第12話 [呼び出し]
「桂木様、ブルーノ会長からご連絡がございまして。早急に会長宅に来て欲しいとご連絡がございました」
「お爺さまが?」
思い当たる節は1つ。先程、俺を殴って勝手に怪我したアジア系観光客の事だろう。何も悪い事はしてないし、逆に俺は傷害の被害者だ。警察もホテルスタッフも全員見ているし、あのアジア人は現行犯逮捕されたはずだ。
「分かりました、今から伺うとお伝えください」
ミシェルは俺の袖を掴んで離さない。
「ミシェル?」
「私も行く、裕くんの役に立ちたいの!」
俺はホテルマンに会長へのアポ取りを頼み、ミシェルと共にタクシーで会長の自宅へ向かう。そして、会長の家に通されると、会長とは別に青い顔をしたアジア人の老人がそこに居た。
「桂木くん、呼んだのは他でもない。彼が君に謝罪したいそうなんだ」
「俺に?」
彼はロッソグループに支援を頼みに来ていた会社の社長で、俺を殴ったアジア人男性は彼の息子だったらしい。会長所有のホテルで騒動を起こしたばかりか、俺を殴って逮捕された事で大急ぎで謝罪に来たというのだ。
「桂木くん、君は被害者だ。彼は君の裁定を気にしている。どうするね?」
どうやら会長は俺を試しているようだ、ここで俺がどう立ち振る舞うかで俺の評価も変わるだろうが、そんな事は関係無い。俺は俺のやり方を通させてもらう。
「彼は警察に捕まって怪我もしている。それなりの罰は受けているので、俺個人としては彼の処遇に口出しはしません。口出し出来るなら騒動を起こされたホテルのオーナーの会長しか居ませんよ」
アジア人男性は安堵の表情を見せるが、俺の言葉は彼を地獄に叩き落とす。
「だが、
俺がここまで冷徹になれたのはミシェルを守る、そして会長を守る、引いてはロッソグループを守る為に毅然と冷徹に、しかし感情的にならずに現実を叩きつける。
俺は世界数万のロッソグループの社員やその家族を守る為に立たされている。ここで
「
俺は通訳アプリを使って退去を命じた、アジア人男性はガックリと肩を落とし会長の家を後にした。
「ふう、ビジネスを潰した罰はなんなりと」
「罰じゃと?誰が
ミシェルはキッチンに行き、コーヒーを淹れてくれる。俺は会長に
「ワシは、いや、ロッソグループは日本とインド以外にアジア拠点を作る気は無いんじゃ」
「でも日本はかつての経済大国じゃないですよ?」
「それでもじゃ。ワシは日本が好きなんじゃ、それに
「いえ、充分かと」
「それにな、実はワシは相当ムカついておったんじゃ。孫娘が大事に想うお前を傷つけた、お前を傷つけたと言う事は、ロッソグループに唾を吐いたも同然」
「そうよ、裕くんを傷つけるなんて絶対許さないわ!はい、コーヒー。裕くん、砂糖とミルクは?」
「あー、ブラックで大丈夫。会長、俺はアジアマーケティングに関しては日本以外はじっくり腰を据えて見た方が良いと思ってます。中国と韓国は確かにブランドに関しては日本と大差無いでしょうが、ロッソブランドが悪くなります。それは他のブランドが窃盗にあったり、偽物が出回っていたり、店舗撤退している事が証明してます」
「なるほど、よく見ているもんだ」
それから俺とブルーノ会長とミシェルとでグループの在り方を真剣に話し合ってから、俺とミシェルはホテルに戻った。
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