レル登場。無茶なキャラデザを添えて

 もちろん、彼女――レルが《聖女》であると知ったのはもう少し後の事になるわけだけど。


 その辺りを説明する前に、彼女についてもう少し説明しようと思う。

 彼女もまた重要キャラに思えるからだ。つまりゲームキャラとして。


 髪色と瞳の色は地味な方だとは思うけど、吊り目でパッと見は猫のように見えるビジュアルは中々個性があると言っても良いだろう。


 私は自分の個性を少しでも殺したくて、桜色の髪をボブにしてるんだけど。

 ……何だか「テイルズ」シリーズにそんなビジュアルのキャラがいた気がする。


 それはさておき、翻ってレルはどうなってるのかというと、髪を三つ編みにして、その三つ編みに赤いリボンまでも編み込んでいるという凝った髪型をしていた。


 これ毎朝やってるのかなぁ。

 思わず「お疲れ様」とか声を掛けたくなってしまう。


 さらに感想を積み重ねるなら「アニメで動くことを考慮してないキャラデザ」なんてことも思ってしまう。


 そしてその感想は、レルが着ている衣服にまで及ぶ。


 まず構造がよくわからない。ルー・ルカの服みたいだ。あれほど露出は高くないので、そこは安心して欲しい。


 そんな凝った構造の服を着ているので、使われている布も作画リソースをガリガリ削りそうな細工が施してある。


 オレンジから紺色へと変化を見せるワンピース――ワンピースに見える部分と言うべきか――はひだがたっぷり。裾はしっかりと刺繍で飾られている。

 謎の構造の恩恵なのか、こちらもひだがたっぷりのパフスリーブ。


 もう半歩踏み出したら下世話という評価に転げ落ちそうなバランスだ。


 アクセサリーの類は胸元のあっさりとしたトップのペンダントであることが救いなのかどうか。

 私はファッションに疎いからね。


 ただ意外に感じたのは、履いている靴が実用第一の丈夫なものだったこと。

 ここまでやらかしてるなら、光沢第一のチョンとした革靴を私は想像していたからだ。


「あなたが、ジョセフィン・メリーアン?」


 レルはまずいきなりそう切り込んできた。

 反射的に「違います」と返しそうになるけれど、何しろ桜色の髪だし、言い逃れは出来ないだろう。


 せめて、お母さんの言うように麦わら帽子ぐらい被っておくべきだった。

 でも今の身長では、帽子をかぶったまま麦畑に入るのも面倒なんだよね。


「……はい、そうです」


 私は覚悟を決めた。


「それで、あなたは?」


 続けて流れるように措定の手続きを行ってみる。

 すると、それが正解だったらしくレルは「フンッ」と満足げに鼻を鳴らした。


 そして胸を反らし、右手でそんな胸元を抑えながら宣言した。


「わたくしはレル・コーポよ! あなたと同じ《聖女》。わざわざ会いに来てあげたわ!」


 ……というやり取りが、私がレルを《聖女》だと知った経緯である。

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