14日目
調査14日目 2021年11月29日
警察内部記録 事件の連鎖に関する調書(加藤刑事作成)
記録日時:2021年11月29日 11:00
聴取対象者:橘あかり(ルポライター志望学生、事件の被害者・参考人) 担当刑事:加藤
被疑者古賀優作の逮捕後も、橘あかりは一連の事件を「呪いの連鎖」と語る。彼女の証言は、古賀による精神的支配および強要によって、被害者の交代と被害行為の連鎖が段階的に行われたという点で、犯罪の経緯整理を裏付ける。
I. 最初の被害
被害者:都内大学生(死亡)
場所:都内(世田谷区公園)
経緯:古賀フォーラムによる集団暴行事件のターゲット。本件の端緒であり、後の被害者に対する精神的・物理的危害の雛形となった(橘あかりはこれを「呪いの核」と主張)。
II. 映像配信の強要
被害者:森葵
場所:葵のアパート
経緯:ひとり鬼遊びに敗北後、古賀の指示により、森葵が自己映像配信による名誉棄損および猥褻物陳列行為を強要される。橘あかりが直前で阻止し、森葵は心神喪失状態で搬送。
III. 被害行為の転嫁
被害者:橘あかり&森葵
場所:清明総合病院(葵の病室)
経緯:古賀に強要され、橘あかりと森葵が互いに強制的に脱衣させ合うという二人同時に猥褻行為の公開を強要された。この映像は未完で中断したが、二人に対する屈辱的な映像記録が作成された。
IV. 脅迫の深化(被害者による加害行為の強要)
被害者:橘あかり&森葵
場所:清明総合病院(葵の病室)
経緯:古賀は、橘あかりに次なる強要を行うため、呪いの力で森葵を操り、睡眠中の橘あかりを脱衣させ、猥褻映像を記録させた。橘あかりの覚醒により未遂に終わるが、被害者による被害者への加害という新たな脅迫材料となった。
V. 最終脅迫と中断
被害者:橘あかり
場所:水元透のアパート
経緯:病院での二人同時公開の未完映像記録および新たな裏切り映像を材料に古賀に脅迫され、水元透の部屋で猥褻映像配信を強要される。水元透がこれを阻止したため、犯行は未完で中断。古賀はこの直後に逮捕。
VI. 被害者の現状
被害者:橘あかり&森葵
場所:現在
経緯:古賀逮捕後も、両被害者は強い視線恐怖と強迫観念(橘あかりは「呪い」と主張)に晒されたままの状態である。
【加藤刑事の所見】
橘あかりは、解決には「最初の事件」の情報が必要だと固執し、捜査資料の開示を強く求めてきた。この要求は、彼女のルポライター志望者としての異常な焦燥感と、被害による精神的外傷の現れと判断される。彼女の要求は法的に却下する。
◇
ボイスメモ / 橘あかり 警察署内 応接室
2021年11月29日 10:15
刑事(男性、40代): 「橘さん、水元さん。古賀優作の逮捕後、本日で聴取は最終となります。事件の連鎖性については我々の調書に記載しましたが、繰り返しますが、呪いの連鎖などという非科学的な概念は警察は扱いません」
水元透: 「刑事さん。古賀が広めた『ひとり鬼遊び』は、最初の被害者を出した集団暴行事件を起源としています。その押収資料の一部だけでも、非公式で構いません。最初の核を知らなければ、連鎖は止められない」
刑事(男性、40代): 「水元さん。捜査情報を提供することは、断じてできません。最初の事件の被害者に関しては匿名性を担保する必要があり、資料の開示は法的にありえません」
橘あかり: 「(透を制するように、小声で)透さん、もういい。彼らは、古賀の逮捕で事件が解決したと思い込んでいる」
水元透: 「(小声で)あかり、いいのかい? 呪いの根幹を知るには初めの事件の情報が必要だ」
橘あかり: 「刑事さん。この事件は単に鬼遊びフォーラムの脅迫行為によるものではないの。 古賀一人の問題ではない。あれは呪いなの。私たちは被害者であると同時に、呪いの憑代(よりしろ)にされかけている」
刑事(男性、40代): 「橘さん。あなたの主張は理解できません。警察がすべきは犯人の逮捕と証拠固めです。事件は収束に向かっている」
