変身

私は50代のおじさんだが

もう3つ目の名前だ

正確に言えば

小学生のうちに名字が3つ


前の父がいなくなり、新しい父ができた

その度に、学校を変わった

出席番号も上下動した

友だちと別れた

「なんで?」というゴシップ的な目があった

ひとりで泣いた

子どもには抗うことができない


ただ、その都度過去を清算できた

新たな同級生は自分のことを知らない

病弱なことも

内気で人見知りなことも

神経質で毎日トイレにこもっていたことも

私は新しい自分に変身した


今、私は組織に見捨てられた

居場所を失った

仲間も失った

これまでの人生を否定された


けれど変身するチャンスを手に入れた

ワクワクするにはもう少し時間が必要だが

新しい姿を模索している

空が遠くまで続いている

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