やっぱり好きだ、こいつが好きなんだ
修道にBLの相手に
なってほしいと
告げられた。
、
、
。
…
。
。。。
。
ほんとうに驚いた時は声も出てこない、
ということを庄司は学んだ。
しばらく放心してしまった。
短い時間なのかもしれないけど、
庄司の時は止まったに等しかった。
「庄司くん、どうしたの」
その声にやっと我に返った。
「いや、その、あの」
「もしかしたら、イヤだったのかな」
イヤという言葉を聞いた途端に庄司は
そんなことない!そんなことないですそんな ことないそんなそんなことないそんそんなことないですそんな ことないそんなそんなことないそんなこといですそんな ことないそんなそんなことない
と、心が爆裂して叫んでいた。
イヤなはずがない。
でも、自分にとって修道は愛しい相手だけではない、仕事相手なのだ。
口先だけでも割り切った感を出すようにしよう。
一方で、下を向いて恥じらう庄司の姿に、修道の中の母性と父性が同時に一気に吹き上がってきたような気がした。
可愛い?もっと近づきたい?
知りたい?守りたい?
この気持ちはもしかしたら
やっぱり…
修道の心の声はふわふわと浮き上がっていた。
すると
「先生、ぜひ、自分でよければ、きょうりょ・・」
庄司のか細い応答にたまらなくなった修道は話の途中で勢いよく庄司をハグをした。
庄司はさっきのハグよりも強く、
しかし、それは強いのは一瞬、あとは優しく手を回しているのを感じた。
僕ら始まったんだ、と庄司は実感した。
修道は手をほどき、握ったまま、庄司とソファに座った。
庄司にとっては、この「修道にハグされて見つめられて、更に手を握られる」という事が、もう非常事態に近いことだったが、これからはこれが日常になるのかもしれないとも冷静に思った。
「庄司くん、俺はね」
修道は庄司の手をなでながら話す。
「ボーイズラブをやるとはいうけど、俺はゲイではないし、それに…男との経験もない」
これには静かにうなずくしかなかった。
「あと、離婚してから、恋愛というものも全然してない」
「そうなんですか・・」
修道の口から離婚とか、元妻についての話が出るのは初めてだった。
そして現在の恋愛状況についても。何も言わなかったのは、何もなかったからなのか。
「だけど、それは小説家として良くない、
愛を知らないということは良くない事だと!それは愚かしいことであると!庄司くんは!思わないかい?」
声量が増してきた大袈裟な話し方に、庄司は少し笑ってしまった。
「だからさ、俺にもっと教えてほしい、
そのBL・・について。
あと俺が忘れちゃった、恋愛についても!」
「はい。わかりました!」
修道に釣られたのか庄司の声も少し大きくなってしまっていた。
笑顔に戻った庄司を見て、修道は思った。
やっぱり好きだ、こいつが好きなんだと。
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