取れてない裏と魔王信仰

「ミナカさんにお聞きしたいことがあるんですよ」


 リストを見てミナカさんの部屋を再び訪れた俺はミナカさんに疑問ぶつける。


「なんでしょうか?」

「……闇ギルドとの繋がりがありますよね?」

「……それがどうかしましたか?」

「この国で闇ギルドと繋がりがあると犯罪になるのはご存知ですよね?」

「はい。それは知ってますよ」


 いつものニコニコとした表情を崩さずにミナカさんはそう俺に告げる。

 決定的な証拠を突きつけられているのにこの余裕はなんなのだろうか?


「ミナカさんお世話になった身なのでこういうことは言いたくはないのですが、ご自身の立場を理解されてますか?」

「いいですか、アレクさん。そのリストをどこで入手したかは分かりませんが、裏は取ったんですか?」

「裏?」

「情報がただしいかをきちんと確認したかを聞いてるんです」


 ミナカさんから明らかな怒りを感じる。

 裏を取る時間はなかった。

 正義の信奉スティルジャスティスのメンバーが危険な目に遭うかもしれないと思うといてもたってもいられなかったのが本音だ。


「お引き取り願います」

「……分かりました」


 俺はミナカさんに何も反論できずに部屋を後にしたのだった。


――――――――――――――――――――


「それでお前も疑われ始めたわけだが、これから先どうするつもりだ?」

「アカシアさん、貴方はもう確定的にダメなんですからここには来ないで欲しいとお伝えしたはずですが?」


 アレクさんが部屋を後にした後の静寂に包まれた部屋でアカシアの声が響き渡る。


「ふん。そんなものは関係ない。今はミナカお前の進退の話をしている。どうせ大方あれもダーフのジジイが俺達を嵌めるために渡したものだろう」

「まあ確定……とは言えませんが、大方そうでしょうね。魔王信仰を貫いている彼らにとって私達は邪魔でしょうから」

「魔王信仰か……。全くつくづく厄介な存在だ」


 魔王信仰はその昔、勇者に封印された魔王を復活させるために暗躍している組織だ。

 私はそんな魔王信仰に対抗するためにギルドに所属したのですが……。


「まさか支部のトップが魔王信仰者とは思いもしませんでしたね」

「感情に浸っている時間はないぞ。前に話していた商人の息子と魔法がやたら使える娘との交渉はどうなった?」

「そちらは順調に進んでます。特に商人の息子の……コンと言いましたか。彼はかなり意欲的でしたね」

「それならそちらを先に進めよう。ミナカわかっているな?」

「勿論」


 それだけ告げるとアカシアの声は聞こえなくなる。

 魔王信仰……。

 私の故郷を滅ぼした存在。

 必ず私が根絶してやる。

 私はそんな強い意志をまた胸に燃やして仲間作りと業務へと戻るのだった。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る