世界最強の国王が別世界に転生〜気まぐれに弱者になりきって復讐を楽しむ〜
Leiren Storathijs
プロローグ
俺の名はアウレド・ヴァルグレイ。一国の王であり、世界の王でもある。我が世に欠する物は無く、全ては俺一人で事が済む。
魔王も倒し、神も倒し、今頃昔に召喚した勇者はどこで何をしているだろうか……。
だがもう飽きた。俺は誰よりも国民を愛している。だがもう俺がいなくとも与えた加護で勝手に繁栄していけるだろう。
だからちょっとばかし玉座を離れても混乱は起きまい。
少し試したいことがある。それは魂の転生だ。別世界から取り寄せた書物によれば……運命的の弱者が強者に騙され、虐げられ、最悪の末は殺されかける。と書いてある。
その運命に苛まされる少年少女は、様々なきっかけに特異な力を覚醒させ、それによって復讐を果たすらしい。
そしてこの書物に共通する始まりは、そのほとんどが見限りか裏切りによるパーティ追放か、虐めにのる不慮の死。これが偽りか真かは定かではないが……真実ならば。実に俺の暇を潰すには十分だ。
俺はこれらの魂に転生しよう。別世界の人間は流石に我が民に入らぬ。魂の入れ替わりの時点で死した身を選ぶとしよう。
全ての記憶と力と人格も引き継ぐ。だが最初から圧倒的な力はつまらん。段階的に解放するのだ。俺であれば、相手がどこにいようが終わらせてしまうからな……。
後は少しばかりの運命を操作し……さて準備完了だ。俺が王になる前の民の苦しみ。その苦難を味わうのも一興よな。
こうして俺は、全く見知らぬ。だがどこか似ている別世界に魂を転生させる。
◆◇◆◇◆◇◆
「がっは……!? ゔ……」
「ぎゃははは! 雑魚は雑魚らしく地べたを這いつくばっていりゃいいんだよ!」
「おいおいあんまりやり過ぎんなよ〜? 殺したら後処理面倒なんだからよぉ〜」
「わーってるって! おーい起きろ〜。あり? ははははは! やっべ! こいつ死んじまったわ!」
「またかよ〜お前何回目だよ〜」
僕はロワン・リュミエール。貴族でも平民ですら無い、スラム街で生まれ、地獄みたいな治安をなんとか一個下の妹と精神すり減らして生きてきた。
それからいつかに優しい人に拾われ、平民と同じ教育、常識を教え込まれ、平民と同じ学園に入り、平民と同じ扱いを受けたはずだった……。
でも噂が広まるのは思ったより早かった。僕がスラム街生まれだと知れ渡れば、毎日殺されそうになる日々。でも今日だけは違った。まるで本気でゴミはゴミ箱に捨てるのが当たり前だと言い聞かせるように、今まで以上の暴力を受け、僕はその日。妹一人を残して命の灯が消えた。魂だけを残して……。
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