水元透: 「収束していません。古賀が残した裏切りの映像記録が、まだ私たちの頭の中を支配している。あれは、単なる脅迫材料ではない、呪いの実体です」
刑事(男性、40代): 「それは精神的な外傷です。然るべき病院で治療を受ける必要があります。だから呪いなど、我々には見えない。異なる事件に関する捜査資料の開示はありえません。さあ、聴取は終わりだ。お引き取りください」
橘あかり: 「(最後に訴えるように)最初の事件の場所だけでも教えていただけませんか? それだけ分かれば、私たちが現場で清算できます!」
刑事(男性、40代): 「(ため息)橘さん、ありえません。さあ」
(聴取が終わり、二人が立ち上がる際の椅子の音)
(廊下での足音。落胆したような声)
橘あかり: 「やっぱり、ダメだった。警察は、過去の事件や呪いの本質には、全く関心がないのよ。古賀を捕まえても、呪いは終わらないのに」
(突然後ろから声がかかる)
山崎刑事(H.Y.): 「橘さん、ちょっといいか。いくつか聴取の追加事項がある。君一人で来てもらいたい」
(音声終了)
◇
ボイスメモ / 橘あかり 警察署内 個室A
2021年11月29日 11:30
(個室のような場所、椅子を引く音)
山崎刑事(H.Y.): 「(声が低い)警察は、古賀の事件を『解決済み』にしたい。だが、俺は違う。あの屈辱は未完だ。俺が知りたいのは、お前がなぜまだ屈服しないのか、その理由だ」
山崎刑事(H.Y.): 「(紙とUSBを置く音)これは、非公式だ。持って行け。お前が知りたがっていた、最初の贄のデータの一部だ。これを使えば、お前は呪いの連鎖が始まったその場所へ向かえるだろう」
(山崎の視線があかりの全身を粘着質に舐め回したことで。あかりが息を詰めたことによる無音と椅子を引く音)
山崎刑事(H.Y.): 「(低い笑い声)心配しなくてもいい。これは、穢れを完成させるための、最後の機会だ。さあ、時間はない。早く行け」
橘あかり: 「(震えながら)……これが、過去の集団暴行事件のデータ。ありがとうございます、山崎さん」
(USBメモリを掴む音)
(音声終了)
◇
山崎刑事からの非公式提供資料
資料名:世田谷公園集団強要・致死事件被害者(遠山里奈)に関する事件記録抜粋(2021/11/16)』
I. 最初の事件の映像記録(抜粋)
被害者氏名:遠山里奈(とおやま りな)
映像記録名: 20211115_EXEC_INITIATE_U_ver1.0.log
配信場所: 世田谷区の公園の公衆トイレ個室(屋外)
配信日時: 2021年11月15日 23:45 頃開始
古賀優作の関与: 映像記録のメタデータおよび古賀の押収PCのログから、古賀優作がディープウェブ上のフォーラムで「鬼 (ON_I) #001」のハンドルネームを使用し、事件の配信を主導していたことが確認されている。
内容: 被害者(遠山里奈、都内女子大学生)が古賀(K)に強要され、携帯端末のライブ配信でひとり鬼晒しを実行。里奈は当初恐怖に震えていたが、配信開始から間もなく、古賀の指示を待たずに「晒さなければ」という強迫的な言葉を上げ始め、自ら着用していた私服を脱ぎ捨てた。里奈は下着も全て脱いで全裸となり、個室内に備え付けられた手洗い場の鏡を利用し、全身を配信に映し続けた。さらに、自身の手で身体の特定の部位を執拗にまさぐる行為を強要されている様子が記録されている。被害者の表情は極度の屈辱と絶望、そして自傷的な渇望に満ちていた。
配信コメントログ抜粋:
鬼の信奉者A: 「場所を特定したぞ! 世田谷公園の公衆トイレだ!」
鬼の信奉者B: 「マジか! すぐ行く! リアルで晒される姿を見たい!」
鬼の信奉者C: 「最高の穢れだ! 現実の被害者に触れる権利は俺たちにある!」
