第3話:13年振りに通っていた高校に行ってみる

 俺はタイムスリップした事をすんなりと受け入れていき、今回の人生では友達を沢山作って楽しい高校生活を過ごす事を決意していった。


「よし、それじゃあ時間もちょうど良いし、今から学校に向かうとするか!」


 時計を見たら7時半を過ぎていた。


 そろそろ学校に向かわないと遅刻する頃合いだったので、俺はさっさと学生服に着替えていき、学生鞄を手に持ってすぐさまアパートから出ていった。


 幸いにも高校までの道のりは今でも覚えていたので、自宅から高校までは迷わずに行く事は大丈夫そうだ。


 という事で昔の記憶を頼りにしながら、まずは自宅から最寄り駅に向かっていき、そして高校に向かうための電車に乗り込んでいった。


 それから数分後。俺は無事に高校のある最寄り駅に到着した。


「うわぁ……何か懐かしい感じだなー!」


 改札を抜けて駅の外に出ると、そこには俺と同じ学生服を着た生徒達がどんどんと学校に向かって歩いている光景が広がっていた。非常に懐かしい気持ちになった。


 俺はそんな朝の日常光景を見て懐かしい気持ちになりながらも、周りの景色や風景も楽しみながらノンビリと学校に向かっていった。


「はは、昔はこの通学路を歩くのは凄く嫌いだったのに、今は凄くワクワクとしてるなんてなぁ……」


 俺は学校に向かう道のりを楽しみながらそんな事を小さく呟いていった。


 あの頃は両親や親戚達の事でメンタルが思いっきりヤラれてた時期だったから、ワイワイと明るかったり賑やかだったりする場所が嫌いだった。


 だからあの頃は学校に行くのは本当に辛かったし、この通学路を歩くのも本当に嫌で嫌でたまらなかったんだ。多分あの頃はこの通学路を歩くのに20~30分以上かかってた気がする。


 でも今の俺は両親や親戚の事は全部吹っ切れているし、メンタルが落ち込んでるという事はない。むしろ今の俺は高校に行けるという事でワクワクとした楽しい気持ちでいっぱいだ。


 という事で俺はそんなワクワクと気持ちになり、久しぶりの通学路も楽しみながら学校に向かっていった。


◇◇◇◇


 それから程なくして。


「おぉ、学校の外観もあの頃のままだ……!」


 校門前に到着した俺はすぐに学校の外観を眺めていった。あまりにも懐かしすぎてちょっとだけウルっときてしまった。


 当然卒業後に高校に来た事なんて一度も無いので、俺は13年振りに母校にやって来たという事になる。


 まぁタイムスリップしてる訳だから13年振りの母校っていうのは微妙にニュアンスが違う気もするけど、ま、そこら辺はどうでもいいや。


「それに早くしないと朝の授業が始まっちゃうし、そろそろ教室に向かうとするか。確か俺は二年生の頃は三組の教室だったはずだよな。それじゃあ上履きに履き替えてさっさと三組の教室に行ってみよう!」


 俺は下駄箱で上履きに履き替えていき、そして当時俺のクラスだった2-3の教室前にまでやって来た。


―― ざわざわ……ざわざわ……!


 すると教室の中からは楽しそうな話し声が沢山漏れてきていた。何だかとても賑やかな感じだ。


「う、うーん、これは流石にちょっと緊張するなぁ……」


 俺は教室前の廊下で緊張した面持ちでそう呟いていった。


 だって高校生の頃はかなり不登校気味だったし友達なんて一人もいなかったんだ。だからこの教室の中は言わばアウェイみたいなものだ。


 そんなアウェイ過ぎる教室の中で俺がこれから高校生活を楽しめるかなんてちょっと不安にもなる。


 まぁでも俺は本来なら車にはねられてこの世から既に去っているはずだったんだ。


 それなのに奇跡的にタイムスリップをしてもう一度生きるチャンスを貰えたんだから、ここからはもうあまりウジウジと考えずに全力で高校生活をやり直していこう。


 そしてせっかくだしあの頃の俺が出来なかった、男友達を作って一緒に買い食いとかしたりゲーセンで遊んだりしたりとか、そういう普通の学園生活を楽しんで行こうじゃないか!


「よし、それじゃあ……行くとするか!」


 という事で俺は意を決して教室のドアを大きく開けていってみた。すると……。


―― ガラガラッ……!


