ワイヤフレーム
床の間ん
第1話 超濃厚マシマシカレーうどん
序章
差し出した わたし の両の手のひらの間に 緑色の球体が浮かぶ 見慣れた わたし の手? 緑色の光の糸でできている、その糸を時折流れる光の粒が
指先からはじける
わたしの手のひらは惑星を包み込む。もちろん本当にそんなことはないわ。
これは、強すぎたわたしのチートスキル「老いたる掌、陽の光を遮るに足らず。」に対して、この異世界の復元力が行った最終処分なの。
宇宙空間に追放?惑星出禁?似てるけど違うわ。
わたしは安定したのよ。最終的な在り方になったの。続けるわね。
わたしのチートスキル、わたしと不可分の、わたし自体。何も効かない無敵、時すら届かない不滅、そして力、他者への、世界への無制限かつ一方的な干渉能力、キリがないわ。だから、名は体を表す。名前を付けたんじゃない。
老いたる掌、陽の光を遮るに足らず。
いつか、あらゆる動きは止まり、あらゆる熱は冷め、やがて、あらゆるものは均一に慣らされわ、永遠に休止するのよ。命すら。
けど、無敵すぎ永遠すぎて、てそれすら届かないわたしは、
世界の?いえ、転生してきたから異世界の、ね、世界を安定と安寧に導く法則によって、
どこにでもいるくらい、薄められちゃった。
空間的には、縦横奥行きどとまでも、時間的には過去と未来のどこまでも。
わたしは、どこまでも薄まり、どこにでもいる。
わたしは、どこまでも薄まったので、どこにもいない。
最終的な安定、あらゆるエネルギー過程がそうであるように、永続的な休止の状態になったのよ。
そうね、それなら言葉を話してるわけない?
それはたまたまよ。
そんなわたしも、たまに、濃くなるのよ。偶然。濃くなったわたしは、自分の手のひらの中に惑星があるように感じ、そんな懐かしい大地を眺め、
できれば、愛した人たちが生きていた時間軸的に「濃くなれてたら」いいなぁって思いながら、この惑星を隅から隅まで探るのよ。
これは、そんなわたしの思い出話。
わたしにもわからない、あなたにむてけの、独り言。世界に滲(にじ)むシミになった、わたしの独り言。
よかったわね、もし世界があなたの一張羅だったら、わたしのみシミ力は並のカレーうどんの比じゃないわ。
わたしは超濃厚マシマシカレーうどん、ひと度ハネればそこはもう印度!(象「パオーン」)
全身をうっすら茶色く染めて強烈なカレー臭ははあなたのもの。
フフフ、お暇ならもう少しお付き合いくださいな、カレーさん。
序章おわり
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