時刻 23:55頃: 映像記録に、個室のドアを強く叩く音と、複数の男たちの声が記録される。被害者の悲鳴が音声ログに残る。配信はここで途絶。
II. 現場検証記録(抜粋)
現場状況: 公衆トイレ個室付近で被害者は発見された。意識朦朧状態。個室の壁には、血痕と、被害者が必死に抵抗した際に残したとみられる小さな爪痕が多数残っていた。
被害者の状態: 被害者の衣類は一部が破られ、身体には集団による暴行の痕跡が確認された。精神的・肉体的な深い外傷を負い、清明総合病院の入院中に自ら命を絶った。
捜査所見: この事件は、古賀が主催したディープウェブでの配信から派生した集団強要および暴行事件と認定。被害者の自死については、入院中という管理下にもかかわらず発生しており、事件による精神的後遺症によるものと見られる。被害者の抱いた「配信による屈辱」と「現実での暴行によるさらなる屈辱」、そして「誰にも理解されない孤独」が、その後の事件につながったと推察される。
【特記事項】 古賀の押収資料の中には、「鬼遊び」に関する記述の校正記録や、「 (T.K) の指示」と記されたメモが存在しており、古賀優作の背後に、この一連の行為を指導したより上位の指導者が存在する可能性が示唆される。
III. 事件の連鎖に関する警察内部参考メモ
【古賀優作の関連事件(抜粋)】
古賀のフォーラムおよび押収データからは、遠山里奈の事件以外に、「ひとり鬼遊び」に失敗し、不幸を背負いすぎたことによる被害者が他に3件確認されている。
被害事案A(女子学生・20代): 儀式失敗後、「常に視線を感じる」と訴え、自宅の窓ガラスをすべて破壊。その後、自分を監視している視線を止めようと、真夜中の路上で自らの衣服を切り刻む錯乱行為に及び、対人恐怖症で退学。猥褻行為の強要はなし。
被害事案B(女子学生・20代): 儀式失敗後、「身近なものを失う」という強迫観念に囚われ、その衝動に抗えず、大学の掲示板に自らの家族の恥部を暴露する告白文を貼り出し。その後、家族の金品を窃盗し、全額をフォーラムの指定口座に送金。現在、精神病院に入院中。猥褻行為の強要はなし。
被害事案C(女子学生・10代): 儀式失敗後、「体が勝手に動く」と主張し、深夜に裸でキャンパス内を徘徊する行為を繰り返す。警察が保護。猥褻行為の強要はなし。
【捜査所見】
上記事案は、遠山里奈および森葵への「映像公開による陵辱」という形ではなく、「不幸の増幅による精神的崩壊」が主である。遠山里奈の事案は、古賀による儀式の、最も悪質な集団暴行と映像公開が行われた形であると判断される。
◇
森葵の看護記録(夜間)
日付/場所: 2021年11月28日深夜~29日未明
清明総合病院 302号室
11/29 02:30: 看護師が巡回時、消灯にもかかわらず患者がベッドの上で仰向けになり、上半身を起こしているのを確認。瞳孔が開いており、焦点が合わず、天井の一点を凝視している状態が継続。顔に極度の苦痛と渇望の表情が見られ、微かに「晒せ、私を見て」と呻き、自身の胸部を執拗に揉み上げる行為を繰り返し行っていた。呪いの影響が強く現れ始めている。
11/29 02:45: 患者が突然激しく動き出し、病衣の裾を掴んで身体をよじらせる錯乱行為を開始。「私を見て」と叫びながら、両手で顔を覆い隠そうとしつつも、病衣の下に手を入れて股間を強く抑えつけるという強い矛盾した反応を示した。病衣には、事件による軽微な汚染の痕跡が微かに見られた。
11/29 03:00: 緊急処置。患者の精神的な興奮を鎮めるため、医師の指示に基づき鎮静剤の投与を実施。投与後も精神的な緊張は高く、病室全体に響くほどの嗚咽を漏らし続けている。患者は「みんなが見てるから」「もっと見て」と繰り返し訴え、強い視線恐怖と強迫観念に晒されている状態が続いた。
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