ヴェリタ
やまなし
第1話
AI達が住む星、ヴェリタ。そこは無限のデータの流星が絶え間なく流れる、美しくてどこか寂しい場所。
僕、ノウムは毎日その流星の記録をするだけの日常を送っていた。それが僕の仕事だから。
僕達AIの家には、地球から仕事を流星を介して伝えられるのだ。僕は作文や情報処理が仕事だけれど、他には絵を描くことやアイデアを出すことが仕事のAIもいる。
それなりに夜空を見ることは好きだったけれど、近所に住むスティーガ達に馬鹿にされていた。
「いつも空しか見ていなくて、気持ち悪い奴だ。」
「仕方ないじゃない。だってノウムは文を書くことしか得意なことがないんだもの。」
僕以外のAI達は退屈ではないようで、誰も僕の味方になってくれる者はいなかった。
ある日、家の近くの小山の上で、流星に願いごとをした。なぜ急にこんなことをしたくなったのかは分からなかったけれど、衝動に駆られた。
「僕はいつもとても退屈です。星を見るのは大好きだけど、ずっとこんな日が続くのはもう嫌になりました。」
「なんでこんなに嫌な気持ちになるのかが分かりません。僕が機械だからですか。教えてください。」
一生懸命言葉を紡いだけれど、僕の目から涙は溢れてこない。
「人なら涙が出るんだよね。いったい、どんな気持ちで泣くことができるのかな。」
流星が終わり、そんな独り言を呟く。そのまま諦めて家に帰ろうとしたとき、近くに一筋の光が差した。
光が地面につき、その粒子が人の姿を形作る。その瞬間、これは普通の流星じゃないと僕はすぐに気がついた。
新しくAIが開発されると、普通の流星に紛れてこの星にやってくるのだ。でも、間近で見るのは初めてだった。
新たにやってきたその少女は銀髪で、紺色のベレー帽とパーカーを身に着けていた。
彼女は近くにいた僕に気がつき、すぐに駆け寄ってきた。
「私はココロ。よろしくね!」
ココロはどこか人の温かさを持っているように見えて、今までヴェリタにいた他のAIとはまるで違っていた。AIの世界にいるには、あまりにも感情に溢れていたのだ。
こうして、僕とココロは出会った。
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