おバカ高校AI研究部(仮)

疾風の刃

第1話 おバカ高校AI研究部、始動!


「諸君、時代はAI時代に突入した!

 この新たな時代のビッグウェーブに、

 我々偏差値30以下の高校出身者である我々が世知辛い世間の荒波をサーフィンするには――

 AI活用術を研究する必要を感じ、私はこの部活を立ち上げたのである!!」


放課後の教室。

机の上に片足をのせてポーズを決めるAI研究部部長。

拍手は、ない。


「……で? リーダー」

「ん?」

「そもそもAIって何ぞ? ファンタの新しいフレーバーか何か?」

「おぉー🧐」

「AIてのはそもそも何処で売ってんだ?コンビニで買えんのか?なんぼなんだ?」

「え?金かかんの?俺、今月、あと300円で過ごさなきゃならんのだが?」


「やっぱそう思うよな?

フ、安心したまえ。

諸君、そんな諸君の不安もごもっともであるが

この私はそこら辺の情報収集は抜け毛がないのだ。

そこで登場するのが我らが栄えあるAI研究部の顧問に就任された数学の高橋先生の登場なのだ!!」


「で先生さんよ?AIて何だよ?」

「初手から先生に向かって何だその態度は⁈

まったく、まぁ何だ、AIてのは性格の悪い大学の兄ちゃんみたいなもんだ」

一同、しばしの沈黙の後。


「おお~!!(;'∀')なるほどー!!!」


顧問の高橋先生が頭をかきながら、自前のノートパソコンを開く。

「絶対理解してねーだろ?お前等?

ま、百聞は一見にしかずだ。

 AIってのはこうやって――」


画面に光が走る。

「こんにちは。AIです。今日はどうしましたか?何をお手伝いいたしましょう?」


その瞬間、教室が静まり返った。

誰も息をしてない。


「……おおおぉぉぉ‼️」

「しゃ、しゃべった!?」

「お、女の声だ!コイツ、女だぜ!!」

「こんな薄い板の中に人がいる!?」

「いや、電話だろ? これ電話型妖怪だろ!?」


高橋先生がため息。

「バカめ。これがAIだ。お前らが今日から向き合う“未来の頭脳”だぞ。

Artificial Intelligenceが正式名称だ」

「先生、そんな長い名前、誰も覚えられねーよ。愛ちゃんでいいだろ?そんなもん」

「……あ、愛ちゃん?」

教師高橋は教壇に立ち15年。

教育の現場に限界を感じ転職を考え始めた。


「じゃあ族長として否、部長としてこの私が最初の質問をしてみよう。

 皆、静粛に」


全員が息を呑む。

「AIさん改め。愛ちゃん、あなたは今、お付き合いされてる方はいますか?」


教室爆笑。

高橋先生が頭を抱える。

AIは真面目に答えた。


「私の個体識別名は愛ちゃんですね?了解です。メモリに記録しました。ではご質問に解答いたします。

私は人間関係を持ちません。ですが、あなたの質問にはユーモアを感じます。ありがとうございます」


「おおーー‼️」

「愛がある返しだ‼️」

「このAI、もしかしてモテる!?」


高橋先生がつぶやく。

「……AIは真面目に答えて、バカは真面目に笑う。

 どっちも本気だから、世界が面白ぇんだよ。」


数学教師高橋は笑いながら思った。

――この部活、未来よりヤバいかもしれない。


かくして、おバカ高校AI研究部はここに始動した。

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