第3話 MIT論文と“二つの電池スロット”

 分解して、全員が最初に驚いたのは内部構造だった。


「……これ、レベル高すぎません?」


 航太が基板を見ながら呟く。


「MITの論文に載ってる構成と一致しとるな」

 桐生先生が頷いた。


「ここ、電池スロット……?」


「原子力電池用やな。

 マイクロ原子電池モジュール——MABMや」


「げ、原子力……」


 私は思わず一歩引いた。


「安心せい。超低出力で、五十年は動くやつや」


「五十年……?」


 だが、航太が首を傾げた。


「先生、でも……スロット、二つあります」


「……は?」


 全員が基板を覗き込む。


「MIT論文には、電池スロットは一つしか書いてないですよ」


「……CIA改造やな」


 桐生先生がぽつりと言った。


「こっちは……全個体電池用じゃないですか?」


「ASSB!? ブースター用やぞ、それ!」


 桐生先生の顔が引きつった。


「原子力電池と全個体電池のセットとか……

 ボーナスが吹っ飛ぶ……」


 沈黙。


 その空気を破ったのは、私だった。


「……でも」


 全員がこちらを見る。


「買うんですよね。

 動かしたいですから」


 桐生先生は、しばらく黙り込み——

 そして苦笑した。


「……せやな。

 教師のボーナスより、ロボの夢や」

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