第23話本当にこれ似合ってますか?
もしかして私、凌平にデートに誘われたって事だよね。
しかも海なんて、嬉しいなぁ。
でも二人きりで海水浴となるとちょっと緊張する。
昨日と今日で凌平と話す時に緊張はしなくなったけど、やっぱり水着となるとちょっとね。
それに私水着持ってないしなぁ。
水着なんてなに買えばいいか分からないし、どうしよう。
凌平には来週って言っちゃたしそれまでに買わないと。
ここは私よりも経験豊富そうな人に相談すべきだよね。
まあ、私の知り合いで経験ありそうな人は…
「小春さん今週どこかで一緒買い物行きませんか?」
『全然いいよ、じゃあ明日行こよ』
家に帰ってすぐ小春さんに電話したらワンコールで出てくれた。
それにこの返答だ。ちょっとフットワーク軽過ぎるでしょ。
でもそういうところがめっちゃ好き。
『因みに何買いに行くの?』
「水着です…」
私は少し恥ずかしくなって小さな声で答えてしまった。
『よし、じゃあとびっきりかわいいの買おうね』
そう言って小春さんは電話を切った。
小春さんなら水着を買う理由聞いてくると思ったにどうしたのかな?
「ねぇ、凌平?千佳ちゃんと海に行くのはずるいでしょ」
「いやでも姉貴が誘えって…」
「確かに誘えとは言った。言ったけど水着はどう言うこと?!」
俺は帰るなり姉貴に捕まえられて部屋に軟禁された。
そして俺は正座で姉貴に詰め寄られていた。
なぜ姉貴が今日決まったことを話す前から知っているのかは分からない。
でも俺には詰め寄られる筋合いはない。
「いや、俺は海に行こうって言っただけで、泳ごうとは言ってないから」
「えっ、どういうこと?」
俺だってなぜそうなったのか分からない。
海に誘ったら一緒に泳ぐ事になっていた。
だからそれを姉貴に説明した。
「なるほど、まあそういう事ならいっか。今日は行ってよし」
俺はそれを聞いて立ち上がって部屋を後にしようとした。
「それと私明日千佳ちゃんとお出かけするから」
「はぁ!」
「じゃあ早く私の部屋からでなさい」
俺が唖然としていると俺の背中を押して部屋から閉め出してきた。
俺は少しの間姉貴の部屋の前で立ち尽くしていた。
「あっ千佳ちゃんいた!」
私の名前を遠くから呼ぶのは、今日一緒に買い物してくれる小春さんだろう。
私は呼ぶ声の方へ振り向いた。
小春さんはこの前家に行った時のちょっとダラシない格好とは真逆の大人の女性みたいな格好だった。
「小春さんカッコいいですね」
私は思ったままの感想を伝えた。
「そうかな?ありがと」
「早く電車乗り換えましょ」
早く電車を乗り換えないといけないのだ。
私達が今いる駅から今日の目的地に行くための電車は後3分程で出てしまう。
それを逃すと約1時間待たないといけなくなってしまうのだ。
だから急がないといけない。私達は急いで次の電車に乗った。
電車で今から向かう先は、ゆめタウンだ。
まず着いたら飲み物でも買ってどこ回るか話そうかな。
「千佳ちゃん何頼む?私が奢ってあげよう」
私は断ろうかと思ったが、小春さんは断っても買ってくれるだろう。
「じゃあ、キャラメルフラペチーノで」
「オッケー」
小春さんはそれを聞くと席とってと言って買いに行った。
席で待っていると小春さんが私の飲み物と、多分今から小春さんが飲むのであろうトッピングマシマシの飲み物を持ってきた。
「よし、まずどこから行くかだけど、水着からだよね」
「そうですね」
まずは水着というのは今日はそのためだけではないという事だ。
私も他に買いたい物もあるし、小春さんだって買いたい物もあるだろう。
でも小春さんは私を優先してくれている。
だから私もその好意を素直に受け止める。
それから少しだけ話して飲み物を飲み干すと水着を買いに向かう。
水着が売っているところは2階に上がってすぐのところにあった。
店の中に入ると小春さんが私の手を引き、まるで自分の物を買うかのように真剣に見てくれている。
「ねね、千佳ちゃんこれなんかどう?」
小春さんの手には白の水着があった。
それはフリフリのかわいい印象を受ける物だった。
「小春さんそれはちょっと大人っぽすぎるんじゃ…」
「そんな事ないって!絶対似合うよ」
小春さんの勢いは凄かった。
私にそれを絶対に着させたいという意思を感じる。
でもその水着を着るのは少し恥ずかしい。
でも私は小春さんの勢いに負けてしまった。
私は試着室でその水着に着替える。
「どう、ですかね?」
小春さんは何も言ってくれなかった。
だから私は心配になった。
「本当にこれ似合ってます?」
「わぁー、ごめんかわい過ぎてビックリしちゃった」
かわいいならよかった。
でも小春さんのあんな顔初めて見た。
小春さんが何かに驚いているところはちょっと意外だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます