第3話 再び、あいまみるるるる

 「行ってきます」さえ言わずに、また飛び出していったツヨシ。

 さて、またタロの前で固まってるんじゃない? ん~~?


 ……と思ったら。


 低い姿勢で、そっと手を広げて――

 あら、なるほど。忍者作戦ね!


 で、どうするのかしら?

 タロの方に背中を向けて……じっとしてる?

 うんうん、これは“隠れ身の術”ってことね。


 でもね、ツヨシ……

 言えないけど……見えてるよ。完全に。


 タロも困ってるみたいで、首をかしげて「きゅ~ん」。

 なんだか申し訳ないくらい可愛い。


 お願いだから、もう……やめて。

 笑いを堪えるの、ほんとに無理。


 ついにタロのほうが我慢できなくなって、「ワン!」。

 その瞬間、ツヨシはびっくりして大泣きで帰ってきた。


 で、抱きついてきたぁぁ。

 涙と鼻水とヨダレのフルコンボ。


 うんうん、怖かったね。よく頑張ったね。

 でもね……そのフルコンボで顔にぐりぐりはやめてぇぇ。

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