48.アーミーワーム大戦 その1
【サイン視点】
鍵屋から貰ったショットガンで地面から出てくるワームを弾き飛ばしていく。包丁?ワーム一匹斬りつけたら折れましたが?ショットガンの反動を片手で抑えられずブレまくってるけど、当たればいいんだよ。
「くそ硬いなコイツら…市販のショットガンじゃ殺しきれんわ…」
「普通のワーム種よりも強いわね」
「はは、少しピンチかもしれませんね」
鍵屋とミツガレ、俺は3人はまとまってワームに対処していく。ショットガンの衝撃で地面を転がったワームを踏みつけて潰す。くそっ、ニン剣があればなぁ…まだ隠れ家にたくさんあるからちゃんと持ってくれば…
寄り合いのウォーカー達も強い人達が多いようだ。
「俺達のチームは俺達で守る!」
「くそ、前線武器の消耗が激しい…」
「エネルギーけちんなよ?死ぬぞ!」
「非戦闘員と子供はこっちだ!車の上に!」
「急げ急げ!」
「ふえぇぇ…」
陣形を組みしっかり非戦闘員を守りつつワームを撃破している。そしてアミューは…
暴れていた。
「ガアアアァァァァーー!!」
地面を思いっきり、何度も踏みつけ咆哮を上げ、目立つことに寄ってワームを自身に引きつけている。そして飛び掛ってきたワームを千切っては投げ千切っては投げ…マジで千切ってるもんな。ってか尻尾もう見えてますが…
もう一人で50体は倒している?それにしても…
「多いな…多すぎるぞ…」
「終わりが見えませんね」
「なんなのよ…」
ワームが多すぎる…こんな規模の群れに遭遇するなんて不運すぎる…ってか最近の俺は、アミューに出会ってから変なエンカウントが多い気がする。俺の運が悪くてこの状況になってたらすまんね…
「キリがねぇぞ!」
「ちょ!あんた足元!」
「ゲッ(ズガァーン!)ちょおーーー!」
アミューが石を投げてウォーカー寄り合い所の人間の足元のワームをぶっ飛ばしている。ワームと一緒に人もぶっ飛んでるが足を喰われるよりマシだと思って我慢してくれ…
…………………………
アミューの奮闘のおかげもあって、俺達は無傷。向こうのウォーカーグループも一人左腕を捕食されただけで死者は出なかった。
「…はぁ…終わりましたよ…もういません」
「終わりがあって良かった…」
「疲れたわぁ」
鍵屋が終わりを宣言したので本当に終わったのだろう…寄り合い所に行くだけでこんな戦闘が起こるなんて…
「助かったよあんた!」
「おねーちゃんありがとね!」
「いや、マジで強かったわ!」
「えへ?えへへ」
アミューが寄り合い所の人達に囲まれていた。もろに尻尾も見せてるけど、寄り合い所の人たちは気にしていないようだ。尻尾をフリフリしてる辺り褒められて嬉しいのだろう。
「あーあ、食料庫がやられてらぁ…俺らの保存食が…」
「これからどうしましょうか…」
そのウォーカーのトップ様は仲間とボロボロになった食料庫を見て呆然としている。
「このワーム食べればいいじゃん!いっぱいあるよ?」
アミューがリーダーの方を向いてなんか言い始めた…これを…喰う?
食欲が少しも湧かないな。
「いやぁ…それはちょっと…」
「ワーム種って食べられましたっけ…」
ほら、向こうの人達も困惑してますよ!人様に変なものを勧めるんじゃ…待てよ?俺は寄り合い所の人達に囲まれているアミューに声をかける。
「アミュー!アミューも喰えるのか?これ」
「うん、これなら私も食べれる!」
なるほどなるほどなるほど…試しに死んだワームの皮を剥ぎバックに入ってたチェアッカマンで火をつけ炙ってみる。鍵屋とミツガレがドン引きしている…
「サインさんホントに食べる気ですか?」
「どうなっても知らないわよ?」
「…お前らは知らんと思うが、意外とアミューはグルメなんだよ。だからもしかしたら…」
寄り合い所の人達もアミューと一緒に集まってきた。いや、気になるなら俺のをわざわざ見にこないで自分で焼いて食べろよ…
パリパリに焼けたワームの皮を俺は口に入れた。
「う……まっ!なんだこれ超うめぇ!」
皮から出る脂が超絶美味い。これがジューシーってやつなのだろうか。酒が欲しくなる。
「ほ、ホントに美味いんだ…」
「俺達も焼いて食べてみようぜ」
寄り合い所の人達も焼いて食べてみるようだ。美味いぞ!ミートゾーンの肉じゃ満足できなくなるかもしれんレベルだ。
「えー、本当に美味しいオチって何よつまらないわ」
「僕たちも食べてみましょう」
鍵屋とミツガレも食べるようだ。おいオチってなんだ!俺のチャレンジ精神をあざ笑う気だったなさては!
「サインー!私のも焼いてー!」
「そんなおっきい皮持ってこられてもチェアッカマンじゃ焼けん!」
「ぶーーーー!」
アミュー。加減を覚えなさい。
この日は寄り合い所の人達と酒を持ち寄ってワームの焼肉パーティーで盛り上がった!腕が無くなった奴も鍵屋が義手を無償で提供してくれたので元気に騒いでいる。
アミューは寄り合いの所の子供たちと一緒に楽しそうにしている。
「まさかこんな焼肉パーティーになるとは思いませんでしたねぇ」
「そうだな。最初はあんなに険悪だったのに」
「険悪だったのはあんたが原因よ…」
鍵屋とミツガレが俺がひっそり一人飲みしてるところに来た。酒を煽り俺は気になっていたことを話すことにした。
「なあ、少し話を聞いてくれ。冗談無しの大事な話だ」
「何よ、神妙な顔して…」
「怖いですねなんか…」
「【アミューはグルメ】って言ったよな?アミューは市販品の銃や、ミートゾーンの肉は食べないって言うんだ。食べるのは前線の武器か高級な食材がふんだんに使われたご飯だけなんだよ…」
「…貸さないわよ?」
「お金の無心の話じゃねぇよ!」
確かにこの部分だけを聞いたらお金を貸してほしいみたいな流れになるかもだが違う。
「つまりこのワーム種は…前線でもより奥の方…最前線産かもしれねぇってことだよ…」
ミツガレの顔が一気に真剣になる。
「…でも弱かったわよ?最前線産だったらもっとバケモンみたいな兵器が来るはずでしょ…」
そうなんだよな…こんな武器や銃で勝てるわけがないんだよな…
「サインさんの予想…当たりかもです…」
鍵屋が自身の端末をこちらに向ける。
そこにはネットの記事がありデカデカと…
【被害多数!シェルター5つ陥落!強力なワーム種が各地に大量出現!】
「ああ…」
「最悪ね…」
人間…滅びるかなぁ…
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