第3話 スキルアップと仲間たちの影
安宿の部屋に引きこもり、影山は配信を続けた。ボールペンが売れたおかげで、かなりの金額を前払いしているから、暫くは宿の受付に行かなくても良いのだ。
ちょっと気難しそうな宿のおじさんとも話をしなくて済むのだ。
なんと、安宿だからか、清掃の人も来ない。
やったね!ビバッ、引きこもり!
街の風景、食事、たまに外に出ての散策。 散策した様子もまるでカメラに収めたように映像が記録されていく。動画を途中切り抜いたり、編集もできる。便利!
自分の思うままに作品が作れるのは幸せだと思った。しかも、登録者はじわじわと増えていた。
登録者が1000人を超えると、スキルアップした。
【レベルアップ:他勇者視聴モード解放】
レベルアップした途端、目の前のステータス画面では、普段とは違う様子の文字列が映し出された。画面に澤村たちの冒険が映る。
ーーーええ? 他勇者視聴モードって……? おお? 澤村くん達が映ってる!
みんなの様子を配信できるってこと?
魔物討伐、ダンジョン攻略。影山は実況した。
「ほら、澤村くんまたカッコよく決めてるよ。でも、三村さん魔法使いすぎてMP切れそう……。頑張れー」
視聴者爆増。1万人、どんどん増えていく、すぐに10万人。
澤村達がダンジョンを攻略して、奥のフロアに進んでいくと、関心がさらに集まった。
今は当初よりさらにレベルアップしていた。ついに登録者100万人に達したとき、勇者たちも影山のチャンネルが見られるようになった。
ダンジョン攻略の帰り、野営していたテントから、ふと澤村は、スマホのような画面が宙に浮いているのをみた。
「え……?何これ……。これって、ゲーム配信みたいなやつ?
ダンジョンの中とか、妙にリアリティに溢れているんだけど。
何かタイトルが出ている……。配信者影山? 」
剛田が笑う。「引きこもりスキルで配信者かよ。天才じゃね?」
三村は戸惑う。「え、これって大丈夫なのかしら」
吉田は疲れた顔にほっとした笑顔を浮かべる。「良かった。影山君、元気そう」
影山の配信は異世界の情報源になった。視聴者からの寄付で金貨が増え、装備を買う資金も蓄えれ荒れた、更にスキルが強化されていく。
視聴者たちはコメントでアドバイスを送れるようになった。
視聴者からのコメントが勇者達の励みになった。
『今日は、訓練で西のダンジョンに入ります。最速の攻略目指して、頑張ります』
ダンジョン前で、何処からか見ている「影山視点」に向かって、手を振り、意気込みを語る。
『吉田君、頑張って』
『澤村君、格好良い』
『三村ちゃん、今日も可愛い』
『剛田君、ムキムキ』
リアルタイムに視聴者の応援コメントが見える。勇者達に気合いが入る。
『さあ、吉田君、澤村君、三村さん、剛田君が西のダンジョン攻略にチャレンジだね! この西のダンジョンは、王都の西の門を出てから、馬車で2時間、山道を1時間徒歩で歩いたところにあるんだって。皆早起きして向かったんだね!
頑張って欲しいね!
このダンジョンの特徴は、中の通路が狭いって事。
パーティーの連携の体制を取るのに、ちょっと慣れが必要かもね。
でも、モンスターも、一つの方向から、順番にしか襲ってこないし、取り囲まれたり、しにくいことになる。
デカすぎる敵も出ないだろうね。
一層目で、レッドスライムを四体倒すと、ポーションがドロップするって。チェックしてみてね!』
『影山君、前情報ありがとう』
影山はレベルアップした配信スキルで、配信中の場所の調査をする事が出来るようになった。
影山の情報と視聴者の応援に背中を押され、勇者達もレベルアップして行った。
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