カーブミラーの女 調査報告書

以下は、長野県内で発生した集団ヒステリー「カーブミラーの女」についての調査報告書である。


2001年5月4日、長野県相良市、十月市、城裂市にて同日に発生。報告時刻は相良市、十月市、城裂市の順であるが実際に発生した順序は不明。

いずれも市内全域のカーブミラーに同一の女Aが写り続ける。

防犯カメラ等に女Aが映っていた記録は無く、観測者による報告のみである。

女Aは喪服を着用し長髪。女Aの行動は観測者により様々あるが3つに大別できる。


その1「俯いていた」。

その2「こちらを睨んでいた」。

その3「後ろを向き左右に揺れていた」。


いずれもどのカーブミラーにも観測され、同時刻同一のカーブミラーにおいても観測者によって女Aの行動は違った。

また観測した3つのタイプにより観測者にもそれぞれ影響があった。


・女Aが「俯いていた」場合

観測した直後、観測者に激しい喪失感、吐き気、絶望感がこみ上げ、その場で気絶    する、発狂する者が多数。

搬送されカウンセリング等の治療を受けた後、6割が後遺症も無く社会復帰。3割が何らかの精神病を患いつつも生還。1割は心筋梗塞または自殺により死亡。

観測直後に気絶や発狂せず、その後カーブミラーを見た者は女Aがその3の「後ろを向き左右に揺れていた」に変わる。


・女Aが「こちらを睨んでいた」場合

観測した全員がその日のうちに何らかの事件・事故に巻き込まれる。その規模・怪我の具合に一貫性は無い。

観測者の中には軽傷で済み後遺症も無く回復している者もいる。女Aを観測した事が明らかになっている死者は極めて少ない。


・女Aが「後ろを向き週に揺れていた場合」

観測した者全員が観測直後から同県鬼沢町への移動を開始。全員が徒歩で移動していた事が明らかになっている。

移動中に観測者の親しい人物(友人、家族など)に声をかけられた者の中には正気に戻ったものもいる。

正気を取り戻さなかった者は鬼沢町内の鬼沢御橋へ移動し、全員が橋から飛び降りたと思われる。

うち7割が死亡、2割が生存、1割が行方不明となっている。生存した者もその後ほとんどが再び鬼沢御橋へ向かい飛び降りる、または行方不明となっている。

家族や友人によって拘束・軟禁され、祈祷により正気に戻った者もいるがごくわずかである。


また、同日に3市内で死亡した事例について、女Aについての証言はないがあまりに死者数が多いため、うちほとんどが女Aを観測していたものと思われる。

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