グレーダイヤモンド
深紅 あん
プロローグ
老夫婦が、身を寄せあってソファに座っていた。お互いの手を握りあって、絵本を描いていた。二人には孫ができるのだった。作家の夫人は、物語を。元科学者でスケッチ力に長けている旦那は絵を描いた。孫に向けて絵本を作る二人は仲睦まじくて暖かい。
静かな午後の光が、白い二人の髪を照らした。
旦那は言った。
「君の作品はどれも素晴らしかったな」
夫人は笑う。
「あの時は周りの物事全てが面白かったわ」
旦那は、色のついたスケッチが乾くとしわしわの指で触った。
「てっきり、君は私との物語を書くと思ったよ」
その旦那の手に夫人はしわしわの柔らかい手を重ねた。
「あら?書いたわよ。売りにこそ出さなかったけど」
旦那は驚いてターコイズの瞳を見開く。そして、頭をかいて「おかしいな。そんなの、読んだことも」と言うから夫人はグレーダイヤモンドの瞳を細めて笑った。さらりと自分の指にある指輪を撫でて。
「ええ。まだ鍵の中だもの」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます