第28話 激突! 生徒会VS風紀委員
御代は風紀委員からアルスを取り戻すために、変なことを考えていた。三毛は嫌そうな顔をして御代の後についていて、他の雍也と日枝はノリノリで後についてきていた。
「皆、覚悟はいいかしら?」
御代は仁王立ちで、風紀委員の教室の前に立った。
「いつでもいいです‼」
両手にアサルトライフルを構えた日枝が、威勢よく返事した。
「可愛い子がいたらいいなー」
と、いつものようにバカなことを考えている雍也はこう呟いた。
「帰りたい」
ノリノリな日枝、いつもの雍也とは違い、三毛は率直な気持ちを声に出していった。
「じゃあ行くわよ‼ アルスを返せ堅物軍団!」
御代は勢い良く、扉を開けた。その衝撃で岳人や平塚は驚いた。
「あなたたちは生徒会! 私の天使に何の用だ⁉」
扉の近くにいた若葉が、御代に迫ってこう聞いた。
「アルスを取り戻しにきたのよ‼」
「残念ながら、今アルスさんは我ら風紀委員の役員です。短期だけど」
「じゃあ今日でおしまいね‼」
岳人はため息を吐き、御代に近付いた。
「今日で止めるか続けるかは、アルスさんの選択です。あなたが決めることではない」
「あんたはあいつの力を使いたいだけじゃない。ちっちゃいから皆があんたの言うことを聞かないから、アルスの力を盾にしたいだけじゃないの?」
「それは……」
御代に指摘され、岳人は反論できなかった。戸惑う岳人を見て、御代はさらに話を続けた。
「残念ね、アルスの力をこんなことに使っても意味はないわよ。一応アルスも常識はあるし、どういうタイミングで魔法や剣を出すか分かってるわ。あんたが出せ出せ言っても、あいつは多分言うことを聞かないと思うわよー」
「このクソガキィィィィィ‼ それ以上岳人たんをいじめんな‼」
御代の言葉を聞いていた若葉がスタ〇ドを発し、御代に襲い掛かった。だが、近くにいた日枝もスタ○ドを発し、若葉の攻撃を防いだ。
「私の愛しの会長に手を出すな……おめーは私を怒らせた!」
その後、教室内で激しいスタ○ドバトルが始まってしまった。飛び交う椅子や机を避けるため、岳人たちは安全な所に避難した。
「いやー。なんかジャ○プ漫画の中にいるみたいで面白いなー」
「兄さん、今こんなこと言ってる場合じゃないよ‼」
「アルスー。早く帰ってきてー」
「私が止まれって言っても止まらなそう……」
御代はため息を吐く中、雍也が若葉に近付いてナンパしていた。
「ねーねー。今日の放課後お茶しなーい?」
「黙れ小僧‼」
若葉は肘打ちで雍也に攻撃して追い払ったが、それでも雍也は若葉に近付いてナンパしている。この光景を見て、岳人は小さく呟いた。
「生徒会にも変な奴はいるんだ……」
「風紀委員の変な奴って誰?」
と、平塚は言ったが、御代も三毛も岳人も、同じことを心の中で叫んだ。それはお前だと。しばらくし、アルスと弓彦が戻ってきた。
「ただいま戻りました……あれ。御代会長。どうかしたんですか?」
「うわ、やべーことになってる」
弓彦は教室内を見て、叫んだ。中のスタ○ドバトルはさらに過熱していたのだ。
「アルス、あの二人止めて! あんたしか止めれないわ!」
「そうですね。危険になると思いますので、ちゃんと避難しててください」
アルスは御代にこう言うと、教室内に入り、二人のスタ○ドバトルを止めた。
何とか騒動は収まったが、生徒会と風紀委員の衝突は収まっていなかった。教室の中央にある机に御代と岳人はにらみ合いながら座っていた。そんなことを気にしていないアルスは、岳人にこう言った。
「岳人風紀委員長。実は、規則を破ってバイトをしている奴がいるらしいです」
「その話か……実は前からそのことは知っている」
岳人はアルスの方を向き、話を始めた。
「二年の
「じゃー何で動かなかったのよ?」
「怖顔が怖くて動けないんだって」
平塚がこう言うと、若葉は彼に向かって飛び蹴りを放った。御代は笑いながら岳人の肩を叩き始めた。
「うっしゃっしゃっしゃ‼ えー? 風委委員長がー? 不良生徒が怖くてー? 注意しに行けないー? ほんと、そんなんで風委委員は大丈夫なんですかァァァァァ?」
「うるさい!」
岳人は御代の手を払い、アルスにこう言った。
「明日以降でも構いません。彼がバイトをしているという証拠を手に入れ、彼に話をしてきてください」
「もし、バイトをしていたら処分はどうします?」
アルスの質問に対し、岳人は考えながらこう答えた。
「長期停学か……場合によっては退学だ」
翌日の放課後、アルスと弓彦、ついでに御代は変装というか、私服の格好をして怖顔がバイトしているという喫茶店へ向かった。
「こうすればうちの生徒だとばれないだろう」
「確かにな。でも何で御代会長もいるんですか?」
弓彦は横にいる御代にこう聞いた。
「噂の真実を確かめるためよ。嘘だったら、あの坊主になんて言ってやろうかしら」
「悪だくみを考えるのは後にしてくださいね」
弓彦は悪い顔をして小さく笑う御代を見て、こう言った。
三人は喫茶店の中に入り、中を見回した。カウンターには、怖顔らしき人物はいない。
「どこにいるんだ?」
「もしかして厨房かしら」
「だとしたら、調べられないですよ」
弓彦と御代が会話する中、アルスは右の手の上に魔力の塊らしきものを作り出した。
「これで探ろう」
「何これ?」
「探知機みたいなものです。今は二人の目に見えますが、少し魔力を込めると見えなくなります」
「ほう」
「探知機って言っても、どうやってその光景が見えるんだ?」
「私の脳内に直接映像として流れる」
アルスはそう言うと、魔力探知機の姿を消し、それを厨房に向けて移動させた。
「少し集中しますので、静かにしていてくださいね。あ、注文はチョコパフェで」
「ちゃっかりいいもん頼みやがって……」
弓彦はこう呟き、メニューを広げていた。
アルスが放った探知機は、厨房の中へ入って行った。シェフらしき人物を見ると、胸のあたりに名札が付いている。それを目印に怖顔を調べればいいとアルスは思った。しばらくし、厨房の奥のコンロで一生懸命に調理している青年を見つけた。その青年の名札を見ると、そこに怖顔の文字が書かれていた。
こいつだ。
アルスはそう思い、しばらく彼の観察を始めた。仕事をしている怖顔は、かなり真面目で、一生懸命に仕事をしていた。彼の仕事ぶりを見たアルスは、探知機を消した。
「いました。厨房で働いている」
「そう。じゃあ噂は本当なのね」
御代はこう言ったが、アルスはあの時の真剣な怖顔の顔を思い出した。
「ですが、真剣に働いていました。学校での彼の素性は知りませんが、ここでは不良というような態度をとってませんでしたよ」
「あっそう。でも、このことはあの坊主に伝えるんでしょ?」
「ええ。一応仕事なので」
その時、注文した品物が届いた。
「その前に食いましょ。それからのことは明日考えればいいわ」
御代はそう言うと、ケーキを食べ始めた。変な展開にならずに明日が終わればいいが。と、弓彦は心の中で思った。
翌日。アルスは昨日のことを岳人に伝えた。
「そうでしたか。では彼を呼び出しましょう」
岳人はそう言っているが、恐怖で体が震えていた。
「怖いなら、私が話をしますよ」
アルスは岳人に向かってこう言った。弓彦はやれやれと思い、怖顔が風紀委員の教室にくるのを待った。数分後。不機嫌な顔をした怖顔が、教室に入った。
「何の用だ? 俺は用事があるんだよ」
と、怖顔が言うと、岳人は咳払いをしてこう言った。
「単刀直入に言います。あなた、バイトをしていますよね。許可を得ずに」
岳人はこう言うと、怖顔の顔はもっと怖くなった。この顔を見て、弓彦は一波乱なければいいがと思っていた。
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