【第4話】梓の力と赤面撤退
悠真は、クッキーを食べた緋真に、何も考えずに、さっと新しい布巾を手渡した。
「口の周りにちょっとついてますよ。拭いてください」
緋真は、その布巾を受け取った瞬間、顔全体が真っ赤に染まった。
(この布巾…!昨日、私が倒れた時に彼が使った、愛の誓いの布巾…!それを使って『汚れた私(総帥としての過去)』を拭えと…!私の過去を清算し、あなた色に染まれという、究極の愛情表現…!!)
羞恥と愛情で、緋真は顔を隠したくなる衝動に駆られる。
「あ…ああっ!こんなにも直接的な愛の告白を…!」
悠真は、その赤面を「クッキーが熱すぎた」と勘違いした。
「熱すぎましたか?すみません!氷、持ってきますね!」
悠真が冷蔵庫へ向けて一歩踏み出した、その瞬間。
悠真の心臓が僅かに早打ちになったのを感じた梓は、無意識に異能を発動した。
「ゆーくん…大丈夫…」
梓の言葉と共に、悠真が冷蔵庫に向かう際に足元に絡まりそうになったコードが、梓の異能によって持ち上げられ、コードはまるで巨大な蛇のようにうねりながら、緋真の精鋭部隊を複雑に縛り上げ、そのまま店の天井に吊るし上げた。
緋真の部下たちは、その「空中に浮遊するコード」を見て戦慄する。
(総帥の愛の試練を邪魔する我々に対する、見えない力の制裁…!この万屋、やはり計り知れない力を隠している!)
緋真は、悠真の背中に向かって、叫んだ。
「必要ないわ!!あなたの愛の熱さ、そして隣にいる従業員の計り知れない力、しかと見せてもらった!」
緋真は、愛の証であるクッキーを抱きしめ、顔を鎧で隠したまま叫んだ。
「撤退よ!総員、直ちに撤退!!今日の我が君の純粋すぎる愛のアプローチ、この身に深く刻み込んだでしょう!!」
緋真と部下たちは、大破した扉を尻目に、高速で路地裏に消えていった。
===作者コメント======
世界観と感じて...
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