異変
紘人said
最近奏の様子が変だ。あまり僕たちと話さなくなった。同じ班だから授業中とかは話す時があるけど、それ以外は話さなくなった。声をかけても「あ、ちょっと無理かなー。」と言うし、一緒に帰ろうと言っても「あ、別の子と帰るから。」と言って教室を出ていく。「...なーんか俺たちから離れようとしてるよな。」巴がそう言うと霙も頷いた。「俺たちの計画気付かれた説ある?」と言ったが、あいつは鈍感だからと言い納得した。帰り道、俺は一つの考えが頭の中に浮かんだ。「...誰かに命令されてるとか?」そう言うと2人は俺の方を見た。「...ありえるな。あの奏の事だ。俺たちを巻き込まないように言わないんだろうけど...そろそろ限界だな。」俺がそう言うと2人はちょっと引いた。「お前、1番まともじゃないな。」巴がそう言ってきたが、2人とも同じようなことを考えてると思う。奏には伝わらなくて良い。周りの奴らに気付かせればいい。奏には、ちゃんとした学校生活を送ってほしいからいじめとかは見過ごせない。流石に奏も過保護ってことに気付いてるんじゃないか?奏はどこまでも未知数なんだよなー。全てが予測不能だからこそ、守りにくい。そんなことを考えながら帰っていると、公園で話し声が聞こえた。「じゃ、あとよろしくw」女子の数人が誰かに命令している場面だ。「...さてと、あいつらを帰らせて正解だなぁ。」その声は奏だった。俺は声をかけることを一瞬躊躇した。いじめではなく、もしかしたら仲がいいだけかもしれない。そう考えたら迷惑なのではと思っていた。でも、巴は走り出した。奏の方向に迷う事なく。その目は少し怒っているようにも見えた。「...おい。」巴は奏に声をかけると奏はすぐに振り返ろうとしなかった。「...帰ってなかったの?」こっちを見ずに話す奏。奏に近づこうとした瞬間、巴が奏の前に行った。「...なんでそんな顔してんの?まるで、何かを隠してるみたいな。」巴がそう言ったから俺と霙は巴の方に行った。確かに奏は何かを隠しているような作り笑顔だった。「何が?いつも通りでしょ。」その声色はいつもとは違って少し"震えていた"。俺はそんな奏が見てられなくて思わず抱きしめてしまった。「おい、紘人。」霙に止められたが、もう見てられなくなったのだ。「俺の事は後でにしてくれ。」そう言うと巴が「...いや、別にいい。奏、なんで言わなかったんだ?」巴は奏にそう聞いた。「巻き込みたくなかった。3人に何かあった時守れる自信はある。でも、怖かった。もし守れなかった場合、また大切な人を失うことが。だからいじめを受け入れた。」事故よりかはマシだからと奏は言った。「確かに奏からしたらマシかもしれない。でも、俺たちからしたらほぼ同じなんだよ。俺たちを頼ってくれ...。」俺がそう言うと巴や霙もそう言ってきた。「...頼っていいんだ。信じるから...っ!」そう言って奏は泣いた。何年振りなんだろう。事故の時以降奏が泣く姿は見ていない。その後4人で帰って奏を部屋に送った。その後俺の部屋に集まった。「さっきはごめん。見てられなくて。」そう言うと2人は別に大丈夫と言った。「あんなの見たら止まらないって。」しばらく雑談して最終的に’あの計画'を始めることにした。
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