第2話 誤解です!

次の日。美緒と学校へ向かう。


「どうしたの、愛理?浮かない顔して」


そうか、私は今浮かない顔をしているのか……。

原因は二つある。

・お兄ちゃんから彼氏作れと言われたこと。

・ヤンキーの犯行(?)現場を見てしまったこと。

8:2の割合で原因はヤンキーだけど。

これ、美緒に話したらヤバいよね。そう思って私はうまいごまかし方を考える。


「今日変な夢見ちゃって~。たっくさんの男の人に囲まれて、合コンみたいなのしてるの!ね?変な夢でしょ。そのせいでちょっと朝からドギマギしてて」

「ふぅん!愛理もなんだかんだ彼氏作りたいっていう思いが現れたのかな」


えっと、それはないと思う。私の作り話だから。

そんなことを話していると、門が見えた。

よ~し、行くかぁ


一時間目の授業が終わって、私は外に出る。

遊ぶぞ~~!

すると後ろからトンッと肩をたたかれた。美緒かなと思って振り返ると、その子にいたのは……

昨日みたヤンキーの中の一人だった。


「帰り、校舎裏に顔かせ」


それだけ言うと、ヤンキーは去っていった。

私は何か言おうとするも言葉が緊張で出ない。

ヤンキーはもう見えなくなっていた。


校舎裏。ほんとだったら告白のドキドキシーンだけど、用件はそれじゃないんだろうなぁ……。昨日のことなんだろうなぁ……。

私は憂鬱な気分で授業を終えると、校舎裏に向かった。


校舎裏には昨日見たメンバーがそろっていた。


「一ノ瀬愛理」


はっ、はい!

私はびくびくっ。な、なんでしょうか?


「お前……。よくもチクりやがったな」


ええ!?

そ、それは誤解、曲解、勘違い!

私はだ~れにも話しておりません!


「あやうく退学になるところだったんだぞ、どうしてくれるんだ!」


金髪のボサボサ髪に小さなピアスをつけた人が話す。


「私、そんなことしてない……」


私が小声でつぶやくと、ますます怒りだす。

あわわっ、どうしよう!?

すると後ろから黒髪イケメンがやってくる。

私の頬をすっと触って言う黒髪イケメン。


「一ノ瀬愛理ちゃん」


イケメンに名前を呼ばれてドキドキする私。ドキドキしてる場合じゃないんだけど……。

黒髪イケメンは指を頬から唇に動かす。

後ろから金髪ピアスが私の腕をつかみ、後ろに回して捕まえる。


逃げ場が、ない。


「俺たち必死なんだよ。君のせいで俺たちたいへんだったこと、わかるよね?ということで、しかるべき報いを――」


きゃっ、やばい!


後ろから来た茶髪のリーダーっぽい人が拳を固める。


ドカッ ズッ ガスッ


痛みと同時に、私の意識は消えた。

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