事件と優磨の関係
「達也くん、大丈夫そう?」
一連のやり取りを見ていた和政が、心配そうに覗き込んでくる。
「うん。まあ、一応ね。」
気持ちを切り替えたくて、俺はドリンクバーまで足を運び、コップに飲み物を注いで席に戻った。
腰を下ろした瞬間、和政が口を開く。
「前から気になってたことがあるんだけどさ。」
「ん、なに?」
「今週のニュースあったでしょ?女子高生暴行事件。」
「ああ。物騒だよな。」
「うん。でもね、あの事件って“毎週”土曜と日曜に、多摩市周辺で起きてるって知ってた?」
「……毎週?」
そんな定期イベントみたいな話あるかよ、と俺は眉をひそめた。
「普通はそう思うよね。でも僕は、毎週土日になるとあのニュースが流れるのを“覚えてる”んだ。
知ってるというより、記憶してるって感じ。」
「記憶……?」
不可解な言い方に、思わず首を捻る。
「でもね、不思議なことに、月曜になると世間の誰もその事件の話をしなくなるんだ。」
「は?」
和政は続ける。
「さっき優磨の話をしたでしょ。あれ、優磨とサッカーしたのが“日曜”だったんだ。
で、月曜の朝には、クラスの誰も優磨のことを覚えてなかった。」
「……ちょっと待てよ。」
心臓が嫌な跳ね方をする。
「ってことは、その女子高生暴行事件の犯人……優磨の可能性が高いってことじゃないか?」
思わず声を潜め、俺はテーブルの上に肘をつきながら身を乗り出した。
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