【抱擁】
「桔梗…」
心に決めた相手
離すものかと
離れるものかと
そう誓った相手
不義理とわかっている。
無情だとわかっている。
それでもと
覚悟をした相手
「桔梗」は
消えかけた火を護るように
何も言わず
俺を抱きしめてくれていた。
今にも消えそうだった。
今にも溶けそうだった。
あの逞しい背中は
今にも崩れそうなほど
小さく力なく
消えかけていた…。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
失いたくない
もう失いたくない
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
消えないで
貴方さえも消えないで
お願いだから
傍に居て…。
身勝手だとわかっている。
浅ましいこととわかっている。
けれど
だけれど
消えないで…
居なくならないで…。
私はゆっくりと
されどしっかりと
あの人を抱き締めていた
「二人で…抱えましょう」
静かに囁いた。
これは私の罰だから
これは私の罪だから
これは私の咎だから
これは俺の罰なのだ
これは俺の罪なのだ
これは俺の咎なのだ
だから
「ああ…死ぬまで…ずっと」
抱えていこう…。
この卑しくも確かな想いを
たとえ祝福されぬとしても
胸に抱き
二人で歩むのだ…。
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