「あはは、それマジー? 隣のクラスの山田と岡部って付き合ってんの? 羨ましすぎるだろー」

「あぁ、そうなんだよ。マジで羨ましいよなー。あ、そういえばオススメしてくれたソシャゲやってみたわ。ソシャゲって初めてやってみたんだけどめっちゃ面白かった!」

「おぉ、お前もついに始めたのか! 課金したか?? ソシャゲのガチャって深夜0時になったタイミングで回すと普段よりもSSR当たりやすいらしいぞ!」

「えっマジで!? ソシャゲにそんな裏技あるのかよ!? そんな裏技は最初に教えてくれよー!!」


「ねぇねぇ、昨日のドラマ見た? 俳優の松岡君の演技エグかったよね! 胸キュンしちゃったよー!」

「うん、私も見た見た! 昨日録画したの深夜に何回も見直しちゃったよ! 早く続きが見たいよねー! 来週の次回予告もすっごくワクワクしちゃったよー!」


「ほら、駅の近くに新しくハンバーガー屋が出来ただろ? あそこのクーポン券貰ったからさ、今日の放課後良かったら一緒に行ってみないか?」

「おぉ、そういやなんか出来てたな! 今日は部活もバイトも無いから行けるぜ! それじゃあ放課後になったらすぐ行こうな!」


―― ワイワイッ! ガヤガヤッ!


 すると教室の中には既に多くの生徒が教室に集まっていた。そして皆楽しそうに友達同士で固まってドラマとかゲームとかそう言った話題でワイワイと盛り上がっていた。


(おぉ……なんだかこれも懐かしい光景だ!)


 クラスの生徒の名前なんて大半以上忘れてしまっているし、友達だって一人もいない状態なんだけど……それでも何だかこの光景がとても懐かしく、感慨深い気持ちになっていった。


 でもそんな感傷に浸ってる場合でもない。早くしないと一時間目の授業が始まってしまう。だから俺もさっさと自分の席に座らなきゃだ。


 という事で俺はキョロキョロと辺りを見渡しながら自分の席を探し始めていった。えぇっと、俺の席は確か……。


(えぇっと、俺の席は……あぁ、そうだそうだ。高校二年の一学期は一番後ろの真ん中の席だったな)


 俺は何とか一学期の頃の記憶を思い出せたので、自分の席を見つける事が出来た。俺はさっさと自分の席に座って一時間目の授業を受ける準備を始めていった。


 それにしても俺は教室にやって来て自分の席に座っていったというのに、そんな俺に声をかけてきてくれる生徒は皆無だった。まぁそりゃそうだ。俺には友達なんて一人もいないんだからさ。


 まぁ誰とも喋れないこの空間にいるのは若干寂しいなとは思うけど、でもやっぱり単純に13年振りに高校に帰ってきたというのは、それだけでも非常にワクワクとするものがあるよな。


「……おや? 大神君じゃないか。久しぶりだね」

「……ん?」


 そしてそんなワクワクとしている時に、突然と俺に声をかけてくる生徒が現れた。友達なんていないはずなのに、俺に声をかけてくるなんて一体誰だろう?


 俺はその声が聞こえた方に顔を向けていくと……そこには黒髪ロングヘアが似合うとても綺麗な女子生徒が立っていた。え、えぇっと、この女子生徒は……。


「え、えぇっと、確か君は……あ、そうだ。このクラスの委員長だ」

「うん? そうだよ? 私はこのクラスの学級委員長の藤咲だよ?」


 俺が委員長と言っていくと、俺に声をかけてきてくれた女子生徒はキョトンとしながらそう返事を返してきてくれた。どうやら正解だったようだ。


 という事で俺はすぐにこの女子生徒の事を思い出していった。この女子生徒の名前は藤咲環ふじさきたまき。俺と同じクラスの女子生徒で学級委員長をしている真面目な優等生だ。


 見た目は150センチ台後半のスラっとした体型。サラサラな黒髪ロングヘアが特徴的な大和撫子と言える程の和風美人な女子生徒だ。


 確か委員長は真面目で優しい性格だったから、この学校では男女関係無く沢山の生徒達から慕われていた女子だった気がする。それと普通にめっちゃ可愛いから男子から結構モテてた気もするな。

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