第7話 縮まる距離
数日後、ハヤテから夕方にメッセージが届いた。
ハヤテ『今日はログイン遅くなるかも』
うーん、ハヤテがいない間ゲームで何をしようかな。
そういえば今日は羽山さん、会社にいないな。
気になって予定表を見た。
『直行直帰』
忙しそうだな……。
最近羽山さんは前と違って、少し会話をしてくれたり、気にかけたりしてくれる。
その理由が全く思いつかない。
でもコミュニケーションをとれた方が、私も楽だから気にしない事にした。
◇ ◇ ◇
私は家に帰った後、いつもよりゆっくりお風呂に入って、お風呂から上がったらストレッチをしたり、見たかったアニメを見ていた。
寝る準備が整った後、ログインをした。
まだハヤテはログインしてなかった。
この隙に──
レベルアップしてハヤテを驚かせよう!
バトルでもっと有利に動けるように!
試練の塔に行って、ランダムで選ばれたパーティーメンバーと共にレベルアップに勤しんでいた。
その時、ハヤテからチャットがきた。
ハヤテ『今からこっちに来れる?』
いつもは来てくれるけど、今日は何でだろう?
ハヤテのいる場所まで移動した。
そしたらそこに、知らないキャラが居た。
誰だろう。
ハヤテ『新しいフレンド。今日始めたばかりで、手伝ってあげようとしてるんだけど、一緒にどう?』
新しいフレンド──
少し複雑な気持ちになった。
今まで二人で行動していたけど、これから三人になるかもしれない。
私がいない時、ハヤテはこの人と行動するのかと思うと、少し寂しくなった。
でも、私も初心者の時、ハヤテに凄く助けられた。
あまる『わかった!』
私も人を助けよう!
三人でストーリー序盤のボスと戦ったり、このゲームの基本を教えたりして、その日は終わった。
ハヤテ『ありがとう』
これはオンラインゲームなんだし、色んな人と遊んだ方が楽しいはず。
私もハヤテ以外にフレンドを作った方がいいかな、と思った。
私がゲームから落ちようとすると、ハヤテがまた前より近づいてきた。
ハヤテ『あまる、おやすみ。また明日』
徐々にハヤテとあまるの距離が近づいてて少し戸惑うけど、ハヤテと一緒にストーリーを進めたい。
一緒に感動したい。
それだけは他の人には譲れなかった。
◇ ◇ ◇
次の日、フロアの廊下を歩いていたら、羽山さんと販売企画部の鈴木さんが話していた。
鈴木さんと羽山さんは親しげな感じだ。
じっと見ていたら、鈴木さんに気づかれてしまった。
「あ!えーと、天川さんだよね?羽山の部署の」
私の事を知ってる!?ほとんど関わりがないのに。
「はい、天川です。私の事知っててびっくりしました」
鈴木さんは人懐っこい笑みを浮かべている。
「会社の女の子の名前はほとんど知ってる」
鈴木さんは色んな女性社員と話しいるのをよく見かけるけど、私の名前まで知ってるとは。
「天川さんエタクエ知ってる?」
エタクエ!?
なぜその話題??
鈴木さんもやっているのかな……?
言おうか悩んでたその時、羽山さんが間に入った。
「俺、天川に話あるからまた」
鈴木さんは渋々離れて行って、
「今日ゲームで待ってるから〜」
と、羽山さんに言った。
ゲーム?どういう事?
よくわからなくて混乱してると、羽山さんは私を手招きした。
話ってなんだろう。
羽山さんについて行ってミーティングルームに行った。
「ごめん。あいつ俺の同期で。結構軽いから、念のために追い払った」
羽山さん──
なぜ?
「ありがとうございます。鈴木さんがああいう感じの性格なのは知っていますよ」
あの感じだと、鈴木さんもエタクエをやっているかもしれない。
会社の人とも遊べたらちょっと楽しいかも。
でも、私はハヤテさんと一緒にストーリーを進めたいし、そこに他の人が入るのは嫌だった。
「……天川もやってるの?ゲーム」
羽山さんに聞かれて驚いた。
「羽山さんもやるんですか!?」
「いや……聞いただけ」
最近羽山さんと少し距離が近くなったせいか、色々知りたくなってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます