゃ、問題無いわね」


「それで、何なんですか、こんな所で」

「だって食堂じゃあの人がいるじゃない。それないあなた最近、忙しくしてて二人きりになれる時なんて無かったでしょ?」

「はあ」

「九条様と何をなさってるのかしら?」

「別に何もしてませんよ」

 椿の方を見るとまたスケベ扱いされそうなのもあって、顔を必死に逸らし答える優

「私の目を見て言えまして?」

「だから・・・あっ」

「優が欲しそうに見てたから、どうぞ」

「・・・」

 振り向いた優が見た物は、しゃがみ込んだ椿のスカートの隙間から見える具だった。さらに、頭に脱ぎたてのパンツを被らされ、無言になる優


「それで、本当は何をしてるのかしら?」

「何もしてませんよ」

「ふーん、本当はそんな事はどうでもいいの。ねぇ、優も早く楽になりたいでしょ?」


「ねっ、お願い」

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