第5話 お転婆娘
レオナルドが一通りの掃除を終えて暖炉から出てくると、直ぐそこに少女・ソフィーが立っていた。
「無視をしないでちょうだい! わたし、あなたとはもう友達だと思っているのよ? そりゃあ何度か窓越しに手を振り合っていただけよ? それはあなたにとって迷惑なことだったのかしら? ねぇどうなの? 何とか言いなさいよ!」
ベラベラと早口で捲し立て、レオナルドの両肩を掴んでガクガクと揺らすソフィー。
外から見ているとまるで深窓の令嬢然としていたが、実際のソフィーは勝ち気なお転婆娘の様だ。
「掃除は終わったかい? 早くしとくれよ!」
ドンドンと冷たくて重たい扉が外から叩かれ、中年の女の苛立った声がする。
ソフィーは眉間に皺を寄せると、きつい口調で言い放つ。
「おばさま、【あっちに行け】!」
すると……。
「はい、分かりました」
無機質な声で返事があり、本当に扉の前から気配が消えた。
「さぁ続きよ。わたしとあなたはもう友達なの! だから、【名前を教えなさい】!」
ソフィーに詰められるレオナルドは困り顔で「うー」とか「あー」と意味のない言葉を繰り返す。
少女はいつもと勝手が違うと思いつつ、その原因を察した。
「耳が聞こえないの?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます