第12話

「あのご主人様……いきなり白奈を呼び出すなんて、何か用でしょうか……?それとも、こんな場所に呼び出したということは、まさか――ご主人が白奈にご褒美をくださるということでしょうか!!」


「あぁ……急に呼び出して悪いな」


 休日、俺は朝日奈白奈に連絡して、先日、羽山白愛を招いたSM部屋に朝日奈白奈を呼び出した。


「あの――ご主人様……?」


「お前に頼みたいことがある」


「ご主人様からの頼み事!?でしたら、白奈におまかせを――って、あの……ご主人様、目が怖いですよ……」


「ん……あぁ……ちょっと嫌な事を思い出してな。だからお前にはこれから、頼み事と俺が制裁おしおきをする」


「ん……あぁ……!!ご主人様、もう限界です」


「はははは……まだまだ耐えられるよな、朝日奈白奈ぁぁぁ」


 電流のリモコンをMAXにして体を縄で縛られていた朝日奈白奈の体はベッドの上で大きくのけ反る。


「はぁ……はぁ……ご主人様ぁ……」


「俺に近寄ってくるな」


 ベッド上には朝日奈白奈の秘部から流れ出た透明の液体が染み込んで、ずっと微量の電流を浴び続けていた朝日奈白奈が近寄ってこようとする。


 だが俺は近寄ってくる朝日奈白奈の体を押し退けてベッドの上に押し戻した。


「さっきの話の続きだが……桃堂白音と連絡を取れるか?」


 今の時代、売れていなくてもアイドルの桃堂白音、仕事の関係で学校に登校する頻度が少なく。桃堂白音と接触しようと思っても中々できない。


 奈津菜を使えば桃堂白音に連絡を取れるかもしれないが、奈津菜を俺の復讐に巻き込むのは避けたかった。


 それに奈津菜は桃堂白音を信頼していて仲も良い。もし俺が奈津菜に桃堂白音と連絡を取りたいなんていえばきっと詮索してくる。


 それを避けたかった俺は、朝日奈白奈を使って桃堂白音と連絡を取ろうとしていた。


「うぅぅ……それはいくらご主人様でも……」


「もしかして、俺の命令が聞けないっていうのか……?」


「いえ……そんなことは!!ひゃ……熱っ……な、なんですか!?」


「蝋燭だよ」


「ろうそく……?あ……熱い……体が熱いです。ご主人様……!!」


 朝日奈白奈の体の上に蝋燭の蝋を数滴垂らす。朝日奈白奈は泣き顔を浮かべる。


「そうだよな、熱いよな。でも仕方ないよな、お前は俺の命令聞いてくれないんだから」


「わ……わかりました、連絡を取ります」


「そうか……ならお前にはご褒美をやろう」


「ご褒美……?」


 体を縛っていた朝日奈白奈の縄を解き、手錠を使って朝日奈白奈の両手両足を拘束。ベッドの上にX字のように寝かせて着ていた服を破いて下着姿にする。


「ご主人様……これがご褒美ですか……?」


「いやまだだ」


 無防備な下着姿になった朝日奈白奈の体の上に垂れそうだった蝋燭の蝋を垂らしていく。


「あああ……熱い……熱いです。ご主人様ぁぁ」


「これが俺からのご褒美だ……存分に受け取れよ朝日奈白奈」


「ご褒美……?これがご主人様からのご褒美……!!」


 数時間経ち、朝日奈白奈の体は火傷の跡はなかったが、ベッドの上は朝日奈白奈が流した透明の液体でびちゃびちゃに濡れていた。


「すぅ……すぅ……」


「何をやってるんだ俺は」


 濡れたベッドの上で寝ている朝日奈白奈の隣で俺は朝日奈白奈の体を撫でていた。


 こいつはただの復讐する相手だったのに、なんで今は優しく体を撫でているのか。


 自分でも今回は少しばかりやり過ぎてしまったかもしれないと反省しているからだ。


 女の子の体は大切だから怪我なんてさせるなって、よく奈津菜に言われていたのを思い出す。


「こいつに復讐した所で、こいつの性格がそんな簡単に変わるわけがないって思っていたのにな……」


 俺が朝日奈白奈に復讐した次の日から、朝日奈白奈はクラスメイト達からイジメを受けるようになって、俺をご主人様と呼び、俺に付きまとうようになっていた。


 それに数日前は、俺の命令を聞いて羽山白愛を呼び出すのにも協力してくれた。今回だって桃堂白音に連絡を取ってくれると言った。


「すぅ……すぅ……ご主人様……白奈はご主人様の為に……」


「ちっ……こいつは奈津菜をイジメていた張本人で、奈津菜を自殺に追い込んだ一人だぞ。なのに――なんで俺の為なんか言うんだよ……」


 奈津菜を自殺に追い込んだ奴らに復讐していけばいつか心が晴れると思っていたが、そんなことはなかった。


 次第に俺は自分がやっていることが本当に正しいことなのか迷い始めていた。

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