しりとり殺しの謎
葉月めまい|本格ミステリ&頭脳戦
問題篇①――殺人の理解
連続殺人鬼、
動機を問われた
「殺す相手は、誰でもよかったんです。ただ……、しりとりがしたかった」
* * * * * *
面倒な事件が一つ解決したというのに、
「あの。そんなに飲んで、大丈夫ですか?」
僕は助手として、最低限の役目を果たす。
「明日も、警視庁の会議に参加する予定でしたよね」
「うるせえ、酒も飲めない歳の
警視庁や〈
黙っていれば
「現代の英雄とすら呼ばれる
僕は嫌味たっぷりに、大きく溜め息を
現代から四十年ほど前、トリックを用いた知的犯罪が全国各地で急増した。
日本を代表する四つの治安維持組織、通称〈
論理的思考能力のみを武器として、警察とは異なる立場でトリック犯罪の謎を解き明かす職業、
彼女――
「推理もできない馬鹿どもが、勝手に期待すんなって話だよ」
「なーにが現代の英雄だ。
「
彼女の助手になって半年。僕もいい加減、
言いたいことは今一つ、よく
「どうして、そんなに荒れてるんです?
逮捕された
多少、拍子抜けな展開ではあったものの、事件は解決したのだから、それでいいと思うのだが……。
「何が気に入らないんですか? まさか、真犯人が他にいる、とでも?」
僕の質問を受けて、
「犯人は
「動機、ですか……」
――殺す相手は、誰でもよかったんです。
――ただ……、しりとりがしたかった。
タカギリカ。
カミグチユイコ。
コイケシホ。
ホシエダトワ。
ワカヤマユカリ。
「なあ、
と
「お前はどう考える?
「僕には
しがない助手である僕は、
今回の
「よければ、少し事件の内容を詳しく話してくれませんか? 一応、警察の見解では、既に解決済みらしいですし」
「話したら、
自分から意見を求めたくせに、彼女は偉そうに言った。ついさっきの自分の発言さえ忘れてしまう人が
「まあいいや、話してやるよ。ちょうど新しい視点が欲しいと思ってたところだ」
彼女はそう言うと、事件について語り始めた。
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