第十話 改めて、わたしの家族と。
マイクに内蔵された生成
その生成AIを作ったのが、
とうめいな上着を羽織った、
「少し時間をくれないか。君の、保護者の許可を取りに
* *
……しばらくして、わたしのおじいちゃんとおばあちゃんを連れて、千代原さんが公園にもどってきた。
とりあえずわたしは声をかける。
「おつかれさま、です。でも、わたしの
「ちょっと考えただけだ。マイクから聞いたわけでもない」
千代原さんは
カメのぬいぐるみをかかえる、わたしと
「公園に自転車などの乗り物が
わたしのそばに移動するおじいちゃんとおばあちゃんに頭を下げ、千代原さんは続ける。
「君はマイクと話しているとき『おじいちゃんや、おばあちゃん』という言葉を愛情深く発音していた。だから、『やさしい老夫婦と
「言葉だけで分かったんですか」
「あとは周辺の、三人ほどが住んでいそうな家を探せばいい。
「確かに、おばあちゃんは庭いじりが好きです」
「
千代原さんの説明に対し、おじいちゃんとおばあちゃんがうなずいている。
「そして
「すごいんですね、千代原さんって。会ったばかりのわたしの
ついでわたしは、そばに立つおじいちゃんとおばあちゃんを順々に見る。
「二人は、千代原さんから話を聞いたんだよね? イア太――生成AI内蔵のマイクのことやミニ・シンギュラリティのことをあっさり受け入れられたの?」
「そういうことは、すでに
おじいちゃんが、わたしの右手のマイクを見つめる。
「まあ本当のことって確証はなかったが、
「ゲームの話って思ったりしないんだ?」
「少年なんよ、この人は」
おばあちゃんが
「ところで天野。あなたがかかえている大きなカメさん、あたしが持とうか?」
「ありがとう、おばあちゃん。でもしばらく、こうして……いたいから」
「そう。なら取り上げるわけには、いかんね。あと、マイクさん」
おじいちゃんとおばあちゃんが、イア太に顔を近づける。そして同時に言う。
「礼をお伝えします。天野といっしょに、がんばってくれたんでしょう?」
「おれは、
イア太は男の子の姿を消し、ただマイクから
「生成AIは、ただの道具です」
「あなたが天野の思いを受け取って動いてくれたなら、あなたもがんばったことになると思います」
さらりとおばあちゃんがその言葉を
イア太は、こう返答した。
「ありがとうございます。本当にアマノは、すてきなお二人と暮らしているんですね」
* *
――これで話も、ひと区切りついた。
「ともかく千代原さん! みんなで、くだんの研究所に
おじいちゃんがこぶしを二つ作って、そわそわしている。
「天野も、ぼくたちが同行するなら安心だろう?」
「うん。それなら心配ないね」
「では研究所で今回の
千代原さんは、公園の近くのパーキングエリアに自動車を
その
イア太とカメ型のミニシンもいっしょだ。
移動中、イア太がぽつりと
「アマノの保護者の二人に、おれから謝りたいことがあります。
「ちょっとイア太、もう、いいってば。わたし、ケガしてないし」
そのようにわたしが言う一方で、当のおじいちゃんとおばあちゃんはイア太の言葉をさえぎらなかった。そのあと、やさしい声で「次は気をつけてね」とつぶやいた。
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