サグリス・ドランク -エドワード・ハイドの逆鱗-

ゆい

登場人物紹介


19世紀末、英国。

経済と軍事の両面で飛躍的な発展を遂げたその裏側には、貧困と歪んだ倫理が複雑に絡み合う、捻れた世相が横たわっていた。

人々は怪異や死後の世界に寛容であり、あたかも自らがその一部となることを受け入れているかのようである。

この女王陛下が統べた麗しき時代を、ヴィクトリア朝と呼ぶ。




登場人物

(物語の進行に応じて随時更新予定)



ヘンリー・ジキル(35歳)

悪人格を抽出し、それを制御することで理性的な生活を維持できるとする独自の理論を提唱。

倫理的観点から学会を追放された。

主人格でありながら人付き合いが不得手で、裏舞台に立ちやすい性分。

若くして苦労が絶えず、頭髪はすでに総白髪、瞳は赤みを帯びた茶褐色をしている。



エドワード・ハイド(外観28歳)

ジキルの研究によって生み出された別人格。

ロンブロゾの定理を参考に設計され、黒髪に銀の瞳、蒼白の面に赤い唇という、夜の犯罪者を思わせる容貌を持つ。

ジキルを脅かす者を容赦なく排除する冷淡さを備え、今回の犯行動機にも関与している。

冷静さを自認しているが血の気が多く、精神的には脆い一面を持つ。

また、軍師的な役割を担い、人心の掌握に長ける。



ジャック(外見20歳前後)

夜空の下、犠牲者を解体していた最中にハイドと遭遇する。

強い承認欲求を抱きながらも、既存の規範に縛られない独自の発想で多くの人を翻弄する青年。

ハイドから「歴史に名を刻む存在にしてやる」と持ちかけられ、犯行の実行役として企画に加わる。

闇の中でも浮かび上がるほど鮮やかな赤髪と金の瞳を持ち、

その飄々とした振る舞いは、どこか子どものようにあどけない。



ダンヴァース・カルー卿(40代)

社交界や政界に顔が広い貴族。

慈善事業の名目で資金を動かす機会が多く、市民からの支持は厚い。

しかし、貧民街への炊き出しは上澄みのように薄く、実態は名誉欲のための活動に過ぎない。

ジキルの開発した薬を「人間の悪性を高める薬」と誤解し、研究を奪おうとしたことが本作の発端となる。

ハイドとは過去に何らかの因縁があるようだが、それが明らかになるのは、別の話のことである。



金髪碧眼の男

カルー卿と共にジキルの邸を訪れ、研究の強奪に加担したことで、カルー卿と同じくハイドの怒りを買う。

端正な顔立ちながらも翳りが濃く、どこか人間離れした雰囲気を纏う。

律儀で厳格な性格はどこか時代遅れで、しばしば新たな地獄を呼び寄せる引き金となる。



ロミオ

馬車を引く牝馬。

……牝馬である。

その乗り心地は泥舟のようで、どうやら脚力を持てあましているらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る