第5話 異世界文化体験3

 

「この子……かわいすぎる……!衣装も完璧だ……!壮真殿、これは何という作品なのだ?」

 ベッドの上ではサーヤが、魔法少女アニメのDVDに釘付けになっていた。画面の中で、ピンク色の髪をした少女が空を飛びながら敵を浄化している。


「『マジカル☆ピュアハート』っていうアニメだよ。昔ちょっと話題になったやつ。」


「ふむ……この世界には、かわいいものを極めた文化があるのだな……!」

 サーヤは壮真から携帯食料を食べさせてもらい、もぐもぐと画面に見入っている。壮真はその様子を見ながら、微笑んでいた。


「じゃあ、そろそろ寝るか。ベッドはお前に譲るよ。動けないんだし。」


「ふん!騎士としては屈辱だが……この雲のようなベッドには抗えぬ……くっ!ころせ……」


「はいはい、もう聞き慣れたよそのセリフ……」

 そういいながら壮真は自分の寝袋を広げる。

 サーヤがベッドに沈み込むと、すぐに「ふわぁ……」と幸せそうなため息を漏らした。壮真は寝袋に入り、スマホの画面を見ながら小さく笑った。


「……なんだかんだで、悪くない夜だな」


 翌朝。


「ぷっるるるるるううるるるるるるるるうるぎゃややややっやややっやあややああああ」というチャーキーの不快な鳴き声で壮真は目を覚ました。


「うるせぇな……あの鳥、変な声で鳴きやがって……」

 ベッドを見ると、サーヤがすでに起きていた。腕をぐるぐる回しながら、元気そうに立っている。


「ふふん!ついに動けるようになったぞ!我が力、復活せり!」


「おお、よかったな。じゃあまずは……シャワーでも浴びるか?」


「しゃわー……?それは何だ?」


「水を上から出して、体を洗う装置だよ。風呂場にある。」


「なに!?風呂があるのか?水が上から!?そんな魔導具があるのか!?見たい!使いたい!今すぐ!」

 壮真は苦笑しながら風呂場へ案内し、シャワーの使い方を説明する。


「このレバーをひねると水が出る。こっちに回すとお湯になる。で、こっちのノズルから水が出るから、頭から浴びる感じで使うんだ。」


「ほうほう。」


「そしてこれが体を洗う時に使うボディソープ、そして髪を洗うのはこっち、リンスインシャンプーだ。タオルはここに置いとくぞ。」

 俺はめんどくさがりだからボディソープとリンスインシャンプーは業務用20リットルを買っている。


「まあ何もないと思うけど、終わって服着たら呼んでくれ髪乾かしたりする道具の使い方も教える。」


「わかった、かたじけない。」

 壮真がいなくなったのを確認しサーヤは服を脱ぎ、浴室へ入りシャワーヘッドを両手で持ち上げた。


「これが……しゃわー……!では、いざ!」

 レバーをひねると、勢いよく水が噴き出した。


「おおおおおお!!!!!!」

 サーヤは叫びながらシャワーの水を手にかける。だがすぐに、驚きが歓喜に変わる。


「すごい!すごいぞ!これは革命だ!水が空から降ってくる!しかも温かい!天の恵みか!?いや、これは文明の勝利だ!!!」

 隣に部屋では壮真が騒ぐサーヤの声を聴きながら


「くっくっく!そんなに感動するのか……?」

 と笑いながらつぶやいた。


「このしゃわーという文化、我が国に持ち帰らねばならぬ!これは国宝級だ!」

 サーヤはシャワーの下でくるくる回りながら、まるで踊るように水を浴びていた。


「ふふふ……この世界、かわいいだけじゃない……快適さも極めている……!すごいのう、ではボディソープを使ってみるか?」

 使い方を教えてもらった通りポンプを押してスポンジに液を出す。


「これがボディソープ。すごい!!いい匂いだ!これをこうやってもむと・・・」

 スポンジからどんどん泡が出てくる。


「おおー!!すごい石鹸などめったに使えるものではないからなー、いざ!!」

 サーヤはスポンジを体に滑らせていく。


「おおおおおおお!すごいぞ!気持ちいいぞ!!!」

 一通り洗いシャワーで流す。


「つるつるのすべすべだ!!すごい、異世界の石鹸はこんなにもすごいのいか!ではこのリンスインシャンプーというのを使ってみるか。壮真殿によると髪の毛を洗う石鹸だとか。1回だけ石鹸で髪を洗ったことがあるが、すごくキシキシしたのだけれどなー。」

 と文句を言いつつ濡れた髪に液をつけもみ込む・・・・


「おおおおおーーーーー!キシキシしない!!!!すごいぞ!!こちらも気持ちいい!!!しかもこれもいい匂いだ!!!」

 頭がもこもこになりながらサーヤは髪を洗いシャワーで流した。


「なんか髪の毛が輝いている!!!魔法か!やっぱり魔法なのか!もしかしてエリクサーなのか!!!」

 シャワーを終えたサーヤは、髪をタオルで拭きながら満足げに言った。


「壮真殿……この世界の技術は魔法を超えている……!」


「いや、魔法はないけどな……」


「ふん!それでも私はこの世界を認めざるを得ない……かわいいものと快適さが共存するとは……!」


「ほんとブレないな……」


「ところで、朝食は?」


「はいはい、今用意するよ……」

 壮真は戸棚から携帯食料を取り出し、サーヤに手渡した。


「うまうま……この味、何度食べても飽きぬ……!」


「お前、適応能力高すぎだろ……」








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