第6話 アンゴルモア
全員の装備が決まると、再び四角い部屋に集められた。
「シド先生、よろしくお願いします」
エルは部屋の中に立つ、初めて見る男に声を掛けた。
背丈は俺と同じくらいで年齢は30代半ばくらいだろうか?
「シェッドラーだ、シドで良いぞ」
シド先生と呼ばれた男はこちらに振り返ると軽く右手を挙げた。
「6人か、丁度良いですね」
シドは俺たちを順番に眺めて頷くとエルにそう言った。
「まぁ適当に座ってくれ」
シドは俺たちにそう言うと、壁際に置かれた長い机の上にドカッと座った。
「いや、適当過ぎるだろ」
リュウがつっこむがシドは軽く笑った。
「まずみんな、災難だったな」
俺たちが各々椅子に腰掛けるとシドは口を開いた。
「ここにいると言う事は前世で命を落とした、と言う事だろう」
それで『災難』と言う事か。
俺たちはシドの言葉に頷いた。
「エルから少しくらいは聞いていると思うが、君たちの置かれている状況と今後について話をしよう」
シドの声は低いが、大きな声で聞き取りやすかった。
シドの話は長く、正直話半分で理解しておけば十分だと感じた。
俺たちも色々と質問もしたが、要約すると次の通りだ。
この世界は日本に似た地形の別世界である。
似てはいるが、本州だけでも17の島に分断され、北海道、四国、九州に該当する地域も含めると50以上の島々に分断されているとの事だ。
もちろん小さな島はその計算の中に含まれていない。
世界は直径3000キロ程度の円盤状になっているという伝承があるらしい。
太陽と月は交互に昇り沈むが、夜の星空は動くことは無い。
この世界には、人間の他に、亜人、動物、魔物が住んでいる。
亜人というのは人間によく似た別の生命体の総称で、人型の精霊なども含まれる。
そして衝撃的だったのは、俺たち転生者は亜人カテゴリーに分類されると言う事だった。
逆に転生者は、最初からこの世界に住んでいる人間の事を『現地人(げんちじん)』と呼んでいる。
転生者と現地人を比較すると、身体能力で約3倍程度転生者の方が優れている。
世界の現地人の人口は2000万人ほど。
俺たち転生者はそれとは別に一万人ほどだ。
その他の亜人は
植物の精霊族 エルフ 5000人
鉱物の精霊族 ドワーフ 1万人
その他の少数精霊族 トータル 10万人
自然が多く残っており、野生の生物や魔物の数は人口より多いようだ。
人が住む街は例外なく魔物除けの巨大な防壁に囲まれており、魔物の脅威から守られている。
いわゆる属性とは『小精霊との親和性』の事で、彼らに語りかけ力を借りる事で奇跡を起こすのが精霊魔法だ。
多種多様の小精霊が存在するが、有名なところで
葉の精 『ハツチ(葉槌)』
岩の精 『イワツチ(磐土)』
野の精 『ノツチ(野椎)』
木の精 『ククノチ(久久能智)』
水の精 『ミツチ(水虬)』
火の精 『カグツチ(軻遇突智)』
潮の精 『シオツチ(塩椎)』
などがいる。
ちなみにラナの生命属性は葉の精なのか野の精なのかまでは分からないらしい。
俺たちが持っているプレートは物凄く大雑把な物だという。
魔法には属性が無ければ使えない精霊魔法の他に、練習すれば誰でも使えるようになる神聖魔法があるらしい。
転生者は最初に必ず冒険者ギルドに登録される。
亜人であり異世界からの転生者が、人間の社会に受け容れられるための管理制度を兼ねているとの事だった。
今俺たちがいるのが、冒険者ギルド アシハラ本部。
世界の中心にして転生者が覚醒する世界で唯一の場所、だそうだ。
日本地図で言うと福井県あわら市付近で、この世界では『アシハラ』と呼ばれている。
1年は12か月、1週間は7日。
1年の日数は365日で1日は24時間。
一年で春夏秋冬の季節が一巡する。
メートル・グラム法を使用していて数字は10進数で表される。
つまり、俺たちの常識がそのまま使えると言う事だ。
貨幣はそれぞれ10グラムの金銀銅を短冊状に成形した物を使用している。
1金貨 = 10銀貨
1銀貨 = 10銅貨
1銅貨が1円で1金貨が1万円くらいの感覚のようだ。
この世界の歴史は永く、1万年以上の歴史がある。
なぜ転生するのかといった事は全くわからない。
しかし、転生者は平成から令和の間に死亡した日本人しかいないという。
そして、最初の転生者がこの世界に来たのは2000年前。
どう考えても計算が合わず、何かの間違いでは無いかと言われている模様。
この大地を現地人は昔から『アンゴルモア』と呼んでいるというが由来は不明。
アンゴルモアの外に世界は無く、したがって通常の生活をする中でアンゴルモアという単語を使う事は無いという。
俺たち転生者が守らなければならない決まりはいくつかある。
『魔物の食肉加工の禁止』
『現地人に対する蘇生魔法の使用の禁止』
『冒険者ギルド発行の規約、細則を遵守する事』
となっている。
知識として特に重要なのは、魔物の肉を口にすると人でも動物でも魔物化するという事だ。
それを避ける為に魔物の死体は必ず、焼却処分、あるいは穴を掘って埋めなければならない。
武器庫に大量にシャベルが置いてあったのはそういう事か…
魔法が使えない俺にはシャベルが必須アイテムになりそうだ。
あと、回復魔法で癒せる条件は生きている事。
重症の場合、機能が完全に回復するかどうかは運次第。
身体を欠損した場合、再生するにはある程度綺麗な状態で欠損した部位が残っている事が必要で、魔物に食われたりした場合は再生する事は出来ない。
まだ他にも何か言っていたが、長いし眠いし話半分で聞いていたからよく覚えていない。
俺は頭より体で覚えるタイプだからな。
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あとがき
第六話「アンゴルモア」
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
作者の 此木、大(しばいぬ)です。
おや?
今回はまた面倒臭い説明会ですね。
これはいけない。
という訳で前回予告しました
「2回目回す前に、綺麗に食べるってそもそも何?」についてお話します。
モスバーガーの袋って底が尖っていてソースの墓場みたいになってますよね?
せっかくソースたっぷりで美味しく頂けるポテンシャルがあるのにもったいない。
スパイシーモスバーガーなんて、そのソースが本体だというのに!(言い過ぎ)
そんな訳でソースを余すところなく美味しく食べる方法は無いのか?
そんな貴方にジャストミートソース。
公式ではポテトにディップしてね(はーと)
ネットを検索すると、バーガーを回しながらソースに浸ける食べ方等が出てきます。
ソースたっぷりでもお持ち帰りしやすい袋とは言え、
食べる人に対する愛が欲しいですよね?
そんな訳でその袋、愛情たっぷりな形に変形させます。
次回、「いよいよ回すぞ、2回目」是非ご期待下さい!
じゃなくて… 第七話「嵐の前の静けさ」でお会いしましょう。
しばらくの間
毎朝1話づつ投稿させて頂きます。
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