第6話小さな傷から広がる
秋月へのいじめは日に日に増した
俺はもう秋月には話しかけることもやめていたがクラスの友達から来る秋月に関するSNSでのメッセージには返信をしていた。
まぁ皆んなの言ってる事も分かる
ボッチのくせにイキっていてムカつくとか
人を見下す目キモい…とか
あの冷たい目つきには俺もムカつくーーーーーー
そう言えばテスト返って来たんだ
俺は赤点無かったぞ、あの3人はどうかな?
”喫茶kusunoki"―――
「カツさん皆んなまだ来てない?」
「ああ、まだこんな」
「カツさん俺今回のテスト1番出来たので93点行ったよ」
「おおすごいじゃないか、で数学は?」
「エッ、なんで聞くんだよいいだろ赤点じゃないんだから」焦りながら言う
「で?」
「さ、32点…」下を向いて答えた
「赤点は?何点だ?」
「30…いや、でもさ生物が93だよ!すごいって言ってくれたじゃん!!」
俺が騒いでいると他のメンバーが店に入って来た
步睦が「マスターいつものね」といい伶が「俺も」と続けて言う
響矢は「カツさん今日ご褒美あるかな?」と言った
「おいおいお前ら赤点じゃないだろうな?」
「エッ?赤点じゃご褒美ないの?」と驚いた。
「あれ?もしかして步睦赤点?」と伶も驚いていた
「お?言わなかったか?」
「俺は聞こえたよ」響矢が言う
「俺も」
伶と步睦には聞こえていなかったらしい
「じゃご褒美ないんだ俺結構楽しみにしてたんだけど」と伶は步睦を見た
「エッ?嫌俺も赤点無いよ全部40点から33点の間だ!」最高点が40点ってそんなに偉そうに言える点だっけ?
「分かったよちょっと待ってな」カツさんはカウンターに戻った
数分後に出てきたのはカツさんお手製のピザサンド(サラミ多め)だ。
響矢はまだ注文していなかったがピザと一緒に飲むならとジンジャーを注文していた。
なるほど、確かに炭酸飲料のほうが合うよな俺もそうすれば良かった。
しかし、このピザサンド美味いメニューには無い特別感がめちゃくちゃ嬉しいし何よりもこいつらと居る時間が本当に楽しかった
時々カラオケに行く事もあった
スマホの通知音が鳴った
おっ望ちゃんからだ!見たいけどまだ話して無いし、どうする?あ〜なんかムズムズする
早く見てぇ
そんな中3人は響矢の事を話している。
響矢はギターを練習していて将来バンドマンを目指しているらしい
「なんで軽音部に入らないんだよ!練習しているんだろ」と步睦が響矢に詰め寄る
「うん、練習はしているんだけどさ…何回か見学はしたけど、俺はこことは合わない、方向性が違うかな?って思ったんだよ」
「いや、いや、方向性とかじゃ無くない?学校の部活動じゃん例えば野球好きでやりたかったら野球部に入ってそのチームで甲子園目指すじゃん」
「野球部とは違う…けど野球部で例えるなら野球もそれぞれ自分のポジションがある。一人でも違う方向を向いてしまうとそのチームはバラバラになるんだ、そりゃ人間なら気の合わないやつも考えが合わない奴もいるよ」響矢は淡々と話している。
步睦も伶も俺も静かに話を聞いた
「けど野球部は全員が甲子園を目指すと言う共通の夢があるし共鳴しやすい」
「音楽は違う大きく分けて10種類以上、細分割すれば何百と方向性があるんだけどロックだけでも例えばロックンロール、パンクロック、オルタナティロック、ハードロックとか色々あるんだけど、方向性が違うと本当に楽しくないチームになるんだ、最終的に解散に繋がるほどだよ、あるいは数カ月で脱退って話しも良く聞くよ」
3人は同時に全身の力が抜けていくのを感た。それくらい響矢の真剣な眼差しに引き込まれていた。
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