胡散臭さと目覚め

 声かけてきた胡散臭い冒険者風の男に正義の信奉スティルジャスティスの視線が全て集まる。

 俺は風貌の胡散臭さにため息をつく。


「噂話なら他でやってくれないか? 俺達は大切な話をしているんだ」

「噂話……ですか……。ほんまにそうですかね?」


 男の返答が俺は妙に気になる。

 胸の奥で嫌な引っかかり方をしている。


正義の栄光グランドジャスティスのメンバーは知っての通り強すぎますわ。それもリーダーのラルコスを除いて規格外に」

「何が言いたい?」

正義の信奉スティルジャスティスの皆さんが1番詳しいと思うのでお聞きしますけど、ラルコスの職業は知ってますか?」

「いや……みんなは?」


 正義の信奉スティルジャスティスの全員が首を横に振る。


「ラルコスさんが弱いことは知ってますが……」

「同じく」

「僕もそうですね……」


 俺もラルコスの職業は知らない。

 ラルコスが戦闘ではあまり役に立たない職業であることしか教えてもらったことはない。


「それと今回の話と何が関係ある?」

「……妙だと思いませんか?」

「妙? 何がだ?」

「仮にラルコスが弱かったとしてですよ。何故、正義の栄光グランドジャスティスのリーダーをしているのか。何故、リルとアカネの2人はラルコスと行動を共にしているのか」


 胸がざわつく感覚に襲われる。

 何故か俺の心のうちがラルコスを悪と決めたがっている。

 だが、ラルコスは非道なことをするやつではないはずだ。


「……まあまた何か分かったら報告させてもらいますわ。うちはコン。スティレット商会の息子やさかい。よろしゅうに」


 それだけをいうと男は酒場の雑踏へと消えていった。


「なんだか胡散臭い人でしたね……」

「……まあな」


 確かに胡散臭かったが、正義の栄光グランドジャスティスが何故追放を行なっているのか、何故魔王とやらはあんな発言をしたのか……。

 わからないことだらけだ。

 それに精霊の泉で俺自身が強くなった件だってまだ何も分かっちゃいない。

 心の奥底にあった違和感が形を変えて俺を襲ってきていた。


――――――――――――――――――――――


「うーん……」

「あっ……! ラルコスさん! ウンランさんが目を覚ましましたよ」

「やっとか……」

「ここはどこアル……?」

「ここは正義の栄光グランドジャスティスのパーティーハウスだ」

「恒星の輝きの探索はどうなった……うっ……」


 目覚めたウンランが頭を抑える。

 まるで何かを思い出さないようにしているみたいに。


「恒星の輝きは無事にクリアした。お前は合格だ、ウンラン」

「本当アルか! それは急いでじいちゃんに報告を! ……ッててて」

「バカ、慌てるな。どうせ時間はある。怪我を治してから報告しにいけばいい」


 俺は怪我をした体で急に動こうとしたウンランをなだめてベッドへと連れ戻す。

 恒星の輝きでの戦闘の結果、俺達は魔王を倒した……そのはずだ。

 そのはずなのに胸に残るあの姿を見た時のざわめきは止まない。

 俺は感情の正体を確かめるべくウンランをしばらく正義の栄光グランドジャスティスにとどめる選択をするのだった。

 

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