第22話 精霊たちのトイレ事情と再びイストーの街へ
ボクは悩んでいる。
アクアたちの元に大量に押し掛けた移住希望の精霊たちの件について。
移住大歓迎ではあるものの、ボクの領域では精霊も精霊界と同じ姿でいるため人間界では起きなかった問題が発生する。
それがトイレ事情だ。
ちなみにボクと最初の従者である桃花と瑞葉、そしてメイドたちはボクの部屋に繋がっている小屋に入ってそっちで水洗トイレを使用している。
繋がってる先は日本のボクの家のトイレ。
でもここでは水洗トイレは存在しない。
ではノームたちはどうしているのかというと現在遠くに穴を掘って埋めているという惨状らしい。
一定数増えたところで火で燃やすらしいものの、衛生面は非常に悪いと言える。
急務である。
「ボクのお悩みを解決してくれる素晴らしい施策はないかな~っと」
なので今日も今日とてネットを漁る。
いくつかの簡易トイレは購入したのでそちらは現在新しい子たちに渡しているが急場しのぎ。
そんな中、あーちゃんからメッセージが届く。
『トイレ事情でお困りのそこの狐白ちゃん! 異世界といえばスライムで浄化するのが王道ですが、残念ながらスライムは狐白ちゃんたちの領域では生きていけません! なので自分に知識がないなら専門家に頼っちゃいましょう! というわけで僭越ながら妖精郷で上下水道整備をしている鬼族を派遣しました。お支払いはツケておきますね』
あーちゃんは頼れる友なのだけど時々監視してるんじゃないかという怖さがある。
たしかに、今のボクの知識や技術では原始時代方式でしかトイレ問題を解決できない。
頼れない世界にいる人は本当にごめんなさい。
ボクはズルをしますよ!
「どうもー。妖精郷浄水場組合の【鬼島】と申します」
やってきたのはムキムキな赤鬼の男性の鬼島さん。
突如現れた妖種の鬼族に桃花たちが驚いて逃げてしまったのはご愛敬。
「いやー、良い世界ですね。運転資金が捻出できそうならいつでも組合の設置をご検討ください。まずは用地の確認をしますね。住宅地からは遠いほうがいいでしょうからね」
「そうですね。では私が候補地をご案内いたします」
そんなわけで臭い対策も兼ねて鬼島さんとアクアが用地の確認にでかけた。
場所は山の裏側あたりか。
あのあたりはノームさんたちが行き来しやすいようにとお酒と力の提供だけでトンネル工事をしてくれている。
なんでもノームさんたちの力が良く通るとかで、人間界よりもスムーズに工事が進むんだとか。
基本は手掘りかつ支柱をつけて補強、その上でノームの力的な何かでさらに補強していると聞いた。
事故にだけは気をつけてほしい。
諸々の工事費用は改めて考えようと思う。
衛生面は大事。
「さて、少し時間があまりそうなので人間界の方を見に行ってきましょうかね」
というわけで早速仕入れも兼ねてイストーの街へ向かうことにした。
お供は桃花と瑞葉とメルディア。
そしてようやく名前を決めた4人の中級精霊の子を連れていく。
8人だよ、大所帯だね!
ちなみに風の精霊の子が【ミリア】、水の精霊の子が【アルカ】、光の精霊の子が【イリス】、闇の精霊の子が【アルマ】である。
▼惑星ウル イストーの街 近郊の森 廃墟の館前
いつもの廃墟の館にやってきました。
イストーの街近郊で今使える転移ポイントがここだけなのです。
さっそく森を抜け、イストーの街に続く街道に出る。
今日はマールさんを見かけないので、村にいるのだろう。
しばらく歩き、いつもの行列を見つけると、その先にある神殿関係者専用門に向かう。
そこで警備の衛兵さんに身分証を出し、新しい子について紹介すると快く手続きの場所へと案内してくれた。
なんでも、ボクの身分証は神殿関係者でも特別な物らしく、正式な手続きを踏む限り様々なチェックがスルーされるらしい。
あとマールさんからの伝言で、いつでもいいので村に来てほしいと伝えられてしまった。
「身分証の発行にはお時間がかかりますので、街に行かれてはいかがでしょうか」
衛兵さんのすすめでボクたちはさっそく街へと繰り出した。
目的はまぁ売れるもの探しと探索ですけどね!
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