第30話 怪しいサービスとミーティア
人は思うだろう。
なぜその霊薬を地球の人間や下界の人間に渡さないのかと。
なぜならこの薬、地球の人には媚薬程度の効果しかないんです。
どうしてかというと魔力のような力をとっくの昔に捨ててしまったから。
自然と生きる、自然の元素を使う、これに特化したのが地球人類というわけ。
逆に言ってしまえば存在する元素ならありとあらゆることができる可能性を秘めているということ。
だからこのような魔法薬は効かない。
逆に下界の人間に渡すにはあまりにも効果がありすぎるので、安易に渡してはいけないという決まりがある。
そんな事情。
ちなみに、地球から下の世界である異世界にこぼれ落ちてしまった人間にも魔力などの特別な力は宿る。
その場合は魔法薬が効くようになるらしい。
細かい話は今度するとして、やることはやったので再びネットの海をさまようことにする。
「ほほう。錬金術士派遣サービスですか。異界の派遣業もなかなか大変そうですね」
なんとなく目に留まった。
そんなサービス。
金髪の魔女っ子のような可愛らしい女性が大きく映し出されていた。
なんとなく怪しい系のサイトのようにしか見えないのだけど、大丈夫なんですかね?
若干の不安を抱えつつも問題はなさそうなのでサイトを見進めていく。
どうやらここの派遣はランクで値段が決まる様子で、一番安いFランクは新人から見習い程度なんだそう。
1回契約すると契約更新までは毎月同じ金額を引かれ、契約更新時には2ヶ月分の金額を支払う必要があるのだとか。
「どことなく家賃みたいなシステム感がありますね。しかし検討してみてもいいかもしれませんね」
今後余裕が出てきたら異界の錬金術士を雇うのもいいかもしれない。
とりあえずオークションに出したものがどのくらいになるかはわからないけど、百万ポイントくらいになれば色々と余裕ができるんだけどなぁ。
「さて、そろそろ2人の様子を見に行きましょうか」
部屋で待機しているであろうクルスとルナ似合いに行くことにした。
小屋に着くと何やら賑やかな声が聞こえてきた。
クルスとルナと、困惑したアクアの声と他の誰かの声だ。
聞き覚えがあるので確かめるべく、部屋に入る。
するとそこにはミーティアがいた。
「あ、マスター! ミーティア着任いたしました! ところで来て早々で申し訳ないのですが、この子たち、私の姉妹たちですよね?」
部屋に入るなりミーティアに質問されてたけど、彼女は一体何を言っているのだろうか。
少なくともボクには記憶にない。
「あ、すみません。マスターのお父様のグランドマスターたちが生み出した戦闘兵器と同じだったもので」
「ふむ」
困惑したボクを見て察したのか、ミーティアが補足してくれた。
父の関係だとすると、ボクにはさっぱりわからないな。
「下の世界に2人の卵が安置されていたのですが、そこに残されたメッセージによると古代の人類が作り出したと言っていましたね。実際お父様がどう関係しているかはわかりませんが、意味深なメッセージはもらいました」
ボクは父からもらったメッセージをミーティアに見せた。
すると、「なるほど」と呟き頷いているのが見えた。
「やはり間違いありませんね。ええっと、クルスさんとルナさん、でしたね。ご自身のことはわかりますか?」
「わかります。私たちは大気圏内戦闘特化型。貴女は汎用戦闘型」
「私たちに命令できるのはあの人たちかその系譜」
ミーティアの問いかけに2人は頷いてそう答えた。
「大気圏内戦闘型ですか。そうなりますと3型ですね。分かりました。何かと大変かもしれませんが私たち姉妹が手助けをするので今後は遠慮なく頼ってください」
そう口にするミーティアはどこか嬉しそうだった。
ボクは詳しいことは知らないけど、ミーティアたちは人間ということになっている。
本当はもうちょっと違う何かなんだろうけど。
2人の行く末が少し心配なのでボクも見守っていこう。
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