過去にタイムスリップした俺は幼馴染を自殺に追い込んだ女達に復讐する事を誓う
ゆきいろ
第1話
「あぁぁぁ、今日も負けたぁぁぁぁ……!!」
壁を叩きつけるように殴って腕が少し痛む。
こんな腕の痛みより、パチンコで負けた方がよっぽど悔しい。
「あの台、あんな演出をして期待だけさせやがって。なんであそこで外すんだ……!!おかげで今日はいつにもまして大損だ。てか今月はパチンコでいくら負けたんだっけ……」
朝から夜までパチンコを打ち続けて、金をすり減らす毎日を繰り返している。自分が何を生きがいにしているのかわからなくなる。
「なにあれ……www」
「あんなのみない方がいい、それよりも今日はそこの最高級レストランを予約しているから早く行こう」
通りすがりのカップルが壁を叩きつけている俺を見て笑いながら歩いてその場を去っていく。
「ふん、何が最高級レストランだよ。世の中金さえあればなんでもできるだろうが」
さっきのカップルの悪口を口にしながら、歩く。
俺も昔はこんな性格じゃなかった。
「っ……ちっ……なんで今更になって、あんな事を思い出すんだ。今日はどこで寝るか」
「あの……何かお困り事はありませんか……?」
「ん……誰だあんた……?」
歩きながら今日の寝床の場所を探していた。
するとシスター服を身に纏い、布で目を覆い隠す小学生と思われる幼女の見た目をした女の子が声をかけてきた。
「私は見ての通りシスターです。あなたが困っていそうだったので声をかけました」
「あぁ、俺は困っていないからそんなのいいって。それよりお前みたいな小さい女の子が、夜遅くこんな所を歩いていると、悪い奴らに目つけられるかもしれないから。早く帰りな」
ここはいわば夜の街と呼ばれている場所で近くにはホストクラブ、風俗、パチンコ屋、他にも複数の娯楽施設、飲食店などの店が並んでいる。
そんな中で小学生くらいの見た目のシスター服を着た女の子は凄く目立つ。
今も風俗から出てきたサラリーマン風の男達の視線がこちらに集まってきていた。
すぐに彼女にここから離れるように言って、俺は寝床を探しに行こうとする。
「
「……!!お前どこでその名前を……いやなんで死んだあいつの名前を、お前みたいな奴が知っているんだ」
「私はお前ではありません、信者の方達からはシスターミライと呼ばれています。それよりも本当にお困り事はありませんか?」
「ない……いいから俺に付いてくるなよ、もし付いてきたら酷い目に合わせるからな」
あいつの名前を聞いてから、俺は情緒不安定になって、声をかけてきたシスターを放置して、すぐにその場から離れる。
「酷い目に合うのは一体どちらでしょうかね……ふふふ……ふふふふ」
シスターミライと名乗った女の子は、一瞬で姿が消した。まるで透明人間でもみたのか、先程までシスターを見ていたサラリーマン風の男達は消えた姿をみて驚いていた。
「たく、なんだったんだあいつは……なんであいつの名前を知って……どこだここ?」
さっきシスター服の女の子に声をかけられ困り事がないか尋ねられた時、あの女の子は俺と初めて会った。
なのに、何故かあいつの名前を知っていた。
そんな事を考えて歩いていたからか、いつの間にか知らない場所を歩き続けていたらしい。
と思ったのだが……
おかしい事がある。俺は暗い夜道を歩いていた。
なのに今は太陽が昇って完全に昼間だ。
「おっはよ
「は……なんで?」
背中を思いっきり叩いて挨拶をしてきて、俺は振り返る。
そいつの顔を見て俺は驚いた。
だってそいつは……
数年前に自殺して死んだ俺の幼馴染の女の子と瓜二つの顔をしていたからだ。
「ん……?なに、そんなに私の顔をまじまじ見て?何かついてる。あっ……朝食べた食パンのイチゴジャムが……もうそれなら早く言ってよ。めっちゃ恥ずかしい///」
赤い顔をして照れる幼馴染、俺は肩を強く掴んだ。
「な、なになに優真……!?いきなり肩なんか掴んできて、あ……もしかしてさっきの私がやった仕返しとか……?優真?あの……そんなに強く掴まれたら痛いんだけど」
「幽霊じゃないのか……?」
「は……幽霊……?今日の優真少しおかしいよ?なに、もしかして悩みでもあるの?だったら私が話を聞いて、って……優真どこ行くの!?」
自分の目の前で起きている事が信じられず俺は走り出した。
なんで、なんで、なんで……
「優真、あのね。私もう限界かも」
なんで、なんで、なんで、なんで……
「優真は悪くないからね、それじゃバイバイ優真、それとごめんね約束守れなくて」
なんで、なんで、なんで、なんで、なんで………
なんで今さらになって、あの日のあいつの笑顔を思い出すんだ。
「!?」
「おっと、大丈夫君?いきなり飛び出してくるなんて危ないよ……?」
無我夢中で走り続けていたせいで人とぶつかり地面に倒れる。どこかで聞き覚えのある女の声。
憎たらしいあの女の声が耳に響いてくる。
「おーい、本当に大丈夫?もしかして救急車を呼んだ方がいいかな?」
「あんたのせいであいつが……」
「うん、何か言った……?あーごめん、学校に遅れそうだからもう行くね。救急車は呼んでおくから」
その後すぐに救急車がやってきて、俺を病院まで運んでくれた。
医者の話を聞くと命に別状はなく、ただの捻挫だそうで、明日には退院できるよう手配してくれた。
「それでは、私達はこれで」
「ありがとうございました」
病室のベッドの上から俺の体を診てくれた先生にお礼を言う。
先生と看護師さんは病室から出ていき、俺は病室で一人になった。
「今日は……うん、携帯は間違いなく動いている」
携帯の画面を見て時計と日付を何度か確認したが間違いなくしっかり機能している。
「だけど先生の話じゃ、今日は約五年前の4月14日。一体どうなっているんだこれは?」
どうやら俺は現実にはありえないと思われている。過去にタイムスリップする事を体験したらしい。
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