第10話:甘々お弁当デート

次の日、二人はいつもの海辺でレジャーシートを広げて並んで座った。


「じゃーん! アズ特製のお弁当だよ♪」


アズサが得意げにお弁当箱を広げると、ハンバーグ、から揚げ、ウインナー、卵焼き――そして昨日しぶしぶ選んだブロッコリーやレンコン、ニンジンが彩りよく並んでいた。


「アズ、料理すごいじゃん。おいしそう♪」

 リクがそう言うと、アズサはエッヘンと胸を張って得意満面だった。


「リク、何食べる?」

「ハンバーグ!」


 アズサは自分の弁当箱からハンバーグを箸でつまんで、リクの口に運んだ。


「じゃあ、次はアズね」

「アズはブロッコリー!」


アズサがアーンと口を開けると、リクは箸でブロッコリーをアズサの口の前に持っていった。アズサは「パクッ!」と言ってブロッコリーを食べる。


「なんか、ちょっとハズイけど……ちょっとうれしい」

「アズも……」


 アズサも照れながら、でも嬉しそうに答えた。


「アズ、これからもよろしくね!」

アズ、これからも仲良くしようね!」


「アズもよろしくね!」 

リク、ずーっと仲良くしようね!」


そう言った後、アズサは「デヘヘッ」と声を出してデレ顔になり、二人でしばらく笑っていた。


秋が進んできたので、夕暮れがだいぶ迫った砂浜は、風か強くて少し肌寒くなってきた。アズサはもう、長袖のカーディガンを着ていたが、寒かったのか袖の中に手をすっぽり隠して、ぶかぶか袖口を揺らしていて、その姿がなんとも愛らしかった。


それを見て、リクが、「アズは、本当に何着てもかわいいな!」と思わず口に出してしまった。


アズサはまた「デヘヘッ」ッと言って、照れながらも、幸せいっぱいな顔になった。 



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