【朝日】

 夜が明けた。

 一糸まとわぬ姿のまま

 隣で静かな寝息を立てる背中を見つめ


 夢のような時間を噛み締め

 現実なのだと確かめるように


 ゆっくりその背へと身を寄せて

 聞こえるか聞こえぬかわからぬ声で


「お慕いしております…例えどのような道を進むことになっても」


 私は貴方を照らし続けるでしょう。

 貴方の行く道が見えなくならぬよう

 進むべき道を迷わぬよう。


 私の全てを捧げてでも


「あなた」を照らし続けるでしょう…


 愛しい「あなた」

 掛け替えの無い「あなた」


 誰よりも何よりも


 愛していますよ…。


 祝言から時は流れ

 少しだけ変わり

 しかし変わらぬ日常を過ごしていた。


 姉は姉の職務を

 私は私の職務を全うしながら


 あの人を支え続けていく日々。


 そう少しだけ違うのは


 あの人が義兄だということだ。


 月日が流れるにつれて実感する溝


 昔のようにはならない…。

 二度と戻らない…。


 一体いつから変わったのだろうか

 あの祝言の日から


 それとも…


「……う……ょう…桔梗!!」


 名を呼ばれハッと我に帰る。


 里長の奥様の呼びかけで現実に引き戻される


 少し考えすぎたのか…。

 私を気遣う言葉をかけ少し休むよう促していただいた奥様にお礼をし


 ゆっくりとあの場所へ…。


 私のとっておきの場所へ…。


 誰にも知られない場所へ…。


「ここはいつ来ても…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る