ペロタン

にのまえいつき

第1話 ペロタン登場!

ペロタン・・・

地球からはるか一億光年離れた惑星ペロリコからやって来た宇宙生物。

 犬に似た生物から進化したペロタンの種は、本能的に主人マスターを求める。

 そして惑星ペロリコでは、珍しい主人マスターを持っていることがステータスになるのだ。

 その為、ペロタンはステータスになりそうな珍しい主人マスターを探しにはるばる地球までやって来て、日本を拠点に活動を始めた。


 ペロタンについてであるが、身長約50センチ、約1頭身、犬のパグのような顔から直接短い手足が生えている非常にユーモラスな姿をしている。

 ペロタンは地球の言語を理解及び使用することができ、自ら主人マスターになりそうな人間に声をかけてはスカウトしている。


 そして今日もペロタンはスカウトにいそしむ。


 ちょうどペロタンの目の前に、身長180センチ程、推定体重90キロのガタイが良くて腕に入れ墨の入った強くてワルそうな男がいた。

 ペロタンは男に声をかけた。


「もしもしお兄さん。」

「なんだぁ、てめぇは?」

「ボク、ペロタンだペロ。

さっそくだけど、お兄さん、ボクのご主人様になって下さいペロ!」

「ご主人様だと?」


 男はペロタンを見た。

 明らかに変な生物、こいつを動物園に売り飛ばせば金になると思った男は、ペロタンの申し出を了承した。


「くくく、いいぜ。

俺がお前のご主人様になってやるよ。

そのかわり俺の言う事を何でも聞くんだぜ。」

「ありがとうペロ!

でも、お兄さんがボクのご主人様にふさわしいかどうかテストさせてほしいペロ!」

「テストだぁ?」

「そう、ボクと戦ってボクに勝ったらご主人様になって下さいペロ!」


 男はニヤリとした。男は腕に自信がある。このチンチクリンの生物をちょっと小突いて分からせてやろうと考え、ふたつ返事でOKを出した。


「いいぜ、今ここでか?」

「そうだペロ!」


 そう言うなやいなや、ペロタンは戦闘形態バトルフォームに変身した。

 ペロタンの短い手足は引っ込み、顎の下から、ドウェイン・ジョンソンを5回り程デカくしたマッチョボディが勢いよく生えてきた。

 身長250センチ、体重350キロ、これがペロタン戦闘形態バトルフォームであった。

戦闘形態バトルフォームのペロタンは口調も変わる。


「汝・・・我が主人たる力を示せ・・・」


 まるで持ち主の力を試そうとする伝説の聖剣のような口調になったペロタンに男は戸惑った。


「・・・え、え・・・?」


 男の言葉を待たずにペロタンの右拳が動き始めた。


ペロタンパンチ!!!


 男の上半身は爆散した。


 ペロタンの前方30メートル四方に男の上半身を形成していた肉片と骨片が散らばり、男の下半身は、彼の墓標のようにその場に立ち尽くしていた。


「今日もご主人様見つからなかったペロ・・・」


 元の姿に戻ったペロタンは暮れなずむ街をトボトボと歩いていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る