第5話:夕暮れの砂浜 ― アズネコの膝枕タイム
1週間ほどした休日の午前中。 今日もリクとアズサは浜辺にいた。
気持ちの良い秋晴れで、いろいろな雲が筋状に広がり、太陽の光に少し染まっていた。
「ねえ、リク~……膝枕して?」
ふいにアズサが、くりくりっとした目で見上げながら甘えるようにお願いしてきた。
リクは一瞬、心臓がドキッ!と跳ねるのを感じた。
「えーっ、膝枕……?」
戸惑いながらも、もちろん断れるはずがない。
「お願い~♪」
そう言うと、アズサは笑いながら、すでにリクの膝に頭を預けてしまった。
「へ、へーん! もう、リクに膝枕しちゃったもん♪」
潮風に揺れるポニーテールがふわりと広がり、リクの太ももにやわらかく触れる。
「リクの膝、あったかいね」
アズサは目を閉じて、安心したように微笑んだ。
耳元で聞こえるアズサの小さな吐息に、胸がドキドキと高鳴り続けていた。
「……アズ、かわいすぎて息止まる」
「……アズネコ、かわいすぎて息止まるニャン」
思わずつぶやいた言葉に、アズサは目を開けて笑いながら言った。
「ニャー!」
またしても、リクの心は撃ち抜かれてしまったのだった。
「今日はリ~クにひざまくらニャン♪」
アズサは歌いだした。
「リクはア~ズの魅力にデレデレだニャン♪」
「アズネコの魅力にデレデレで、どうにかなっちゃいそうデス!」
リクがそう言うと、アズサはくりくりした大きな瞳でいたずらっぽい表情を浮かべてリクを見つめながら、ゴロゴロとのどを鳴らしてリクの太ももに頬ずりをした。
リクは息が止まりそうになった――。
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