第6話 未来の断片

 ——映像が走る。

 炎の中で倒れる紗枝。

 その胸に手を突き刺す雄介。

 泣き叫ぶ自分。


 この未来は、何度見ても変わらない。


 陣は何度も試した。

 彼女を遠ざける未来、戦わない未来、逃げる未来。

 だがどの枝でも、紗枝は死んだ。


 「未来視なんて、地獄だよ……」


 彼は呟いた。

 それでも、紗枝は笑って言う。


 「未来は“見える”けど、“決まってる”わけじゃないでしょ?」


 その言葉が、陣の心の奥に残った。

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