第5話

Rは目敏い自分を恨みました。


助けてもらえる立場に泣きじゃくりながらしがみついて、助けてもらえないと心の中で不貞腐れる。


他のヒトからすると、これがどんなに情けないことか容易に想像できる目敏い自分を無視して、悲劇のヒロインだなんて女々しくてたまらない。


だからRはいつもいつも、泣こうとしては理性に邪魔され、そして誰かを恨もうとして失敗し、勝手にすり減っていきました。


すり減っていないと不安だったのでしょう。

不幸じゃない自分に不安を感じたのでしょう。


しょうもなく見えますが、本人からするならば至って真剣で真っ当な本音なんですって。

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