元猫が転生して勇者になり、レベル1のまま魔王討伐☆その後アイドル始めましたにゃ!

Omote裏misatO

第1章:転生したら、なんかスゴい体になってた(ニャハ!)

第1章:転生したら、なんかスゴい体になってた(ニャハ!)





 ニャー! 目が覚めたら、世界がキラキラすぎた!

 キンキラの金色の柱、雲みたいなふわふわの床、空中には原稿用紙がフワフワ漂ってる。「ハーレム展開」「魔王討伐」「感動のクライマックス」なんて文字が踊り、キラキラ光る魔法エフェクト付き。ニャ!? ここ、完全にラノベ空間ニャ!? ていうか――

「ニャー!? 足!? 手!? なんで立ってるの、あたし!?」

 元・三毛猫のミャウコ。さっきまで魚市場の片隅でツナ缶を狙ってたら、トラックにドーン!されて無念のご臨終…のはずが、今、超ボンッキュッボンなグラマラスボディで二足歩行してる!胸、重ッ!尻尾、フリフリ! 猫耳カチューシャピコピコ!目の前の水晶鏡に映るのは、金髪碧眼のセクシー美女。ニャ!? これ、私!?

「うそ、なにこの体!?魚市場に帰してニャ!」

 慌てて周りを見ると、空中に浮かぶ怪しいおっさんがニヤニヤ。白髭にローブ、頭にはラノベ文庫の表紙みたいな光輪がキラキラ。後ろには「売上100万部!」って幻影まで浮かんでる。めっちゃ胡散臭いニャ!

「ふむ、この肉体…完璧だ!物語が動き出す音がするぞ!」

「ニャ!? 誰!?てか、この胸、動きづらいんだけど!?」

 おっさんはドヤ顔で名乗った。

「我はラノベの神、ゼノス。汝を異世界〈レグノシア〉に召喚した。この世界は魔王が復活し、混沌に飲まれつつある。汝こそ、勇者として選ばれた者だ!」

「勇者!?やだニャ!あたし、魚と寝床があればいいだけ! トラックの運転手に文句言うから、元の世界に帰して!」

 ゼノスがニヤリと笑い、指を鳴らす。空中に金の契約書がポワン!と出現。「報酬は1000億ゴールド! 伝説の100階キャットタワー、魚型クッション付き! さらに、毎日ツナ缶食べ放題!」

「ニャッハー! やる! それやるニャ!」

 ……でも、ゼノスの視線が私の胸元にチラチラ。絶対この体で選んだだろ、この神!猫の勘、ビンビンだニャ! でも、キャットタワーとツナ缶のためなら、勇者でもなんでもやってやる!

 ゼノスが手を振ると、レグノシアの情報が頭に流れ込んできた。

 人間、魔族、エルフ、ドワーフ、龍族……多種族が共存しているが、表面的な“平和”の裏で人間と魔族の戦争だけは止む気配がない。数百年にわたり、戦いはもはや“日常”となっていた。

 魔王軍が復活し、王国は大混乱。村は襲われ、税金は爆上がり。

 各国は予算不足で、勇者や戦士をフリーランスで募集。でも公務員の討伐隊戦士は家で寝てるらしい。

 勇者ビジネスが大流行。

 でも、なんか怪しい。魔王軍の襲撃が「予定調和」っぽいし、税金は王都に吸い上げられてる。誰か、戦争で儲けてる?

「まずは仲間と合流し、魔王軍の前哨基地を討伐せよ。物語の第一ページ、開幕だ!」

 ポワン! 魔法陣に巻き込まれ、気づけば王都レグノスの郊外、ガロ村の広場に転送されたニャ。

「だが忘れるな、汝の肉体はまだ“第一段階”にすぎぬ。真なる姿が目覚める時、この物語は大きく動くであろう……」


■カオスな仲間たち、登場!

 ガロ村に着くなり、村人たちが「勇者様!」「セクシーすぎる!」と大騒ぎ。私のシャツには「勇者」って金ピカ刺繍、背中には「#ミャウコ様」ってハート付きロゴ。ゼノス、センスやばいニャ!

 そこに、仲間3人がドタバタ登場。

「俺はガレン、元・魔王討伐隊の剣士。任務は命を懸けて遂行する」

 金髪短髪、キリッとした目のイケメン剣士。でも、その手元……握った剣が、ほんの少し震えてる?

(ニャ……緊張してる?それとも……何か、怖い記憶でもあるのかニャ?)

 そう思った瞬間、私の中でモヤっとした何かがよぎる。……元・猫の勘か、それともこの新しい身体のせいか。なんか、ちょっと気になるニャ。

「ふん、私はルナ。火・雷・氷の魔術なら私に任せなさい! ……でも、そのバカっぽい体、戦場で邪魔にならないの!?」

 ブラウンカラーのショートヘアの魔法使い。ツンツンしてるけど、私の体つきが気になるのか、チラチラ見てるニャ……。

(ニャ? なんか……この子、無理して強がってる感じ?)

 それに、“任せなさい!”って言った声の奥に、ほんの少しだけビクッとした震え。……過去に何かあったのかニャ?いや、ただの気のせい?

 でも、この猫の勘はバカにできないニャ……。

「し、失礼っ……あなたは、勇者様で……いらっしゃいますか?」

 黒髪メガネの僧侶風の少年。ちょっとオドオドしてて、でも私の猫耳をじーっと見てる。

「……猫耳……しっぽ……その佇まい……いや、まさか……」

 なんかゴソゴソ鞄からノート取り出して、なにかめっちゃ早書きしてるニャ!?

「……記録によれば、“聖なる獣の化身は猫の姿を帯び、銀河の背から現れる”……まさか、まさか本当に……っ!」

 ぶつぶつ言ってたかと思ったら、いきなり地面に正座。

「おそらく、あなた様は……“ミャウ……こ……様”……あっ、すみません、今、即興で名前つけました!」

 い、勢いすごいニャ……。これが、信仰心ってやつ? でもなんで名前当てたのニャ!?猫の勘、侮れないニャ!

 ガレンが地図を広げ、キリッと説明。「最初の依頼だ。森の奥に魔王軍の前哨砦がある。報酬は…魚10トン分相当!」

「ニャッハ!魚!?行く行くニャ!」

 村人のおばさんがボソッと呟く。「でも、報酬の9割は王都の税金で持ってかれるんだよね…魔王のせいで税金上がったって言うけど、なんか怪しいよな…」

 ニャ? 変な空気? でも、魚10トンのためなら、なんでもやるニャ!


■初☆雌豹ポーズ、炸裂!

 森の奥、魔王軍の砦前。ゴブリン、オーク、トロールがズラリと並び、殺気ムンムン。ガレンが剣を構え、ルナが炎の魔法陣を展開、テオが「ミャウコ様に加護を!」と祈祷開始。そして私は――

「ニャッハー!究極雌豹ポーズ、全開!」

 胸を突き出し、ヒップを突き上げ、くびれを反らす。猫耳型のアクセサリーがピコピコ揺れ、お尻をフリフリ、背後にキラキラのオーロラエフェクト! 決め台詞は「ハンティング・スタイル、発動ニャ!」

 その瞬間、時間が止まった。

 ゴブリンが鼻血でバタバタ倒れ、オークが「美しすぎる…!」と泡吹いて気絶、トロールがハート目で「ミャウコ様、結婚を!」と叫びながら土下座。砦の門が勝手に開き、敵兵が「降伏!降伏します!」と白旗を振る。空には謎の花火が上がり、鳥が猫耳を生やして「ニャー」と合唱。

 ……でも、味方もヤバい。

 ガレン、剣を落として「何……この衝撃……! 心が……揺れる…!」と硬直。ルナ、真っ赤になって「バカ! 敵も味方も関係なくダメージ!?何このポーズ!?」と叫び、魔法陣が暴発して髪がボサボサ。テオは「神の奇跡!」と5回昇天、自動蘇生で復活しまくり。

 私は爪を振り、砦を10秒で壊滅させたニャ。残った敵兵、気絶しながら「ミャウコ様……SNSでフォローします…」と呟いてる。  ニャハ、楽勝すぎ!

 だが、砦の奥の闇に潜む影がつぶやいた。「あの猫の勇者が動き出したか……計画を、次の段階へ移すぞ」と低い声が響いたが、私は気づくはずもなかったニャ。


■夜、ゼノスの不穏な警告

 村に戻ると、村人たちが拍手喝采。

「勇者様、1日で砦を!?」

「でも、王都が報酬9割持ってくんだよね…」

「魔王のせいで税金上がったって言うけど、王都の貴族が豪邸建ててるって噂だぞ…」

「勇者登録所に払う“登録料”もバカにならないしな…」

「勇者になれば一生安泰って言われてたけど、実際は借金だらけで夜逃げしたって勇者様もいるんだとさ…」

 ニャ? また変な空気。魚10トンはどこニャ?

 宿屋のベッドで寝る私の夢に、ゼノスが再登場。背景に「売上ランキング1位」の幻影がチラつく。胡散臭さパワーアップニャ!

「見事だ、ミャウコ。だが、汝の“魅了”は危険だ。物語のルールを歪め、魔王すら超える脅威になるやもしれぬ…」

「ニャ?何それ、怖いニャ。キャットタワーとツナ缶、ちゃんとくれるよね!?」

「報酬は必ず。だが覚えておけ。この世界、魔王を倒すだけでは終わらぬ。誰かが“物語”を操り、利益を得ている…汝の自由は、その全てを壊すかもしれん。……そして、ミャウコ。変身時の“演出”も重要だ。己の姿に名前を与え、物語に“型”を刻むがよい。世界は“型”に弱いのだ」

「へ? なにそれ、厨二ってこと?」

「たとえば“ナイトモード”なら──」

「──うーん、なんかちょっとセクシーな気分なんだにゃ♡ ……みたいな?」

「……想像以上だな。だが、それでいい」

「ニャハ、任せて!ミャウ様のセンス、なめんなにゃー!」

「……(今、世界がまた少し歪んだ気がするが……気のせいだろう)」

 ゼノス、意味深なこと言って消えた。ニャー、なんか面倒くさい雰囲気!? でも、私は魚とキャットタワーがあればいいニャ!

 新フォーム、第一弾の名前は──『雌豹ハンティングモード』に決定ニャ!

決めゼリフは……「愛と肉球で狩ってやるにゃ♡」でどうニャ!?

目標:1000億ゴールドと100階キャットタワー!

方法:雌豹ポーズで全部解決!


こうして、ミャウコの物語が始まったニャ! でも、なんかこの世界、裏がありそう…?


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