第4話 保険室で握られてるし~!

「……ん?……ここは?……」


「良かったぁ……やっと起きてくれたんだね。ゆー君」


「藍……なんで恋人繋ぎしてんだ?」


 俺が横たわる隣に心配そうに俺を見つめて手を握る藍が椅子に座っていた。俺の右手を優しく握りながらだ。


「うん。四君子しくんし君達と一緒に、ゆー君を保健室に運んだの。それで私だけ残ったの」


「そ、そうだったのか。ありがとう……ここは保健室か? なんで俺が保健室のベッドの上に?」


 俺が藍にそう訪ねると、藍は怒った顔で俺を見つめてきた。


「ゆー君。七宮さんとイチャイチャしていて、大きいおっぱいを押し当ててもらって嬉しかったんだよね? それであんなにお鼻から血を出しちゃったみたい……興奮したんだね」


「鼻血?……あっ! あぁ、鼻血な、鼻血。たしかに七宮の胸は大き……い、痛たたた!! 藍! 握っている手! 藍が俺の握ってる右手に激痛が走ってる!」


「うん。それが心の痛みだよ……ゆー君はそんなに大きいおっぱいが好きなの? 私も結構ある方だよね?」


 ぐおおぉぉ!! 藍の万力まんりきの握力が俺の右手に急激な負荷をかけている?


 なんで、藍の機嫌がいきなり悪くなってんだ? つうか藍の握力強すぎないか? 俺も運動は毎日してそれなりに鍛えてるんだぞ。


「あ、藍。手、手が痛い。恋人繋ぎされてる手が痛いって」


「うん。それが藍の力だよ。ゆー君。分かってるのかな? ゆー君は藍の……」


 ニコニコ笑顔で何を言ってんだ藍は?……くそ、大量に流した鼻血のせいで力も上手く入らない。これも全て、あの七宮ヤンキーギャルのせいだ。あの胸のせいで……



「いしゃしゃ!! 騒ぎを起こして、ごめんなさいだし! アナスタシアお姉ちゃん」

「誰がアナスタシアお姉ちゃんですが。雪乃お姉さまと呼びなさい。美来みくちゃん」

「わ、分かったし~! 雪乃お姉ちゃん」

「雪乃お姉さまです。私は従姉妹いとこにそう呼ばれたいのですよ。美来ちゃん」

「そんなの知らんし~! 雪乃お姉ちゃん~!」


 俺が藍の腕力に負けそうになった時、元凶ギャルビッチの叫び声が廊下の方から聴こえてきた。


「なんだ? 誰かと喋ってるのか? 七宮のやつ」

「むむ!ゆー君。まだ私とのお話が終わってないよ……てっ! なんで恋人繋ぎほどいちゃうの?」


 そう俺は藍が一瞬だけ右手の力を緩めた事を見逃さなかった。藍の力が緩まった瞬間。藍の万力地獄から抜けだした。


「そんな事より。なんで廊下から七宮の叫び声が聴こえるんだ? アイツ何してんだ?」

「そんな事って……せっかく恋人繋ぎしてあげたのに……ゆー君のアンポンタン」


 ……そんでもって、なんで藍は不機嫌になるんだよ。相変わらず俺と居る時は感情の起伏が激しいな藍の奴。教室じゃあ大人しいくせに。



「それじゃあ。迷惑かけた気になる人。建前君でしたか? ちゃんと謝っておくのですよ。美来ちゃん」

「うぅぅ! 空中アイアンクローとか反則だし~……かしこまりだし。雪乃ゆきのお姉ちゃ……」

「お姉ちゃん?」

「お姉さまだし~! ひ~ん!!」

「良くできました。それでは私はこれで失礼しますね……ちゃんとその子に謝っておくんですよ。気にいられたのでしたら」

「……了解だし」



 ……なんのコントを繰り広げてんだ。七宮は?


「……見せつけられたんだから。こっちも見せつけ返さないと……ゆー君。ごめんね」

「は?……藍! いきなり何してんだ。てっ!おいっ!」


 椅子に座っていた藍がいきなり立ち上がり保健室の扉が開いた。


「うぅぅ……こめかみが痛いし~、これは建宮っちに謝って、癒し成分補給させてもらわないと。やっほ~! 建前っち~! さっきは偽パフパフしてごめんだし。お詫びにウチの本物パフパフでみそぎしてあげるし?……何やってんの? 藍ちゃん」


 保健室に入って来た七宮が口をパクパクさせて俺達を指差している。そりゃあ、こんな光景を見たらパクパクもするか……


「……いや、これは藍が暴走しただけで。俺は何も」

「恥ずかしい///………ゆー君に胸を揉ませてあげてるの。な、七宮さんこれで私の勝ちだね。これに懲りたらゆー君にちょっかいをかけないでね」


 藍は俺の右手に胸を掴ませながら、顔を朱色にし七宮に向かってドヤ顔をかました。


 あの大人しい藍がこんな大胆な行動するとは思いもしなかったが、なんでこんな事してんだ? 俺の幼馴染みは?


「……保健室……ベッド……つまり藍ちゃんは3人でしたいって事だし?」


「「は?」」


 おいおい。このヤンキーギャルは何を言ってんだ? どういう思考回路になったら、そんな答えを導き出せるんだ?


「そんじゃあ。早速ハメハメ始めるし~! 保健室プレイが初めてなんて凄い体験だし~! 優しくしてね。建前っち」


 七宮がブレザーを脱ぎ始めながら、俺達へとにじり寄って来る。コイツ本当にやる気なのか?……いや違う。七宮の奴、目が笑ってるこの状況を楽しんでやがるな。ちくしょーっ!


「ニヒヒ~! ウチを除け者とか許せないし~」


「く、来るな。ヤンキーギャル……俺に何する気だ。ここから逃げるぞ。藍……七宮からな」

「ひゃぅ///……ゆー君。いきなりお姫様抱っこなんて恥ずかしい」


「ん~? どこ行くし。建前っち! ウチの初めて放置するなし! 逃げるなし~! 建前っち~! 廊下は走っちゃいけないんだし~!」


 俺は藍を抱っこすると保健室から廊下へと出ると、七宮ヤンキーギャルから逃げる為、七宮との追いかけっこが始まった。


 そして、それを生徒会長に見られた結果。放課後は生徒会室に呼び出された……


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