第13話 レベル30からの街を観光

 俺は闘技イベントに出ることを決めてから3日間、ゴブリンやオークなどのモンスターを倒しまくっていた。

 スキル 『サイコエンチャント』を剣に使うと、普段なら切ることができなかったオークも簡単に切ることができるようになり、これによってモンスター討伐の効率は相当上がっていた。

 

 そうして3日目、俺はレベル26までレベルを上げることに成功していた。

 「しかし経験値獲得量2倍ってのはすごいな。グングンレベルが上がっていく」

 特に強敵と戦っていたわけではない。それどころか今の俺ならば楽に倒せるようなやつばかりを倒していた。それなのに今の俺のレベルはぐんぐん上がっている。

 これが経験値2倍の恩恵か。

 「そういえば今まではレベルが5とかそのくらいの、節目みたいなところまで上がったら新しいスキルが手に入ってたけど、今回の26の時にはないんだな」

 なぜないのかは深く考えないようにしよう。きっと神様の気まぐれだ。考えたところでスキルが手に入るわけでもない。


 そしてまた3日がたち、闘技イベントまで残り1日となった。

 そして俺のレベルは30まで上がりきっていた。

 おまけにレベルが30となったことで新たなスキルを獲得し、そのスキルの名は『パワー爆発』。このスキルは、これを発動したタイミングで自分が生成したサイコパワーを爆発させるスキル。

 例えばサイコエンチャントでそこらへんの石にサイコパワーを付与する。そこに俺がこのスキルを使うと石の周囲に爆発がおこるのだ。

 また、ねんりきなどのスキルを敵に命中する前に爆発させることもできる。そして爆発の大きさは爆発させるサイコパワーの大きさによって変わり、同時に爆発させれるサイコパワーは1つまでらしい。

 「サイコパワーを利用した攻撃スキルかあ。これはだいぶ便利そうだ」

 

 それと、俺のレベルはもうレベル30になってしまった。ということはこれ以上モンスターと戦闘をすると、レベルが上がって闘技イベントに参加できなくなってしまう。

 そうなるのは流石に嫌なので明日は戦闘は休み、何かほかのことをするとしよう。ただ他のことといっても何をすればよいのだろうか。

 「まあ明日のことは明日考えればいいか。ただひたすらゴロゴロするのとかもいいし」

そうして俺は次の日を待つのだった。


 次の日、俺は早朝から街を歩いていた。

 「そういえば俺って、この街をみて回ったりとかそういうのはしてなかったよな」

 この大きくて広い街を観光していなかったと思うと実に損をしていたな。あたりを見回せば見回すほど、歩けば歩くほど見たことのない建物がでてくる。それどころかなんかモンスターみたいな狼を連れてる人すら見かける。

 「ギルドではあんなの見なかったぞ」

 まあ俺が見かけなかっただけでいたのかもしれないが。


 そうして歩いていると俺はふと目に入った、『雑貨屋 グランベルショップ』と書かれた看板が立て掛けられている店に入る。

 中に入ると回復薬やパンといった、俺がよく購入する代物や爆弾のようなものに、香水のようなものまで色々置かれている。

 俺はその爆弾のような物に近づいてそれを手にとってみる。

 (煙玉?) 

 そんな文字が書かれた札がたてられていた。

 俺が興味津々な様子でそれを手に取りみていると、店の奥から店員のような白髪ショートヘアの女性がでてきた。

 「その商品をお買い求めなられますか?」

 そんな声がその女性から俺にかけられた。

 「すいません。あまりこれについて分からなくて、できればどういったものか教えてもらえますか?」

 俺はちょうど出てきた店員の女性に煙玉の説明をお願いしてみる。

 「はい。この商品は地面に強く投げつけたりすると真っ白な煙幕を周囲に展開する代物です。冒険者の方がよくモンスターからの逃走などに使われます。お値段は少々高いですが緊急の時に役立ちますので1つほど所持しておくのをおすすめしますよ!」

 それの値段は3000ゴールド。ゴブリン1体の討伐の賞金よりも1000ゴールドほどお高いが、前の森での出来事のようにイレギュラーが起こってしまうかもしれない。言われたとおり1つは持っておいた方が良いのかもしれない。そうして俺は煙玉を購入して、この雑貨屋を後にするのだった。


 雑貨屋を後にしたあと、俺は怪しい小道を見つけていた。しかもその奥には怪しい店が立っていた。

 「なんだこの店。デュアブルエリックだ? 見るからに怪しい……」

 そんな店舗に俺は好奇心からか、足を入れていた。店に入ると、すぐに聞き覚えのある声が俺の耳に飛び込んできた。

 「いらっしゃ……あ、」

 その声を発したのはかつて俺が救い、そして俺に経験値獲得量2倍の魔石を与えたリコ・ガラポーユだった。


 「何であなたがこの店に……」

 そんな疑問をリコは俺に投げかけた。

 何でって言われても明確な理由を持って店に入ったわけじゃない。というか店に入ることに何か理由が必要なのか? そう思った俺はこう答える。

 「そこに店があったから、かな。そんなことよりこの店ってどういうもんなんだ?」

 ついでに俺が質問をしてみるとリコは答えた。

 「この店は前にあなたにあげた魔石みたいな、私が錬金術で作った物を売り払ってお金にするための店」

 その言葉を聞いた俺は頭に浮かんだ1つの疑問を口にする。

 「じゃあ何でこんな誰も客がこなさそうな場所に店を建ててんだよ」

 リコはどこかムカついたような声で答える。「お金がなかったから」

 え? と俺は聞き返す。

 「そのままの意味。いい感じの土地に店を建てるほどのお金がなかったから」

 けれどもこいつには俺にパッと30000ゴールド上げれるほどの資金があるはずだ。いい感じの土地に店を立て直すほどの資金なら持っているだろう。多分。きっと。そして俺はその疑問を口にした。

 「でも今は多分もう結構金があるだろ?もっと客がきそうなところに店を立て直さないのか?」

 するとリコは答える。

 「この店結構気に入ってるから。まだ4ヶ月くらいしか経営してないし」

 なるほど、納得だ。

 そして俺はその店に並べられている商品に目を向ける。面白そうなもんが大量だ。雑貨屋では見られなかった物ばかりがそこには置かれていた。しかしそれのどれもが恐ろしく高い値段ばかりだ。

 特に高いのは魔石。

 あれってこんな高級品だったのか? それともこいつが相場の数倍の値段でもつけているのか? もしも前者だった場合はこいつは俺にこんな値段の物を無償でくれたのか。いったいなぜだかわからないが実にありがたい。後者だった場合は……あまり考えないようにしよう。

 そして俺はそいつに声をかける。

 「なあリコ、この店でいい感じの値段で買えるいい感じの商品ってなに?」

 するとリコは1つ商品を手にとって俺の質問に答える。

 「いい感じの値段で買えるいい感じの商品とかいうふざけた質問に答える商品ならこれかな」

 そしてリコは俺にその縄のような物を見せつける。

 「これはテイムの縄っていうやつで本来調教師の系統の天職の人しかできないモンスターのテイムをこの縄1つにつき1回できるアイテム」

 

 (調教師にモンスターのテイム……なるほど。俺が街で見かけたのはそれだったのか。というか本来特定の天職しかできないことを1回限りだができてしまうのか。錬金術ってのはチートなのか?)


 「これはいろいろレアな素材混ぜまくってようやく1個できた代物。この性能の割に魔石に比べたらお安い代物だから購入するならどうぞ。1個100000ゴールド」

 高っ!! と声が漏れそうになるが抑える。欲しい。特定の天職しかできないことを可能にするアイテムとか欲しいに決まってる。

 てかモンスターテイムしてみたい。しかし1個100000ゴールド。今の俺の全財産は300000ゴールドくらいだっけか。そう考えるとこの6日でかなり稼いだ気がする。1個買うだけで俺の全財産の3分の1か。ただ今後贅沢しないのならば余ったお金で全然生活できる。つまり買うことができる! 結論は出たため俺はリコにその言葉を告げる。

 「1個ください」

 リコがまいどありと、どこかめんどくさそうな声で答えると俺の手にはテイムの縄が握られていた。そして俺は満足して店を出るのだった。

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